テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「そう···若井は、本当にいいヤツだから···その気持ち、ちゃんと言ってあげてよ」
「···いいの?そんなの、許される?」
許すも何もない。
りょうちゃんの心は自由で嘘偽りないものじゃないといけないんだ。
「全部、若井に伝えて」
そう言うとりょうちゃんを玄関まで連れて行って鞄を渡す。
「りょうちゃんは、家族みたいに大好きで、信頼出来るメンバーで、大切な友達···その関係は変わらないよね?」
「···変わらない、元貴のこと大切にいつでも思ってるから···!」
「じゃあ、それだけで俺は幸せだ」
トン、と優しく背中を押す。
りょうちゃんはまたね、と少し不安そうな顔して帰って行った。
「さぁーて、と···仕事するか」
なんだか全部をやっと精算出来たような気がして清々しさを感じる。
この気持ちも寂しさも自分の愚かさも
愛しい人への気持ちも全部糧にして生きていこう。
2人とも幸せになってくれ ますように ···大好きな、2人だから。
俺は元貴の家から帰っても、落ち着かずにずっとソワソワして無駄に掃除なんかしていた。
元貴はりょうちゃんが付き合ってたくれてたのは本心からじゃない、みたいに言ってたけど本当にそうなんだろうか?あの2人の仲の良さは俺から見てもはっきりと分かったし、何度も泊まったり···もしそれが本当だった所で俺を好きかどうかは別の話だ。
ぐしゃぐしゃと頭を抱えてうーん、とソファに転がっているとガチャリ、と鍵が開く音がした。
「···ただいま」
「···おかえり」
りょうちゃんの目が少し赤い気がして、もしかしたら泣いたのかなと心配になる。
···もし、元貴の言う通りなら···優しく抱きしめてあげたい。
大丈夫だよって、言ってあげられる存在になりたい。
一歩近づいた瞬間だった、りょうちゃんが俺に抱きついてきたのは。
「りょうちゃん···?」
「ごめん、理解出来ないかもしれないけど、僕の気持ちを聞いてくれる?若井に言いたいことがあるんだ···嘘はもう、つきたくないから。全部聞いてほしい」
その声はしっかりとしていて俺はそれを受け入れたいと思った。りょうちゃんの気持ちを知りたかった。
ソファに2人で座るとりょうちゃんは大きく深呼吸して俺の目を見ながら話し始めた。
「元貴に告白されて、僕は断れなかった。あの時の元貴は不安定で今にも居なくなりそうだったから。けどそれは同情とか憐れみではなかったんだ···好きだったから。メンバーとして、友達としてだったけど。だから付き合うことを決めたし、ちゃんと恋人して望まれたことは全部受け入れた。キスもしたし、それ以上も」
どくん、と大きく心臓が跳ねた。
本当にりょうちゃんは元貴と恋人として付き合っていたんだと、改めて思い知らされる。
「···本当なら断るべきだったのはわかってる。でもあの時の元貴を放って置くことは僕には出来なかったし、後悔はない」
元貴のそういう危うさは俺もよくわかっている。
綾華と高野がいなくなって、活動も休止して何もわからない不安の中で責任のある立場の元貴はより不安だっただろう。
「···でも、最期まで元貴のことを恋愛対象としては見られなかった。それを元貴は分かってたんだと思う。だから今日、別れようって言ってくれた。···いつだって僕がドキドキして、触れたくて苦しいほど嫉妬してしまうのは若井なんだ···僕は、若井が好きです」
俺を見つめる目が潤んで固く握った手は少し震えていた。
元貴の言葉が頭の中で再生される。
“りょうちゃんを任せたよ”
色々あった。
聞きたいことも言い訳したいことも。
けど今はー···。
ただ強く抱きしめたかった。
俺の気持ちを伝えたかった。
震えるりょうちゃんを腕の中に引き寄せた。
「りょうちゃん。俺も、ずっと好きだったよ」
コメント
3件
うぅ、良かった〜🥲💗 💙💛がやっと🫶