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幼なじみとの両片思い

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幼なじみとの両片思い

8 - レポートの続き【2】

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2025年08月23日

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レポートの続き


ゼミ帰り、まなみの家の前。「ほんなら、ここで──」

「おれも上がる」

そらとは迷いもなく言い切った。

「え、ちょ……なんで?」

「レポート一緒にするっちゃろ?お前、圭介と約束しとったんやろが」

「……だからって、そらとが付いてこんでも」

「おれがするって言いよろうが。ほら、早よ開けろや」

言い返す間もなく、そらとは当然みたいな顔でまなみの部屋に上がり込んだ。

リビングのローテーブルに向かい合って座り、ノートを広げる。

でも、レポートはちっとも進まなかった。

そらとは眉間にしわを寄せたまま、さっきの教室の光景を思い出していた。

「……なぁ、まなみ」

「ん?」

「お前さ、あいつと話すとき、なんであんな笑顔やったん」

「えぇ?普通に話しよっただけやのに」

「普通じゃなかっちゃろ」

そらとは低い声で遮った。

「おれ、隣で見よって、めっちゃ腹立ったんぞ」

「えぇ……嫉妬?」

「……っ、そうやったら悪いと?」

むっとした顔で見下ろされ、まなみは思わず笑ってしまう。

「ふふっ、そらと可愛い~」

「……可愛いとか言うな」

「でも嬉しいよ?そらとが、うちのことそんなふうに思ってくれとるんやって」

その一言で、そらとの顔が一気に真っ赤になる。

だけど、すぐにぐいっと距離を詰めてきた。

「……嬉しいとか言うなや。調子乗るけん」

「え、ちょ……そらと近い、近いよっ」

まなみは慌てて後ずさるけど、背中がソファにぶつかって逃げ場がなくなった。

「お前な……今日ずっと、俺のこと揺さぶりよるんわかっとる?」

「な、なにそれ……うち、なんもしてないよ」

「無自覚が一番たち悪いっちゃ」

そらとは低く吐き捨てるように言って、まなみの顔のすぐ横、ソファに手をついた。

至近距離で見下ろされ、息が詰まる。

「……おれ、ほんとは“お前だけ”見とるんやけん」

「……そらと……」

「けん、お前もおれだけ見とれ」

耳元にかかる吐息に、まなみは顔を真っ赤にして視線を逸らす。

でも、胸の鼓動はうるさいくらい響いていた。

しばらく見つめ合って、そらとはふっと小さく笑った。

いつもの強気な笑みじゃなくて、少し照れた顔。

「……安心せえ。今日はまだ、なんもせんけん」

「っ、な、なんで“まだ”ってつけるんよ…」

「……自覚せえってこと」

にやりと囁く声に、まなみは恥ずかしくて顔を覆った。

そらとはそんなまなみを見て、そっと髪を撫でる。

「……お前、ほんまに反則やわ」

その声は、耳の奥で熱く残り続けた。

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