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律の表情が緩む、その瞬間。
宴会場の入口に立つ人影があった。
「……琴音さん」
華が気づくよりも早く、琴音の視線は律と華に向けられていた。
律がクロスを手にして微笑む姿――それは普段、滅多に見られない光景だった。
琴音の瞳がほんの一瞬だけ揺れた。
けれどすぐに、いつもの穏やかな微笑みに戻る。
「……失礼しました。続けてください」
そう言い残して踵を返す琴音の背中に、華の胸は妙なざわめきを覚えていた。