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ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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それはスペクターの軽い思いつきだった。
「君、気配消して後ろに立つからね」
ノスフェラトゥは吸血鬼である。
古代の。
しかもかなり強い方の。
足音を消す。
気配を消す。
背後を取る。
全部得意。
問題は。
スペクターが仕事中でもやることだった。
「……」
執務室。
スペクター。
書類。
静寂。
そして。
気付く。
後ろにいる。
絶対いる。
振り向く。
いる。
ノスフェラトゥ。
三十センチ後ろ。
「何してるの?」
「見守っている」
「近い」
一日に六回。
流石に面倒になった。
そこで。
スペクターは小さな鈴を取り出した。
赤い紐付き。
「これを付けよう」
結果。
大失敗。
翌日。
チリン♪
執務室。
チリン♪
廊下。
チリン♪
階段。
チリン♪
屋根の上。
チリン♪
どこにでもいる。
スペクター。
「……」
チリン♪
「……」
チリンチリン♪
「……」
チリンチリンチリン♪
「ノスフェラトゥ」
「はいっ!」
チリン!!
うるさい。
本当にうるさい。
アズール。
三十分後。
「何あの音」
ホスフォラス。
「移動するたび鳴ってる」
アズール。
窓を見る。
チリン♪
ノスフェラトゥが走っていた。
「何で走ってるの?」
「主様が向こうへ行った」
チリンチリンチリンチリン!!
「犬じゃん」
「違う」
チリン♪
説得力ゼロ。
昼食時。
スペクターが椅子へ座る。
ノスフェラトゥも近くへ来る。
チリン♪
座る。
チリン♪
立つ。
チリン♪
また座る。
チリン♪
「何をしているの」
「鳴る」
「知ってる」
「綺麗な音だ」
チリン♪
「知ってる」
チリン♪
「知ってる」
チリン♪
「だから鳴らさなくていい」
午後。
さらに悪化。
ノスフェラトゥ。
鈴が嬉しい。
本当に嬉しい。
歩く。
チリン♪
振り向く。
チリン♪
髪を払う。
チリン♪
耳を動かす。
チリン♪
もはや楽器。
ホスフォラス。
腹筋崩壊。
「自分で鳴らしてる!」
アズール。
「絶対わざとだ!」
夕方。
スペクター。
限界。
執務室。
書類仕事中。
チリン♪
五秒後。
チリン♪
三秒後。
チリン♪
二秒後。
チリンチリン♪
「ノスフェラトゥ」
「はいっ!」
チリン!!!
「静かにしなさい」
「はいっ!」
チリン!!!
沈黙。
アズール。
机へ突っ伏す。
ホスフォラス。
涙流して笑う。
「コントじゃん!」
そして夜。
スペクターは決意した。
鈴を外そう。
すると。
ノスフェラトゥ。
珍しく慌てた。
「待ってくれ」
「?」
「これは」
真顔。
「主様から頂いたものだ」
「そうだけど」
「大切だ」
沈黙。
スペクター。
少し困る。
アズール。
横で小声。
「外せないやつだ」
ホスフォラス。
「外せないやつだね」
結局。
鈴はそのままになった。
翌朝。
チリン♪
スペクター。
まだ寝ている。
チリン♪
「……」
チリンチリン♪
「ノスフェラトゥ」
「はいっ!」
チリン!!!
「静かに」
「はいっ!」
チリン!!!
全く改善しなかった。
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