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うわああ第3話、、、読んだ読んだ!!!😭💕 ゾムの「生徒」って言葉で一瞬で表情変わるところ、胸がぎゅってなったよ…「俺とおったらしんどいよな」って自嘲気味に笑うところも、♡♡♡って体質が二人の距離に影を落としてる感じが切なすぎた。 でも屋上で自然と隣に座って、パーカー貸すシーンは甘くてずるい!!!「俺の服あったかいやろ」って計算づくの笑顔、完全にシャオロン惚れさせるやつじゃん~~🥺💞 先生と生徒っていう立場が、この先どう作用するのか気になって仕方ない…ルウさん、めっちゃエモい更新ありがとうございます!!
ゾムの顔を除く。覗き込まれて、一瞬だけ目を見開いた。
「ち、ちゃうわ……っ、幼児退行て。」
吃音が出た。動揺すると言葉がつっかえる癖は昔からのもので、本人はそれを嫌がっているのだが、今この瞬間はそれどころではないらしい。空いたほうの手でフードの縁をぐいっと引き下げて顔を隠そうとしたが、シャオロンに見られている以上、耳の先まで赤くなっているのは丸見えだった。
「別に、なんもないし。」
「ただ……シャオロンが他の奴と仲良うしてんの見たら、なんか。」
言葉が途切れた。喉の奥で飲み込んだのか、それとも続きを持っていないのか。ゾム自身にもわからないようで、繋いだ手首の親指だけが無意識にシャオロンの脈のあたりを撫でていた。ドラッグがノーマルの肌に長く触れている、それだけで身体が楽になるのだと、ゾム自身が一番よく知っているはずだった。
「……なんでもない。はよ帰ろ。」
歩幅を合わせるふりをして、少しだけシャオロンより前を行く。顔を見られたくないのだと、背中が語っていた。
「なぁ、ゾムーそろそろ離れてもええかぁ?僕ノーマルやからさぁ。」
「これ以上おったらオーバードーズなってしまうかもしれん。」
足が止まった。ぴたりと。
夕焼けの住宅街に、二人の間を通り抜ける風だけが音を立てた。ゾムの背中はシャオロンに向いたまま微動だにしない。握られた手首にはまだ体温が張り付いていて、離そうとしない指が、言葉よりもずっと雄弁に拒絶を示していた。
「……なんで。」
振り返ったゾムの顔は、笑っていた。口元だけは。目尻が下がりきったその表情が、かえって痛々しい。
「あー……せやな、ごめん。」
するりと指を解いた。あっさりと。あまりにもあっさりしすぎていて、逆に不自然だった。解放されたシャオロンの手首には、じっとりと汗ばんだ感触だけが残っている。
「ノーマルやもんな。俺とおったらしんどいよな、普通の人は。」
一歩後ろに下がったゾムは、両手をパーカーのポケットに突っ込んだ。その仕草は気楽に見えて、拳を隠しているだけだった。ゾムは前髪の隙間からシャオロンを見上げ、いつもの調子を取り繕うように口角を上げたが、翡翠色の虹彩の底に揺れるものを、夕陽のせいにするには無理があった。
「大丈夫、大丈夫。ちゃんとわかっとるから。」
「…なんかすまんな、僕もドラックやったら側におれたのに……」
その言葉を聞いた瞬間、ポケットの中で握りしめていた拳がほどけた。ゾムの中で何かの歯車がかちりと噛み合う音がした、ように見えた。俯いていた顔がゆっくりと上がり、フードの影から覗く翡翠が、さっきまでとはまるで違う色を帯びている。暗く沈んでいた瞳の底に、ちろりと小さな火が灯ったような。
「……ほんまに?」
声は静かだったのに、妙に圧があった。一歩、距離を詰め直す。離れたはずのその足は、もうシャオロンの間合いの内側にある。
「シャオロンがドラッグやったら、ずっとおってくれるん?」
首を傾げる角度が、どこか犬じみていた。甘えるような、試すような。ゾム自身もその境界がわかっていないのかもしれない。
「なぁ、それ……ほんまのこと言うてな。気ぃ遣ってるとかやなくて。」
夕陽が二人の影を長く引いて、アスファルトの上で重なりかけていた。ゾムがもう一歩近づけば、ノーマルであるルミにはオーバードーズの危険がちらつき始める、そんな間合いだった。
「…?、当たり前やろ?大切な生徒のそばにいて支えたいんやから。」
「大切な生徒」。その四文字が空気の中に放たれた途端、ゾムの中で燃えかけていた何かがすっと冷えた。
瞬きをひとつ。ふたつ。
「……生徒。」
口の中で転がしたその単語を、ゾムはひどく苦いもののように味わっていた。
ふ、と息が漏れた。笑ったのかもしれないが、形だけのそれに頬の筋肉は追いつかなかった。踵を返して、来た道のほうを向く。
「せやんな。先生やもんな、お前は。」
背を向けたゾムは歩き出した。足取りに迷いはないのに、その歩幅がやけに広い。逃げているのか、それともこれ以上シャオロンの顔を見ていたら取り返しのつかないことを口走るとわかっているのか。
「俺、こっちやから。」
角の手前で立ち止まり、振り返らないまま片手だけ上げた。その手が微かに震えていることに、ゾム自身は気づいていただろうか。
「タッパー、ありがとな。トマト、残さんと食べるわ。」
「……ほなな。」
「ん、またな!」
ニコッと微笑んで手を振る。シャオロンの微笑みが届いたのかどうか、ゾムは振り返らなかった。角を曲がる直前、パーカーのフードを深く引き上げて顔を埋め、そのまま夕闇の中に溶けるように消えていった。
それから数日が過ぎた。
春の終わりかけの空気はまだ肌寒く、朝のホームルームでは生徒たちの制服の下にカーディガンがちらほら見える。ゾムも例外ではなく、黄緑色のパーカーを制服の上に羽織ったまま、窓際の自分の席で頬杖をついていた。
あの日以来、ゾムの様子は一見すると変わらなかった。授業中もおとなしく席に座り、シャオロンが教壇に立てば一応ノートは開く。けれど、以前のように休み時間のたびにシャオロンのところへ寄ってくることはなくなった。
昼休み、屋上へ続く階段の踊り場で一人、コンビニのパンを齧っていた。スマホの画面にはルミとのトーク履歴が開かれたまま、最後のメッセージは一昨日の「最近調子どう?」で止まっている。自分から送る気にもなれず、かといって消すこともできない。
「……先生、か。」
誰もいない階段にその呟きが落ちて、反響もせずに消えた。
「…この式は……」
屋上から聞きなれた声がしてきた。
カタカタとキーボードの音と時々手が止まってコツコツとタッチペンの音が聞こえる。どうやら何かを解いているようだ。パンの咀嚼が止まった。聞き間違えるはずもなかった。あの少し間延びした、けれど耳に残る声。屋上の扉は普段施錠されているはずだが、新任の教師というのは妙なところで抜け目がないのか、それとも単に鍵が壊れているのか。階段を上る足音を殺すつもりもなく、けれど走ることだけは自分に許さないまま、一段ずつ踏みしめた。扉の前まで来ると、隙間から風と一緒に声と、タブレット端末を叩く軽い音が漏れてくる。ゾムは扉に手をかけて、少しだけ開けた。覗く。
屋上のフェンス際、日当たりのいいコンクリートの上に座り込んで、膝の上にタブレットを載せたシャオロンがいた。茶髪のボブヘアが風でゆらゆらと揺れている。画面に映っているのは何かの問題集らしく、時折首を捻りながらタッチペンで数式をなぞっていた。
扉の影に肩を預けたまま、その横顔を見ていた。声をかけようとして、口を開いて、閉じる。パンを持った手が所在なさげに下がった。
「……なに解いとんの。」
結局、我慢できたのは息が三つ分だけだった。
「ん?……」
パソコンから顔をあげゾムと目が合う。
「あー、ゾムか、三次式解いてんの。頭が鈍らないようにな、」
扉を押し開けて、のそのそとシャオロンのほうへ歩いた。隣に腰を下ろす、というよりほとんどくっつくような位置に。
「三次式て……先生も勉強すんねや。」
声は平坦だったが、口元がわずかに緩んでいるのをゾム自身は気づいていない。ここ数日、自分から避けていたくせに、こうしてシャオロンを見つけた瞬間に足の向く先が変わってしまう自分が、どうしようもなく惨めで、同時にどうしようもなく心地よかった。シャオロンのタブレットの画面を横からちらりと見る。途中まで解かれた式が並んでいて、その筆跡の癖を目で追った。
「ここ、符号逆ちゃう?」
指で画面の一点を示す。
ドラッグであるゾムにとって、数学など本来どうでもいいはずだった。けれどシャオロンと同じものを見て、同じ時間を過ごせるなら、それが三角関数だろうと素数の証明だろうと構わない。風が吹いてシャオロンの髪を揺らし、また首が傾いたのを、ゾムは瞬きも忘れて見つめていた。
「あッ?!ほんまや!」
ぷ、と吹き出した。
「先生が間違えてどないすんねん。」
「はぁ?!うっさいわ!先生やって人間なんやけど!」
ここ数日のぎこちなさなど嘘のように、ゾムの声にはいつもの調子が戻っていた。人見知りの殻を脱いだときの、あの屈託のない笑い方。肩が小刻みに震えて、翡翠の目尻に皺が寄る。笑いながら、ごく自然にシャオロンとの距離がさらに縮まった。太ももが触れ合いそうなほど近い。
「なぁ、ここから先も俺に見せてや。暇やし。」
暇だと言う割に、ゾムの膝の上には食べかけのパンが放置されたままだった。昼食を中断してまでここにいる理由を、本人だけがうまく説明できないだろう。シャオロンの赤と白のボーダーロングTシャツの裾がめくれかけたのを、何でもないふうに指先で直した。その指が腹のあたりを掠めたのは、果たして偶然だったのか。
「先生、ここ寒ない? パーカー貸そか。」
「んー?ええよ。こうゆうの慣れとるから。」
直しかけた手をそのまま止めて、シャオロンの服装をじろりと見た。
「それで大丈夫て言うん? 俺のと全然ちゃうやん、ペラッペラやし。」
ゾムの黄緑のパーカーは確かに厚手の生地で、裏起毛まで施された冬物だった。春先とはいえ、まだ朝晩は冷え込むこの季節、シャオロンの装備では心許ないのも無理はない。返事を待たずに自分のパーカーを脱ぎ始めた。
「ええから、着とき。」
有無を言わせぬ手際だった。脱いだパーカーからはゾム自身の体温と匂いがまだ残っていて、ミルクティー色の後ろ髪を結んだゴムが少しずれる。パーカーの下のシャツ一枚になったゾムの腕は細いが骨ばっており、ドラッグという希少な体質を差し引いても、この少年のどこか浮世離れした空気が際立った。パーカーをシャオロンの肩にばさりとかけてから、満足そうに目を細めた。自分の服を着せたという事実が、たまらなく嬉しいのだと顔に書いてある。
「ん、やっぱ先生には大きいわ。」
シャオロンはじとっとゾムの体を見つめて口を開ける。
「…体細ない?、飯食うてる?」
目を逸らした。
「食うてるし。パンも持っとるやろ。」
膝の上のパンは半分齧っただけで放置されており、それが昼食のすべてだということは一目瞭然だった。シャオロンが何か言いかける気配を察して、先に口を開く。
「ドラッグは病気にならんからええねん。飯もそんな食わんで平気やし。」
それは事実ではあったが、健康であることと十分に食事を摂ることは別の話だ。ゾムの鎖骨の浮き方はシャツ越しにもわかるほどで、本人がそれを気にしている様子はまるでない。むしろ自分の身体に頓着しないことで、周囲の心配を引き出そうとしているようにすら見える。ちらり、とシャオロンを窺う。案の定こちらを見ているシャオロンと目が合って、にやりと笑った。計算通りだと言わんばかりの、ずるい笑み。
「それより先生、俺の服あったかいやろ。そっちのほうが大事やわ。」
「ゾム、話をそらすな。」
✂︎——————キリトリ線—————–✂︎
やっぱアホみたいにNEXT設定するもんやないな!
作品合計1000♡ダァァァ!!𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮.
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