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2年になって6ヶ月が経った。
「圭太、余り良くない噂を耳にしたんだけど――」
「何だよ、良くない噂って?」
学校が終わり、駅までの道のりを1人で歩いて帰っていると、ゆずきが珍しく神妙な面持ちで話しかけてきた。
「マナのことなんだけどさ――」
「マナがどうかしたのか?」
「最近、マナに変わったところはなかった?」
「変わったところ? 別にないと思うけど――」
「マナは?」
「帰りのホームルームが終わると、走って教室を出て行ったよ」
「そうなの――」
「そういえばマナのやつ、最近学校が終わると慌てて教室を出て行くことが多くなったよな。今までは一緒に帰ろうってウルサイくらいだったのに――」
「やっぱり――」
「それがどうしたんだ。あいつは気まぐれで自由奔放だから、自分に都合のいいことがないから先に帰ったんじゃないのか?」
「私にだって、それくらいはわかってる。でも、今回のはちょっと違うみたいなの――」
ゆずきは俺と目が合うと、何故か視線を反らしていた。
「良くない噂っていうのと何か関係があるのか?」
「そっ、そうみたい――」
「何だよ? 知ってるなら言えって!」
「実は――マナなんだけっ――」
「ちょ、ちょっと待って! 別にマナのことなんてどうでもいいけど、そんなに良くない噂なのか?」
「ショックを受けるかも――」
「ショック? 俺がマナのことで? あり得ないだろ」
「それなら言うけど、本当にいい?」
「俺は別に構わないよ」
「マナが3年の飯塚先輩と一緒にいるところを、見たっていう人がいたの」
「えっ!?」
ショックというよりは、意外なビックネームの登場にドン引きだった。
「大丈夫?」
「何が?」
「顔色悪いよ」
ゆずきは俺の頬に手を当てて心配そうにそう言った。
「普通だよ。それより飯塚先輩って言えば、サッカー部のキャプテンで女子からは学校一モテるっていう、あの飯塚先輩か?」
「そう――」
「飯塚先輩って学年のマドンナの白鳥先輩と付き合ってるんじゃなかったっけ?」
「飯塚先輩って、白鳥先輩以外にも、沢山の女子と噂になってるみたいよ。遊ぶだけ遊んで、飽きたら要らなくなった物のように捨ててるらしいよ」
「サイテーな野郎だな。マジで許せねぇ」
「私だって同じ気持ちだよ。でも今問題なのは、そんなサイテー男と何でマナが一緒にいたかってことよ」
いつもクールで冷静沈着なゆずきが顔を真っ赤にして興奮していた。
「何か知ってるみたいだな?」
「まっ、まぁ――」
「何だよ、言えって!」
「マナと飯塚先輩がラブホに入って行ったんだって――」
「――――」
ショックじゃないと言えば嘘になるかもしれないけど、余りにも現実味がなさすぎてよくわからなかった。