【設定】
桃・赤→高2
紫→桃の兄
桃 『っ…はぁ』
最近なぜかすぐに疲れてしまう。
もっと言えば、ひどい時は胸が苦しくなったりする。
それがなぜなのかは全くわからない。
赤 『どしたの』
赤 『なんか元気ないよ』
桃 『別に元気だけど…?』
本当に元気かと言われれば元気ではない。
でも、強がってでもそう言っておかないと、自分が壊れてしまいそうだった。
赤 『…そう、』
桃 『っ…、』
桃 『次…なんだっけ!』
赤 『体育』
桃 『げ…体育か…』
体育は一番疲れる。
勉強よりも遥かにエネルギーを使うし、走ったりすれば息の苦しさも増す。
赤 『体育好きじゃん』
赤 『嬉しくないの?』
桃 『い、いや…?』
桃 『嬉しいけどさ…』
赤 『けど…?』
桃 『…なんでもないっ!早く行こ!』
桃 『あの鬼みたいな先生に怒られるぞ』
赤 『うん、』
最近桃くんの様子がおかしい。
遊びに誘っても来なくなったし、あんなに好きだった体育も嫌がったり。
ため息がすごく増えて、見るからに元気がないって感じ。
ほら今も…
桃 『はぁっ…はぁっ…』
俺よりも息が切れてる。
体育の最初にランニングをするんだけど、前までの桃くんは本当に余裕そうで、息切れなんてしてもいなかった。
それに…なんだかふらついているような気がする。
赤 『桃くんっ…体調悪い?』
桃 『…、!』
赤 『桃くんっ…体調悪い?』
桃 『…、!』
正直、今まで以上に胸が苦しくて、なんだか体が熱いような気がしていた。
だけど、それは気持ちの問題で頑張ればいけるのではないか。
そう思っていた。
でも…もう限界かもっ…
桃 『り…ぃぬ…っ』
赤 『桃くんっ!』
赤 『熱い…すぐ保健室行こう』
突然俺は腕を掴まれ、後ろを振り返ると、今にも倒れそうな桃くんがいた。
慌てて抱き上げると、走ったからとはいえ、あまりにも体が熱すぎた。
内心、「やっぱりか」なんて思ってしまった。
赤 『おんぶするよっ』
赤 『よいっ…しょっ…』
俺はぐったりしている桃くんを背負い、走り出した。
桃 『ん…』
紫 『あ、起きた?』
桃 『にい…ちゃん…?』
紫 『そうだよ〜』
桃 『あれっ…俺…』
紫 『倒れたんだよ』
紫 『体調悪いなら言ってよね〜』
桃 『う、うん、』
…そうだ。
体育の時に具合悪くなって…赤に助けられたんだ。
それにしてもおかしすぎる。
熱っぽいと感じた時にはもう倒れていたし、学校にいる時しか症状は出ない。
一体俺に何が起こってる…?
紫 『今は?体調良い?』
桃 『うん、平気』
紫 『ほんと〜?』
桃 『本当だって、笑』
紫 『ならいいけど』
またこんなことが起きたら迷惑かけるだけだし…相談してみようかな。
桃 『…ねえ、兄ちゃん』
紫 『ん?』
桃 『なんか…最近っ、俺おかしくてさ、』
桃 『学校に行く途中とか…行ったら体調が悪くなるんだ、』
桃 『なんかこう…胸が苦しくなったり』
桃 『息ができなくなるような感覚になったり』
桃 『すごく疲れやすくなっちゃって…、』
桃 『それで今日も…』
紫 『ギュッ…』
桃 『…!』
紫 『ごめんっ…気づけなくて…ごめんっ、』
桃 『いや…兄ちゃんは悪くないし、笑』
桃 『俺もなんでだかわかんないし…笑』
紫 『きっと…何かが辛かったんだよ』
紫 『学校の生活での何かが』
紫 『元気だって思っていても、桃くんの心はもう疲れちゃってたんだよ』
桃 『…、』
紫 『…一応病院行く?』
桃 『え〜…』
紫 『行くよっ』
病院嫌いなんだけどな…。
医 『…まあ、心因性のものでしょうね』
医 『風邪であればもう治っている症状ばかりですし…』
医 『検査結果も異常はありませんので』
医 『…何か、学校でストレスに感じたことはありましたか?』
桃 『ストレス…』
何かあっただろうか。
テストとか…?
桃 『テスト…くらいですかね…』
医 『なるほど…』
医 『仲の良いご友人はいらっしゃいますか』
桃 『ま、まあ…』
医 『では、ご友人に自分の気持ちを伝えてみてください』
医 『僕がストレスの根本を聞くよりも言いやすいでしょうし、理解されやすいですから』
桃 『は、はあ…』
医 『一応こちらで薬も出しておきます』
医 『溜め込まずに話すことが大切ですよ』
桃 『ありがとう…ございます…』
溜め込まずに話す、ね…。
桃 『…あれっ』
体に力が入らない…。
学校行かなきゃ行けないのに…。
紫 『桃くん?』
紫 『赤くん待ってるけど…』
桃 『兄ちゃんっ…』
紫 『入るよ〜?』
桃 『起き上がれないのっ…』
紫 『今日はお休みしよ』
紫 『赤くんもね』
桃 『えっ…赤も?』
紫 『赤くん』
赤 『あの…桃くんは…』
紫 『今日もあんまり体調良くないみたいで…』
赤 『そうですか…』
赤 『では…』
紫 『ちょっと待って!』
赤 『…?』
紫 『赤くんも…お休みしてもらって良いかな』
赤 『俺も…?』
体調が悪い桃くんならまだしも…なんで俺も…?
はてなで頭がいっぱいになりながら、紫さんに連れられる形で桃くんの家へとお邪魔した。
赤 『おじゃまします…、』
紫 『そこ座っていいよ〜』
赤 『ありがとう…ございます、』
紫 『…よいしょ』
紫 『麦茶で大丈夫だった?』
赤 『ぁ…はい…わざわざありがとうございます…』
赤 『あの…桃くんは…』
紫 『今部屋で寝てるかなぁ…』
紫 『寝てるか寝てないかはちょっとわかんないんだけどね、笑』
赤 『は、はぁ…』
赤 『あの…なんで俺は…』
紫 『そうだった』
紫 『説明してなかったね、笑』
紫 『実はね…』
紫さんは病院での診断結果と、桃くんから聞いた話を合わせて俺に伝えた。
紫 『…って感じなんだけど』
紫 『赤くんは桃くんにとって本当に信用してるお友達だと思うの』
紫 『なかなか桃くんが人を信用するってないんだけどね、笑』
紫 『だから…桃くんの話をちょっとでもいいから聞いてあげてほしくて』
紫 『心が軽くなればいいなって思うから…』
紫 『赤くんが嫌じゃなければ…お願いできるかな』
赤 『もちろんです、!』
赤 『ぁ…/』
紫 『ふふ笑』
紫 『ありがとね』
紫 『よろしくお願いします』
赤 『こちらこそ、』
それから、少しでも桃くんの心が軽くなるように、たくさんお話した。
話しているうちにも、桃くんのストレスの原因になっているような話題になると、必ず胸をさすったり、苦しそうな表情を浮かべていた。
その姿を見て、俺の前では意地でも強がって、無理をしていたのだとわかった。
親友として支えるから、もうちょっと頼ってよね。
気づいたら部屋に赤がいて、さっき兄ちゃんに俺のことを説明されたと言った。
それから、赤は色んな話をした。
くだらない話から、真面目な話まで。
色んな話をしていくうちに、苦しくなったり、苦しくなくなったり、自分の体調に波があることに気づいた。
でも、どれだけ苦しくても、笑顔でいようとしてしまう自分がいて、それを赤は見抜いたようだった。
赤 『…無理に笑わないでね』
赤 『親友なんだから…ちょっとは頼ってよ』
まあ、赤が言うならちょっとくらい頼ってみてもいいのかな、なんてね。
紫 『桃くん、学校どうする?』
桃 『ちょっと、休んでみるわ、笑』
紫 『ん、わかった』
紫 『素直に伝えてくれてありがとう』
桃 『…/』
赤のおかげで、ちょっと頼れるようになったよ。
『頼る』
コメント
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最高ですぅ🥹💞