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〈broooock side〉
ーーーぶるーくっ!
うわぁ、困ったな。
ついに幻聴まで聞こえるようになっちゃった。
もう僕にできることは何もないし、なかむのように思い出に浸るような余裕はないよ
kr 「え、ぶるーく?おいってば!」
きりやんが僕を心配して体を揺すっても反応することができない。
あぁ僕、いま抜け殻みたい。
kr 「しっかりしてよ!ほらっ」
彼が僕の顔を思い切り掴んで階段の先に向けさせた。
自然と僕の視線はまっすぐを見つめる。
彼岸の扉が目の前に広がっていた。
、、、、
、、、、、、?
彼岸の扉はリセットの際に全て閉じたはず。
なんで今ここに?僕のお迎えかな。
ーーーぶるーくっ、ここだよ!!
鼓膜を震わせるその綺麗で高らかな音。
それは幻聴ではなかったようだ。
kn 「ただいっ、、、」
kn 「まぁ!!!」
ドウッ
正面から飛んできたその体は暖かくて、いつものように僕の体に収まるようで、そしてしっかりと触れることができた。
br 「きんとき、、、きんときだぁっ」
戻ってくるなんて思ってなかった。さよならの覚悟すら曖昧にしようとしていた僕の目を覚ますように飛び込んできた彼の瞳の美しさは目に毒なほどだった。
その体を二度と離さないようにと強く抱きしめた。苦しいと僕の体をバシバシ叩くけど絶対に離してやらない。
そのあとはあんまり覚えてない。
赤子のように泣き喚いては頬を撫でるその温もりに安心して、ただ頭を撫でられる感覚だけを覚えて目を閉じた。
〈kiriyan side〉
kr 「うぅ、まじで帰ってきてよがった、」
kr 「きんとき、、シャークん、、。」
kn 「泣きすぎだって笑」
sh 「きりやん、なかむは?? 」
kr 「いつもの教室行ってるよ」グスッ
するとすぐ戻る、と言って駆け足でなかむの元へ向かった。
あぁなんて眩しいんだろう。
その後ろ姿も、溢れる想いも、必死な表情も、全てが本当に美しいと感じた。
でも俺の最愛の人は帰ってこない。
それが彼の意思だってことも気づいていた。
kr 「きんとき、あっちでスマイルと会えた?」
kn 「あ、そうそうそれについて話したくて」
横で静かに瞳を閉じるぶるーくの髪をサラサラといじりながら彼はあちらの世界でのことについて話してくれた。
kn 「、、、だからスマイルは別の方法でこっちに戻ってくるって言ってた。」
kr 「なるほどね、、、わかったあとは俺ひとりで待つよ」
kn 「いやでも、俺たちだって、、」
kr 「二人で話したいことがあるんだ。それにみんなも夜通しで疲れてるでしょ?」
kr 「なかむたちに声かけて先帰りな」
…………………………………………………*
〈shake side〉
カラカラッ
いつもの教室。
朝の短い時間を過ごしたのも、揶揄いあったのも、 喧嘩をしたのも、想いを伝えたのも。
この教室には俺たちの日常が残ってる。
でもいつもとは違う。
雨の音は邪魔してこないし、朝陽が夜の気配を癒す。
sh 「なかむ、、、なかむ」
sh 「返せよ。それ俺のヘッドホンな」
ヘッドホンを取ろうとして少し顔に触れた。
瞳を閉じているはずの彼の頬は濡れていて、少し跡が残っていた。
、、、泣いてるのか
長いまつ毛がまだ残る微かな月明かりに照らされてキラキラと輝く。
sh 「いい加減起きろ。もう朝になるって」
nk 「しゃけのいない世界なんて起きたってしょうがないだろ、、、、」
sh 「何言ってんだよ」
思わず笑ってしまったけれど、寝てるのか?
さっきから会話が成り立っていないし、声も震えを帯びてそれが俺の胸を苦しくさせる。
nk 「やっと素直になれるはずだったのに」
、、、なんだよ、それ。
俺はここにいるって、その目を開けばわかるだろ。確認できるだろ。
、、、なんで勝手に諦めてんだよ。
チュゥ
俺は苛立ちを覚えながら、彼に目覚めのキスを交わした。涙が混ざるその唇は少ししょっぱかった。
nk 「、、、ぜんぶ忘れさせて」
、、、どうして?
俺がいなくなったら俺との思い出を捨てるの?
そんな簡単に捨てようと思えるほど、軽いものだったのか?
俺はここにいる。これからもずっと
ここにいるよ
どうしたら伝わるんだよ、、、。
〈nakamu side〉
なんだか落ち着かない、、、。
夜の気配が消えたのか、背中がやけに暖かい。
あぁ、ちがう。これは人の体温だ。
、、、、、。
、、、、、、、、、。
、、、この自分の感覚を信じていいのだろうか
この体温は俺が触れたいとずっと思っていた、彼のものだ。と本能が語りかける
いいや、騙されるな。
目を開けても失望するだけだ。
朝陽が差し込む教室だけがやけに眩しくて、俺はひとつの影を見つめるだけなんだ。
ーーー♪
あぁ。これが嘘じゃないと言ってくれ。
俺の勘違いではないと。
このヘッドホンから流れる音楽は俺がカラオケで歌う大好きな曲で、しゃけが高いからと文句を言うけれどなんだかんだ一緒に歌ってくれるあの曲、、、、
この耳に流れる意味が本物でありますように。
朝陽の眩しさに抗って、俺は光を受け入れるように瞳を開いた。
sh 「おはよう、なかむ」
あぁきっとこれは嘘じゃない。
後ろから抱きしめられるこの感覚も、片耳では流れ続けるこの曲も、左耳で捉えたその低音の声も
絶対に、うそじゃない。
nk 「シャークん、、、大好きだよ」
あぁ。やっと素直になれた