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「ハ、ハジメマシテ……6key、です……」
「こちらこそ、初めまして。“佐々木 天馬”と申します。以後、お見知りおきを」
本日、以前提案された通り。
オンラインの面会、というかガンサバの運営専用ルームにて。
“timelimit:10”との顔合わせが行われた。
今回は本当にフリーのお話合いという事で、担当さん達も一緒に無線で参加しているのだが。
「あ、あの……」
「はい、何でしょうか?」
『10……あのですね、ゲーム慣れしていないのは分かるんですけど。今は運営管理の下、ですから良いものの……ゲーム内では、基本的に本名を使わないで下さい』
思わず固まってしまった私と、はて? と首を傾げているテンだったのだが。
すかさず、彼の担当さんからツッコミが入った。
で、ですよね? 私がおかしい訳じゃないよね?
こっちも本名で名乗ろうか、今凄く悩んでしまった。
「おっとっと……これは、大変失礼いたしました。こういうものの常識には疎い年寄りでして……いやはや、失礼。改めて、私は“timelimit:10”と名乗っております。呼び辛いでしょうから、テンとでもお爺ちゃんとでも、好きに呼んで頂ければと」
4cardも“おじさん”って呼ばれたがっていたけど、今度は“お爺ちゃん”が来た。
なんだろう、賞金首のナンバーズで大家族でも作るのかな。
まぁ、それは良いとして。
確かに彼のアバターは、結構お年を召している様に見受けられる。
これがもし素顔をスキャンしてそのまま使っている場合などは、本当にそういう年齢って事になるんだけど。
そうではなくキャラ作りだった場合、本当にお爺ちゃんなんて呼んだら失礼な気がする。
という事で。
「え、えぇと……ちなみに、本当にそういうお歳なんでしょうか? すみません、私もあんまりマルチプレイってやってこなかったので。どう接すれば良いのかって、最初分からなくて……」
『こらこら、夢つ……6key。相手の実年齢を探るのも、結構マナー違反だぞ』
「す、すみません!」
今度はこっちがお兄ちゃんから突っ込まれてしまい、慌てて相手に頭を下げてみた結果。
相手はハッハッハと楽しそうに笑いながら。
「これはこれは。ではお互い慣れて無い者同士、無礼講だと思って素でお話しようではありませんか。ちなみに、私は本当に年寄りですよ? あまり詳しい数字を出してしまうと、また担当様に怒られてしまいそうなので伏せますが。シックスと同い年程度の孫が居ますから」
「お、おぉ! 本当にお爺ちゃんだった……なんか、嬉しいです!」
私、祖父母とあんまり話した事ないので。
極たまに親戚の集まりの席とかで声を掛けてもらったら、物凄く優しかった記憶があるのだ。
だから、という訳なのか。
相手がそういう年代と知って、心の中で一気に距離感が縮まった気がした。
『すみません……ウチの妹が』
「いえいえいえ、シックスの担当様もお気になさらず。私は若い子とお話する機会など、なかなかありませんからね。あったとしてもウチの生意気な孫ですから、こうして素直なお嬢さん……お嬢さんでよろしいんですよね? その外見だと、事前情報が頭にあっても……何と言うか」
「も、申し訳ないです……こんな見た目ですけど、まだ高校生です。あと、女です。それから、キャラの表情トレースをカットしているので、無表情なのもそのせいです。重ね重ね、ごめんなさい……」
『わ、わぁ……この二人、絶対オープンフィールドで会話させちゃ駄目な組み合わせだぁ……』
私達のネットリテラシーに呆れてしまったらしく、相手方の担当さんからも凄い事言われてるけど。
なんかもう、ごめんなさい。
「では、本題なのですが。こんな年寄りが、若い女の子にこんな事を言ったら不味いとは分かっているのですが……シックス、貴女。刃物の近接戦や、暗殺術などにはご興味ありませんか?」
「あります!」
「急に言われても困りますよね。無理にとは言わないのですが、もしよろしければ私が――ん? おや?」
食い気味に答えた結果、今度はお相手のテンからポカンとした表情を貰ってしまった。
し、しまった……喋っている途中で答えちゃった。
ちょっと恥ずかしくなり、身体を小さくしながらモジモジしていると。
「興味……あるのですか?」
「は、はい……というのも、ですね? 以前の賞金首NPC、アレのテストの時。お恥ずかしい話なんですけど、ずっと貴方のNPCとテストプレイを繰り返してまして。結構勝てる様にはなったんですけど……でも、“何かを隠している”感じがして。それを引っ張り出そうと、何度も何度も挑戦させてもらいました」
本人を前にして、こんな事を言うのはちょっとアレなのかもしれないけど。
でもこの答えが欲しくて、本当に何度戦闘したのか分からない。
結局6keyではソレが見つからず、サブキャラの46leatherでも皆と一緒に挑戦した結果。
一人の時とはまた違った個所が見えて来たのだが……あれだけじゃない、そう思えた。
むしろ複数の敵を相手している時の“timelimit:10”の動きは、更に幅が広い様に感じたのだ。
だからこそ、むしろ謎が増えたという印象の方が強い。
なんてことを、一気に説明させて頂くと。
「おぉ……おぉ……何という事か」
お相手は、何だかプルプルしながら上を向いてしまった。
あ、あれ? もしかして、何か気に障る事を言ってしまったのだろうか?
もしかして、彼のNPCに対して“勝てる様になってきた”みたいな発言が、失礼だったのだろうか?
よく分からないけど、何やら震えている彼に対し、アワアワしながらもどう声を掛けたら良いのか迷っていれば。
「シックス!」
「は、はい!」
急にガバッと顔を下ろした相手は、何だか物凄く嬉しそうな顔で微笑んでいる。
怒っては……いない?
「一戦、手合わせしてみませんか? 今度はコンピューターキャラではなく、私自身と!」
「良いんですか!? ぜ、是非お願いします! あ、でも……出来れば、一度と言わず、何度かお願いしたいというか……」
「何度でもやりましょう! 気が済むまで、何日でもお付き合いしますとも!」
「ほ、本当ですか!? 嬉しいです!」
という事で、二人揃ってガシッと握手したままぴょんぴょん飛び跳ねてしまう。
思いっ切り子供っぽい行動だったんだけど、相手もぴょんぴょんしながら喜んでくれた。
もしかして、向こうも私のNPCと戦ってくれたりしてたのだろうか?
だとしたら、ちょっと嬉しい。
『白川さ~ん……これ、多分長くなりますよ? 一回帰ってから、リモートにしません?』
『だなぁ……とはいえ、一戦だけは会社で見て行こう。お二人共~? 似たもの同士で熱が入るのは良いですけど、程々でお願いしますよー? 生活リズムを崩す程やり込まれては、こっちも困ります』
「「了解です!」」
という事で、サポーター両名からも許可を頂き。
早速私達は戦闘の為、フィールドへと転送されていくのであった。
やった、やった!
ついにtimelimit:10本物と対戦出来る。
NPCだとモヤモヤする様な感想を抱いてしまった事に対して、向こうから答えが来てくれた。
これは凄く……楽しみだ。
コメント
1件
「テンさん、本当にお爺ちゃんだったんだ……!」って、もうそのギャップがまず可愛い(笑)。本名名乗っちゃったり年齢聞いちゃったり、ネットリテラシーガン無視な二人が逆に微笑ましくて、お互いの担当さんがツッコミ入れるのも分かるわ~。でも「刃物と暗殺術、興味あります!」って食い気味に答える6keyちゃん、本物と戦えるチャンスに目を輝かせる感じが本当にいい。NPCじゃなくて本人と手合わせできる喜び、めっちゃ伝わってきました。次はどんな戦闘になるのか、ワクワクしますね!
柘榴とAI

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柘榴とAI

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柘榴とAI

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