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10 - 終わりのない恋だった(tr中心)

♥

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2025年12月17日

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※trさんがちょっとかなり病みます。

そういう行為を助長するわけではありませんが、自◯未遂表現ありです。







ふと、自分を俯瞰して見ることがある。

日常組として長くやってきて、諦めずに続けてよかったと思うと同時にこれもいつかは終わってしまうのだろうなと思う自分がいた。


漠然とした不安が押し寄せる。


みんなと肩を並べて歩いていても、いつかはそれもバラバラになるんじゃないかと。

置いていかれるのではないかと。


「……はぁ」


どうしてまたこんなネガティブ思考に陥っているのだろうかと思い返す。

いや、思い当たる節はたくさんある。


投稿された動画のコメ欄を見返していて、時々見かけるアンチとはいかないけどマイナス寄りなコメント。



─最近、日常組、なんか仲悪い?

─ぺんちゃん大丈夫?なんか無理してる?

─トラゾーさんだけなんか悪者扱いされて可哀想

─しにーちょっと口悪すぎ

─クロノアさんなんか態度そっけなさすぎん



などなど。


初めの頃は、俺も含めみんな対して気にはしてないけど、動画を投稿するたびに似たようなものがちらほら増えてくれば、無意識にストレスが溜まっていく。

そのせいで気にしてないと言ってもその悪意のない善意のつもりのコメントや善意を振りかざしたような悪意あるコメントに苛立つことが自然と増えてくる。


自ずとコメント通り雰囲気は最悪だ。


無理矢理笑いを取ろうとするぺいんとやそれにわざとスベるしにがみさん。

嗜めようとするけど意味を為してないクロノアさん。

頭をフル回転して、あのコメントのように結局自分が悪者になるように持っていきその場を鎮めることを選んだ。

みんなは何も悪くないと、いうようにして。



動画を撮り終わりそれぞれが通話から抜けていく中、ぺいんとに呼び止められた。


『トラゾーお前、どういうつもりだよ』


「は?」


『自分を悪者扱いして場を収めるやり方やめろっつただろ』


咎めるようにきつい言い方をされる。


「ああでもしなきゃまたコメ欄荒れるだろ」


『既に荒れてんだよ。またお前のこと除け者の悪者扱いしてるって』


「……それは、悪かった…」


『結果的に俺らの方が悪者扱いされてちゃ意味ねぇだろ』


ぺいんとの言う通りだ。

でも、ああしないといつまでも雰囲気の悪い状態でゲームをすることになっていた。


「……」


『はぁ』


煩わしそうな溜息。

ぺいんとがホントに苛立ってる時につくやつだ。


「…ごめん」


『次から気をつけろよ。じゃあな』


ポロンと通話から抜けていったぺいんと。

その場に取り残されたように表示される俺の名前。

置いていかれたように。


「…しにがみさんもクロノアさんも怒ってるだろうな」


特にしにがみさんは怒りやすいところがあるから俺の行動に腹が立ってるだろう。

挨拶もそこそこに早々と通話から抜けたのはそういうことだと思う。

優しいクロノアさん、いやみんな優しいけど。

クロノアさんも、ムカついてるだろうなと思う。

いつもは一声かけて抜けるのにそれもなく抜けていったから。


「自業自得か…」


空気読めなさすぎ、というコメント。

全くその通りだ。


「やっぱり、俺ってダメだな…」


誰もいなくなったそこから自分も抜ける。

電源を落とした真っ暗な画面には無理に笑う俺が映っていた。



────────────



違和感はずっとあった。

俺が俺であっていいと、ちゃんと居場所はあるんだと言われてからも、ずっと。


一度、封じた箱の蓋を開けてしまえば出てくるのは嫌な記憶と嫌な考え。


悩めば悩むだけみんなの足を引っ張る。

その度に流れるコメントを誤魔化して。

みんなを呆れさせて。


「……」


挙げ句の果てには自分の録画ミスで俺視点の動画が撮れてなくて。


編集を担うぺいんとは怒りを通り越して呆れて何も言わないし、クロノアさんには怒られるし、しにがみさんには無視されるし。


きゅっと絞まるように喉が苦しくなる。

泣きそうなんだなって、年甲斐もなく熱くなる目元に首を振って。

でも俺がここで泣くのはお門違いにも程がある。

悪いのは全て俺なんだから。


みんなで集まってなくてよかったなとそれだけは安堵していた。


これ以上、嫌われるようなことがあったら立ち直れない。


みんなと一緒に歩くと決めた足が自然とゆっくりになっていき、遂には止まった。

止まった俺のことなんて気にも留めないみんながどんどん小さくなっていく。

そんな3人の小さくなっていく背中をじっと見る。


そんな夢を繰り返し見るようになった。

お前はここで終わりだ、と死刑宣告されるように。


悪夢を見たくなくて、次第に眠ることも怖くなり意識を飛ばしては目を覚まし、また意識が飛んでハッと飛び起きる。

そんな毎日を過ごすようになった。


生憎、外に出なくてもなんとかなる生活ではあるから顔を見てのやり取りはせずに済んでいた。


目を醒ます為に顔を洗いに洗面所に向かう。


「うわ、ひっでー顔」


ひどい隈と、虚な緑の目。

少しだけ痩けた体。

なのに貼り付けた笑みのせいで不気味な表情になっている。


ふらつく足元をなんとか踏ん張らせた。


「(今倒れたら、このまま死ねるだろうか)」


限界なんてとっくの昔に来ていた。

心も、体も、もう耐えられないほど弱っていた。


自業自得でなってることを、助けてほしいなんて、烏滸がましすぎる。

相談すらも躊躇っているというのに。


最後に普通に電話したのっていつだっけ。

そもそも誰と話したっけか。


「あー…一昨日冠さんと事務的な電話したのが最後だっけか」


俺と話をするのも、声を聞くのもきっと嫌だろうと配信以外では連絡を絶っていた。

気にされてないのかみんなは、それを気に留めることもなかったし。


へたり込んでその場に座る。


強烈な吐き気と頭痛。

薬が切れたようだった。


病院は嫌いだし、薬もあんまり好きではない。

でも頼らざるを得ない。


力が入らずそのままそこに蹲る。


「ぉぇ゛…っ」


何も食べてないからえずくだけ。

胃液すらも出ない。


胃が痙攣してるし、苦しい。


俺ばっかがつらいわけじゃない。

ぺいんともクロノアさんもしにがみさんも、謂れのないことを言われたことだってある。


俺ひとりが被害者みたいに考えるのは変だ。


「ははっ、…あは、あはははッ」


笑いながら泣くという器用なことをして、人に見られれば奇異な眼差しを向けられるだろう。


「ふ、は、…はっ、ははは!」


頭がおかしくなると笑ってしまうのはホントのようだ。

情緒不安定になって、あの時みたいにみんなに迷惑かけて。

休むという選択をした。


「あはははははっ!!」


顔を覆い隠して止まらない笑いと涙をどうにか止めようと歯を食いしばる。


「は、ははは、っ、……………」


眠れば悪夢を見る。

ならば、


「あーぁ」


このまま死ねば見なくて済む。


「………」


ノロノロと洗面台に掴まって立ち上がる。


震える足は自然とキッチンへと向かった。


「………」


使用頻度の少なくなった果物ナイフ。

少ないからこそ鈍く光ることなく、それは研がれたままの刃先は鋭い。


「………」


ぴたりと左手首に刃先を当てがう。

ドクドクと脈打つそこ。


「(こんなんでも、生きてんだな)」


「………」


少し筋肉の落ちた腕。

すっと柄を引けば、ぷつりと玉のように滲み出る赤。

次に、はしる痛み。


シンクに落ちる赤はぽたりと音を立てた。


「……」


その瞬間、血の気が引くほどの嫌悪感に苛まれる。


「ゔぁあ゛っ!!」


握っていたナイフをシンクの中に放り投げた。


痛みで脈打つ手首を滴り落ちる赤色。


こんなことで死ねると思ってないし、生きていると実感もしたくない。

愚かな行動をした自分が気持ち悪くてシンクのふちを握って吐いた。

迫り上がってくる胃液を吐き続けて喉がじくじくと痛い。


「あ゛がっ、…ゔぇッ!、ぉ゛、ぐ…っ」


脱力でその場に座り込む。


「は、ぁ゛、ぁゔ、…」


肩で息をする。

心臓が早鐘を打っていた。


「っ、……ぁ、…止血、し、ねぇ、と…」


流れ続ける赤を見てえずく。

手首をきつく握り救急箱を探した。


「な、に、してんだ、…俺、…」


深い傷じゃないようで処置は簡単にできた。

少しずつ呼吸も落ち着き、精神も安定してきた。


「…冬場でよかったわ…。長袖で誤魔化せるからな…」


血で汚れた服は染み抜きして可燃ゴミで捨てることにした。


「気に入っててんだけどなぁ…」


袋に詰め込まれるゴミになった服を見て、自分みたいだなと自嘲した。





───────────────





個人的な用事で冠さんと打ち合わせをしていた。


「トラゾーさん」


「ん?はい?」


顔を上げると心配そうに眉を下げる冠さんがいた。


「ちゃんと寝てますか?ご飯も、食べてます?」


「え?あぁ…まぁ、困らない程度には」


こんな疲れた顔じゃバレるに決まってるな。


「心配しなくても大丈夫ですよ。あの時みたいに自分のこと追い込みはしてないから。いやぁ、俺も大人になったなぁ」


はは、とから笑いする。


「無理してませんか」


「してないです。してたらみんなにまた怒られちゃいますからね」


嘘だ。

限界がきてる。

コップに注いだ水が表面張力でギリギリを保っている状態に近い。

あと少しでも注がれてしまえば決壊する。


「……本当ですか」


「嘘ついたってしょうがないでしょう?…打ち合わせは終わりですか?」


席を立った瞬間眩暈がして、咄嗟にテーブルに手をつく。

その拍子に椅子が倒れた。


「トラゾーさんっ!」


「大丈夫…ちょっと眩暈がした、だけです」


「けど、……っ、⁈」


息を呑む冠さんがテーブルについた左手から覗く包帯を凝視した。


「ちょ、ちょっとそれって…!!」


「…詮索してるとこ悪いですが、片付けしてる時にたまたま怪我しただけです。自ら、そんなことするわけないじゃないですか」


袖を伸ばして何事もなかったかのように振る舞う。


「…ぺ、いんとさんに」


「あいつらには言わないでください。妙な勘ぐりをされたくない」


剣呑とした声に肩を跳ねさせた冠さんが苦い顔をする。


「とにかく、ただの怪我です。冠さんも変な詮索はしないでください」


倒れた椅子を起こして会議室から出ようとドアに手をかける。


「失礼します」


パタンと閉まるドアの隙間から泣きそうな顔の冠さんが立っていた。


「、っ、…ぅ、」


早く帰らなきゃ。

自分の部屋に逃げ込まなきゃ。


吐きそうになる口元を押さえて早足で歩く。

誰にも見られないように俯いていたら人とぶつかった。


「うわ、っ」


「っ!!」


踏ん張りが効かず尻もちをついてしまった。


「すみません、…って、トラゾー?」


その声に顔を上げれずにいた。

どうしてここに。

いないと思って今日を打ち合わせの日に選んだのに。


「トラゾー?大丈夫?」


クロノアさんの優しい声。


視界に入る手。

いつまでも座ったままの俺を心配したのだろう。


今の俺にとってその優しさは苦しいだけで、信じることができなかった。


「トラゾー…?」


座り込む俺の手を掴もうとしたクロノアさんの手を不自然にならないように制する。


「だ、いじょうぶです、から…」


顔を見ないように立ち上がる。


「失礼、します…」


「待っ…」


クロノアさんの横を通り過ぎようとして左手首を掴まれた。


「触るなっ!!」


「!!?」


振り払ったあと、しまったと自己嫌悪に陥る。

目を見開いて呆然と立ち尽くすクロノアさん。


「あ、…っ!、ごめ、んなさい…っ」


その横を逃げるようにして立ち去った。


「(心配してくれたのに、それを拒絶して。挙句酷い言葉を投げて)」


怖い。

信じたくない。

また嫌われた。

嫌だ。


綻び始めていた”俺”は徐々に崩れていった。

何も手につけられなくて、何もしたくなくなって。

ミスばかりするようになって。

みんなを苛立たせて。


こんな俺は、


「もう、”要らない”?」


なら終わらせてしまおう。

人間いつかは終わりが来る。

終わりのないものなんて存在しない。


悪夢を見なくて済むようにと睡眠薬を処方してもらった。

あんなに嫌いだった病院に頼って馬鹿みたいだ。


ベッドに横になる前に、処方された分の残りを全部口の中に放り込み度数の高いお酒で流し込む。


しばらくして、頭がクラクラしてきてぼーっとしてきた。

酩酊に似た感覚に安心する。


重くなる瞼。

浅くなる呼吸。

ゆっくりになっていく心拍。

小さくなっていく心音。


その全てを安寧に感じていた。


「(そう言えば、さっき冠さんが用事あるとかメッセージ入れてたような……ま、いっか。俺には、もう関係のないことだ…)」


暗くなる視界。

苦しくて短く口が開く。

早鐘を打ち始める心臓。

大きく動く拍動。


「(あ、しぬ)」


途絶える寸前の意識の中さいごまで残っている聴覚が拾ったのは、防音がしっかりしてる部屋でも近所迷惑になるレベルの大きな物音と数名の聞いたことのあるような声だった。
































意識が浮上してぼやける視界に入ったのは真っ白な天井だった。

頭は重いし、体も動かない。


「(死に損ったのか、)」


視線だけ動かすと色々な点滴が繋げられていた。


周りには誰もいないようだ。


「(助かっちゃったな…)」


ベッドから起き上がろうにも体は言うことをきかない。


「(迷惑かけて、最低だ、俺。……助ける必要ないのに、なんで…ほっといてくれよ。いなくていい、要らない俺なんて)」


頭の中でぐるぐると考えていると廊下の方から声が聞こえてきた。


咄嗟に目を閉じて寝たふりをする。


ガラガラと控えめに開けられた引き戸。

それが閉められて、近くに人の気配がする。


立って俺のことをじっと見下ろしてるそいつは、暫くして漸く近くの丸いパイプ椅子に座ったようだ。


不自然に思われないように、寝返りを打って窓の方を向く。

そいつに背を向けるようにして。


「………トラゾー」


ぺいんとの静かな声だった。


「いつになったら起きんの。もう、お前の声、3日も聞いてねぇよ」


俺って3日間も意識失ってたのか。

と、他人事のように聞いていた。


「なんで、死のうとしたんだよ。…どうしていっつも、なんも言わずにひとりで抱え込むんだよ」


そんなの迷惑になるから。

呆れられて嫌われるから。


「俺ら、トラゾーに酷い態度取ったって反省してんだ。そんなんしていいわけねぇのに。お前なら大丈夫だろって、聞きもせずに決めつけて」


俺が悪いのに。

ぺいんとたちは何も悪くない。


「冠さんにトラゾーの様子がおかしいって、クロノアさんも変だって言ってたのに俺、大丈夫だって勝手に思い込んで」


………。


「用事があるって言ってた冠さんに無理言って着いて行ったんだ。いつもなら入る前に連絡すると必ず出るお前が全く電話に出なくて、メッセージにも返答なくて不安になった冠さんが管理人に頼み込んで開けてもらったんだ」


………。

……。


「部屋の中見て回って、トラゾーの自室開けた時、心臓が一瞬止まった」


……。


「薬の包装シート。なんて言うんだっけ、……確か、PTPシート?だっけか?トラゾーが教えてくれたよな」


………。


「あれと、多分度数高いだろう酒瓶の転がるベッドに横たわるお前を見て死ぬほど後悔した。こんなに追い込んでたのに気付けなかったこと」


…それはごめん。


「絶対に苦しい筈なのに似つかわしくねぇくらい穏やかなトラゾー見て、寝てるドッキリかと思ったんだよ」


ドッキリに命懸けすぎだろ。

いや、文字通りに。


「あの場で1番冷静だったのはやっぱクロノアさんだったよ。最初に我に返ってすぐに救急車呼んでくれてた」


だと思うよ。


「動揺してるしにがみくんと冠さんを宥めて、救急車に付き添ったのもあの人だ。俺らは追うようにしてタクシーで来たけど」


こんな俺の為に申し訳ない。

あの時振り払ったこともちゃんと謝れてなかったし、クロノアさんには一生頭が上がらないな。


「トラゾー…なぁ、お前の声聞きたいよ」


聞きたくないだろ。

お前らを不快にさせることばかり言う俺の声なんて。


「落ち着いた冠さんにさ、俺ら怒られたんだよ」


へぇ、それは見たかったかも。


「もっとちゃんとトラゾーさんを見てあげてくださいって」


冠さんの言ってるのは本質的なことだろうな。


「終えてしまったものはもう二度と戻ってこない、崩れてしまったものは同じ形には戻せない。ってさ」


意外にポエマーだな、冠さんって。


「日常組のことでとやかく言う奴らのことなんてトラゾーは気にしなくていいのに……優しくて周りのことをよく見てるお前はそうやってわざと身を犠牲にして…」


ぴたりとぺいんとが喋るのをやめた。

振り向くことはできないから、気配で察するしかない。


「……ごめんな、ホントに。俺ってどうしようもないくらいダメな奴だ」


若干震える声。

泣いてる、のか?


「トラゾーがいてくれなきゃ、なんもできない」


そんなことないだろ。


「みんながいてこそ、4人でひとつが日常組、なんだ」


…俺も、入れられてる?


「日常組は終わらねぇ。例えジジイになっても、”俺ら”がいる限り終わらないんだよ。…だから、」


肩を掴まれて仰向けにされる。


「いい加減、喋れよ」


涙で潤む黄色い目が俺を見ていた。


「……ぺぃ、んと…」


カスカスの俺の声。


「…ごめ、ん…」


「トラゾー」


「お、れ…」


「俺らの前からいなくなんなよ。トラゾーくらいしか俺らの暴走止められねぇんだから」


「いや、…そこは、弁えろ、よ…」


点滴の針が刺さる左手、包帯の巻かれている手首をぺいんとが撫でた。


「痛いか…?」


「…ううん。…大丈夫」


そこの傷はだいぶ塞がってると思う。

ホントに痛くないから。


「ごめんな、ホントに。…許してもらえるなら、なんだってする」


ここまでへこむぺいんとは久々に見た気がする。

ちょっとくらい、我儘言ってもいいだろうか。


「………じゃあさ、元気になって俺が退院した時、ぺいんとがぎゅってしてくれたら許す」


「………ぇ、そんなんでいいの?」


「別に謝って、欲しいわけじゃないし…俺が勝手にネガってただけだし…。てか、俺のこと抱き締めんのに抵抗ねぇの」


ぎゅっと指を握られる。


「だから、そういうとこだって。クロノアさんに我慢ばっかするなって言われたんだろ。よゆーで抱き締められるわ」


「あ、…うん…」


「おい引くんじゃねぇ」


「ふは、」


相変わらずのツッコミの速度に笑ってしまった。


「そうやって笑ってろよ」


「、ん…わかった」


久々に心から笑えた気がした。

息がきちんとできた気がする。

しばらく顔を合わせて笑っていた。


その後は時間差でお見舞いに来たしにがみさんとクロノアさんに抱きつかれ、騒がしくしたせいで看護師に俺まで怒られた。

俺病人なのに、とばっちりじゃんか。







いつか、終わる時が来る。

それでも俺らがいる限り、終わりのないこの日々は続く。

“俺ら”で精一杯、終わりがあるまでみんなのことを楽しませていきたい。


それが”日常組”だ。



「「「「俺たちの世界へようこそ!!」」」」

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