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ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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FORSAKEN年に一度の大夜会。
魔族。
貴族。
有力者。
幹部。
全員集合。
シャンデリアは輝き、
音楽は優雅に流れ、
料理は豪華。
完璧な社交の場だった。
少なくとも。
十分前までは。
「おお……」
観客たちは感嘆していた。
フロア中央。
ノスフェラトゥが舞っている。
美しい。
とにかく美しい。
マントが翻り、
長い黒髪が揺れ、
古代吸血鬼としての威厳が溢れている。
まるで舞台芸術。
まるで伝説。
まるで神話。
バルコニーの上。
スペクターは満足そうに眺めていた。
「綺麗だねぇ」
指を動かす。
ノスフェラトゥが回る。
指を上げる。
ノスフェラトゥが跳ぶ。
指を払う。
ノスフェラトゥが着地する。
指先ひとつで操り続ける。
完璧だった。
芸術だった。
観客A
「すごい……」
観客B
「これが古代吸血鬼……」
観客C
「圧倒される……」
そして当の本人。
ノスフェラトゥ。
脳内。
(主様が見ている)
(主様が動かしている)
(主様が満足している)
(人生最高)
重症だった。
しかし。
問題があった。
スペクターは飽きっぽい。
非常に。
「ふむ」
指が止まる。
アズール
(あっ)
ホスフォラス
(始まる)
二人は知っていた。
この顔は危険だ。
絶対何かやる。
スペクターは考える。
そして。
思いつく。
「ふふっ」
最悪だった。
スペクターは両手の親指と人差し指で逆三角を作る。
奇妙な動き。
非常に奇妙な動き。
ノスフェラトゥ
「……?」
身体が反応した。
勝手に。
本当に勝手に。
ビシィッ!!
観客
「!?」
ノスフェラトゥ。
突然。
ものすごくキレのあるポーズを取る。
「コォォォマァァァネェェェチィィィ!!!!!」
静寂。
夜会終了のお知らせ。
アズール。
飲んでいたワインを吹いた。
「ぶふっ!!」
ホスフォラス。
床に崩れ落ちる。
「待って無理!!」
「無理無理無理!!」
「何やってんのあの人!!」
スペクター。
爆笑。
「あははははは!!」
指をもう一度動かす。
ノスフェラトゥ。
反応。
「コマネチ!!」
ビシッ!!
「コマネチ!!」
バシッ!!
「コォォォマァァァネェェェチィィィ!!」
残像付き。
無限エモート状態。
観客
「やめろ!!」
観客
「笑うなって!!」
観客
「無理だろこんなの!!」
しかも。
無駄に美しい。
フォーム百点。
キレ百点。
発声百点。
全部百点。
だから余計面白い。
アズールは涙を拭いていた。
「なんであんな上手いんだよ!!」
ホスフォラス
「古代吸血鬼の無駄遣い!!」
「史上最高の無駄遣い!!」
バルコニー。
「スペクター様!!」
アズール叫ぶ。
「何させてるんですか!!」
スペクター。
笑いすぎて苦しそう。
「だって面白いじゃないか!」
「面白いじゃないんですよ!!」
一方。
ノスフェラトゥ。
顔真っ赤。
恥ずかしい。
めちゃくちゃ恥ずかしい。
なのに。
脳内。
(主様が笑っている)
(主様が喜んでいる)
(つまり成功)
結論がおかしい。
(もっとだ)
(もっと笑顔を)
(もっと私を使ってくれ)
重症だった。
かなり。
数分後。
ようやくスペクターが笑い疲れる。
指が止まる。
ノスフェラトゥ停止。
解放。
観客たち拍手。
なぜか拍手。
もはや何に対する拍手かわからない。
ノスフェラトゥはその場に跪いた。
「主様」
「うん?」
「楽しんでいただけましたか」
スペクター。
即答。
「今年一番笑った」
ノスフェラトゥ。
感極まる。
「光栄です」
翌日。
アズールから書類が届いた。
【通達】
今後ノスフェラトゥの夜会中央出演を禁止する。
【理由】
領域の品格が死ぬ。
ノスフェラトゥはそれを読んだ。
額縁に入れた。
「主様を笑顔にした証だ」
アズールは頭を抱えた。
「なんで勲章扱いなんだよ……」