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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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「NPCでは何度も体験しましたけど……やっぱり、御本人も一緒なんですね」
「ハッハッハ。これもまた、“悪い癖”だと怒られてはいるんですけどね。どうしても、古い人間なので」
戦闘フィールドに入り、暗い路地を真っすぐ進んでみれば。
やはり相手は、私の事を待っていた。
裏道の様な場所のど真ん中で、奇襲を掛ける様な事も無く。
罠を張る訳でも無く、ただただ待っていた。
そして。
「それでは、手合わせをお願い致します」
「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします」
二人揃って、ペコッとお辞儀してから。
静かに、両者共姿勢を落として構えを取った。
でもまだ武器を抜いた訳じゃない。
相手は腰の刀、その柄に掌を当て。
私の方はスーツのジャケットの裾をズラして、ホルスターに刺さったままのハンドガンのグリップにソッと掌を触れた。
しばらくの間、と言っても数秒だったのだろうけど。
此方からすると随分と長く感じる間、ジッと睨み合うだけの時間を過ごしてから。
「ふっ!」
「――フッ! お見事……速いですな」
間違い無く、避けた。
本当に一瞬の内に、上体を横にズラして。
無駄な動きなんて一切ない、まるで瞬間的に動いた猫みたいな反応速度。
僅かな動きだったとしても、身体全体を使って素早く回避したのが見ただけでも分かる。
凄い、やっぱりこの人は凄い。
達人とか、プロって言葉のレベルじゃない。
もはや超人とも言える程の観察力と、自らの身体の動かし方を本当の意味で理解している。
避けている間も、そのまま物陰に隠れる時も。
一切此方から、というか私の目から視線を逸らさず動いている。
周辺の環境など、もはや一瞬見ただけでも記憶しているのだろう。
だとすれば、あとは此方がどう動くかを観察するだけ。
言葉にすれば簡単だが、普通そんな事出来ない。
けど、私だって負けるつもりで挑んだ訳では無いので。
「逃がすかっ!」
威嚇射撃を繰り返しながらも、相手を追いかけ暗闇の中へと飛び込んでみれば。
「すっ!」
「上!」
脇道に入ってすぐに飛び掛かって来た10の刀が、私に向かって振り下ろされるが。
こちらも、相手の真似をする。
迫る刃ばかりに集中するな、私が見るべきは相手だ。
その場その場で対応するしかない敵だったとしても、今目の前に迫る脅威だけに集中しているだけでは、絶対に勝てない。
だからこそ、次に相手がどう攻めようとしているのか……ちゃんと“見る”事。
そして迫る一撃は避けるのが“当たり前”のモノとして対処して、その先を予測する。
そうじゃないと、反撃が間に合わないから。
「ふっ!」
「っ!? 見事!」
身体をズラすのではなく、“逸らす”だけで振り下ろされる刃をギリギリ回避しながら。
かなり近い距離で膝を持ち上げる。
コレが相手の手首に命中し、向こうが片手で刀を持っていた事も影響したのか。
重い刃物を振り下ろした重量、そして勢いと速度。
それに逆のエネルギーを加える事で、グキッと嫌な音が向こうの手首からは響き。
その場に刀を取り落としたではないか。
「そこっ!」
「そちらはちょっと分かりやすいですね」
武装解除に成功した瞬間に、相手の腹に向かってハンドガンの銃口をねじ込もうとしたのだが。
向こうの発言通り、予想しやすい行動であったらしく。
余っていた方の手を使い、絡みつかれる様にして逸らされてしまった。
というか、このままじゃ不味い。
銃を逸らされただけじゃなくて、やられっぱなしにしたら腕を折られる!
「っ!」
「おっと?」
あえて此方も身体を捻るどころか、身体を横に回転させる様にして跳んだ。
なんて言うんだろう、手を使わない側転? とでも表現すれば良いのか。
人間の駆動限界以上に捻り上げられそうになったところで、身体ごと使って回避。
今度はこっちが相手を巻き込む形で立ち位置を移動して、そのまま地面に引き倒そうと足払いを掛けてみれば。
「非常に綺麗、ではありますが……なっ!?」
テンが軽く跳躍して蹴りを回避、それどころか此方の足を踏み砕こうとして来たので。
これに対して、同時にハンドガンを無理やり構え至近距離から数発発砲。
急所を狙った訳でもないし、当然防弾服に防がれてしまうが。
それでも、絡められていた腕が離れた。
バッと音がする程の勢いで半歩ほど下がり、胸の前で短くハンドガンを構え直したが。
どうやら相手がナイフを抜く方が早かったらしく。
既に目の前に刃の切っ先が迫っていた。
着地と同時に行動としか思えない程、早い対応速度。
怯みとか無いんですか!? とか思わず聞きたくなるけど。
でも、想定内。
NPCだってアレだけ強かったんだ、本人がそれ以下なんて事は絶対にない。
だからこそその場で上体を後ろに逸らしつつ、ナイフを回避。
完全に当てずっぽうとも言える状態で、威嚇の為に引き金を引いてみると。
また複数発、防弾服の上からヒット。
確実にダメージを蓄積させて行き、相手の行動力を奪う。
一撃必中がとにかく難しい相手だからこそ、一対一ならこれしかない。
でもここぞって所では攻めないと勝てないプレイヤー。
本気で強いよ、この人。
これまで見た事無い程、“人間離れ”しているって感じの超人。
とにかく“殺す事”に特化しているみたいに、一度でも失敗すれば簡単に敗北すると分かる。
「ふっ!」
「すっ!」
此方が短く息を吐き出す音と、相手が短く息を吸い込む音。
そしてナイフと銃のぶつかる音、度々の発砲音。
それだけがこの場には響き渡り、傍から見たら相当訳の分からない戦闘を繰り広げている事だろう。
でもこっちとしては……本当にギリギリ。
全神経を集中させる勢いで相手の動きに付いて行かないと、とてもじゃないけど対処出来ない。
銃を向ける、逸らされる。
ナイフが迫れば腕ごと逸らすか、銃本体をぶつけて受け流す。
ワチャワチャと暴れている様で、どちらも良い一撃が入れば即死という。
とてもじゃないが、息をつく間もなく行動を続けつつ。
あえて一瞬だけ、向こうが行動を遅らせた。
間違い無く、誘われてる。
これをチャンスだと勘違いして突っ込んだら、間違い無く次のナイフが来る。
なので、此方は迷うことなくバックステップしてから。
「まさかの!」
「無粋ですみません!」
両者の間にフラッシュグレネードを放り込んで、一旦逃げた。
炸裂音と共に眩い光が周辺を包み込み、忙し過ぎる戦闘に僅かな休憩時間が出来た瞬間。
『夢月! 残りの相手の装備は――』
「お兄ちゃん! お願い止めて!」
すかさず兄からのサポートが入りそうになって、思わず叫び声を上げてしまった。
今だけは、ヒントはいらない。
だって目の前に答えがあるのだから、私がソレを読み解けば良いだけだ。
すると、向こうからも。
「サポーター様、今だけは……無粋というモノですよ。問題ありません、“楽しませて”下さい」
どうやら向こうも同じ状況に陥ったらしく、助言をお断りしている様だ。
なので。
「良いんですか?」
もう敵の姿が確認出来なくなってしまった暗闇に、そんな声を掛けてみれば。
「お互い様、という他無いでしょう。こんな良い試合、ヒントなど貰っては“勿体ない”」
向こうの姿は確認出来ないが、どこからかそんな声が響いて来た。
本当に、この人は。
“timelimit:10”は凄い人だ。
そして私も、彼の戦闘スタイルに影響されているのか。
思わずニッと口元が吊り上がってしまったのが自分でも分かる。
「それじゃ……続けましょう。回復とか、しておきます?」
「ハハハッ、まさか。アレ等は“現実的”ではありませんからな。手持ちはありますが……シックスとの勝負の時だけは、捨ててしまいましょうか」
暗闇からは、パキンッ! と小さな瓶でも割ったかのような音が聞えて来た。
これに対して、私の方も更に口元が吊り上がり。
「じゃぁ私も、“受けて立ちます”。どうせなら、フェアに戦って“確かめたい”ので」
インベントリから回復アイテムを全部取り出してから、それらを地面に放り投げてからパンッ! と一発発砲。
見事に砕けちって、お互いに“ズル”は無しの状態になる。
「ふふ……ハハハッ! 素晴らしいですね、シックス。貴女程のプレイヤーが、まさに“戦士”とも言える存在が現代に残っているとは思いませんでした」
「私はそんな大した者じゃありませんよ。ただの臆病な弱虫です」
「臆病なのは、悪い事ではありませんよ。むしろそういう動物の方が、鋭い牙を隠しているモノです」
「では、貴方にも通用するか……試してみますね」
それだけ言って、物陰から飛び出して銃を構える。
さぁ……もう一回だ。
改めて、集中して行こう。
こんな純粋に“高める”事だけに高揚を覚えたのなんて……それこそ、初めてかもしれないのだから。
だったら、“楽しまないと”嘘でしょ。
コメント
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うわっ、めっちゃ熱い戦いでしたね…! お互いに回復アイテムを捨ててフェアに戦うって、本当にかっこよすぎます。シックスが「ただの臆病な弱虫」って言うところ、なんかぐっときました。自分をそう言いながらも、一歩も引かずに立ち向かう姿がもう…。10の人柄も渋くて素敵で、この2人の戦い、ずっと見ていたい気持ちになりました🥀✨