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私達の終わりなき戦いに終わりはない。それは永遠の闘争だから。
私は今、死を迎える為にここに居る。
だけど……私は死にたくない! 生きたい! まだ生きたい! 生きていたい!! どうして!? なんの為に私は生まれたの? どうしてこんな酷い目に遭わなくちゃいけないの? ただ幸せになりたかっただけなのに……。
『誰か助けて!』
声にならない叫びを上げる私に救いの手を差し伸べるかのように、彼女の細い指先がそっと触れてきた。
彼女は微笑んでいた。
とても優しい笑顔だった。
「ねえ……お兄ちゃん?」
「ん~?」
「あたしね、好きな人ができたんだぁ♪」
「ふーん」
「えへへぇ……」
「誰だよ? 俺の知ってる奴か?」
「うん! あのねぇ、すっごく優しくて格好良くて、それにとっても強いんだよ!」
「そりゃあ良かったな」
「それでね、それでね―――」
「おいおい、そんなに一気に言われても困るぞ」
「あっ、ごめんなさい。えっとぉ……じゃあまずは名前から言うね?」
「ああ」
「えーっとね、名前はね―――」
『橘 真之介』
「あれ? もう起きちゃったのかよ」
気がつくと、そこは見慣れた自分の部屋だった。いつも通りの壁紙、天井、窓の外からは小鳥たちの可愛らしい鳴き声まで聞こえてくる。カーテンの隙間からも朝日が差し込み、今日もいい天気であることを告げていた。
目覚まし時計を見てみれば時刻はまだ朝の六時前。こんな時間に目が覚めるなんて珍しいこともあるものだ。
しかし、夢の中の俺は確か学校に向かっていたような気がするのだが、よく考えてみたら今は夏休み真っ只中。つまり学校に行かずとも済むのだ。よし、二度寝しよう。
そうと決まれば話は早い。再びベッドの中に潜り込んで目を閉じる。すると睡魔はすぐに襲ってきた。
さっきの夢の続きはまた今度見ることにして、次に目を開けた時はきっと昼過ぎになっていることだろう。
「うぅん……」
寝返りを打って横向きになる。そのまま枕に顔を埋めながらもう一度夢の続きを見ようとしたその時、
「……それはね、君が望むならばの話だよ」
「……君は、何を望んだ?」
「……」
「……そんなものを望むなんて、愚かにも程がある」
「…………」
「……君は、何も分かっていない」
「……」
「……全てを失う覚悟もないくせに」
「……」
「……そんなものは、無意味なんだよ」
「……」
「……もう二度と、あんな思いはしたくないんだ……」
「……」
「……ごめんなさい……」
「……」
「……お願いだから、これ以上僕を苦しめないでくれ……」
「……」
「……僕は、君に幸せになって欲しいだけなんだ……」
「……」
「……分かってよ……」
「……分かんないよ」……まただ……
「……あのさぁ」
「うん?」
「……なんでそんなに好きなの」
「……えーっとね」
「うん」
「……好きになる理由なんてないけど、好きだもん」
「そっか」
「うん」
「……じゃあしょうがないじゃん」
「うん!」……どうしてだろう。
こんなにも苦しいのに。