TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

日曜日――。


約束の十四時。

旦那さんとお子さんに昼食を作らなければいけないからという理由で、十四時の待ち合わせとなった。


遥さんは夕日と都内の景色が綺麗に見える、シースルーになっている観覧車に乗りたいと言っていた。

十台に一台、そのシースルーゴンドラになっているらしい。

高いところは苦手だけど、遥さんが一緒なら大丈夫な気がした。



約束の時間になり、入場口の前で待っていると「桜!」

遥さんの声がした。


「お待たせ!」


「いえ、私も今来たところなので……」


「じゃあ、今日は嫌なことを忘れて楽しみましょう!観覧車はやっぱり最後がいいから、まずは何乗る?」


遥さんとプライベートでご飯は何度か行ったことがある。

遊園地は始めてだ。

都内に友人がいない私にとって、本当に嬉しい誘いだった。

こんなお姉ちゃんがいたら良かったのにって何度も思う。


「桜って、絶叫系とか大丈夫なの?」

「得意な方ではないんですが、乗れますよ!」


「じゃあ、あれ乗ってみたい!」

遥さんが指差したのは、この遊園地の中で一番人気のジェットコースターだった。


傾斜角度がすごいことになっているけど……。

何事にも挑戦だ!


「はい!」

返事をして、コースターの列に並ぶ。


「ねぇ、桜。急に変なこと聞くけど、蒼のことどう思っている?」


「えっ!」


蒼さんのこと?

急な質問に戸惑う。

遥さん、気付いているのかな。正直に話した方がいいよね。

嘘はつきたくないし……。


私が話したことで、遥さんとも蒼さんとも関係が崩れたりするのが怖い。


私が悩んでいると

「桜が何を言っても、私は何も変わらないよ。桜の上司であり、一番の友達って言ったらなんか変だけど、お姉ちゃんとして思ってくれても構わないし。とりあえず、私の大切な桜であることは間違いないから」


その言葉が嬉しかった。


「私、この前自覚したんですけど……。蒼さんのこと、好きです」

あぁ、顔が赤くなっちゃう。


「それは、恋愛感情があるってこと?」

遥さんが優しく訊ねてくれた。


「はい。あります。告白とかは考えていなくて。今の関係が壊れるくらいなら、ずっと友達のままでいたいです」


これが私の本音。


「そっか!教えてくれてありがとう、桜。桜の気持ちを正直に教えてもらえただけで私は十分。さぁ、もうすぐジェットコースターだよ!」

話題を変えるように遥さんはジェットコースターを指差した。


そして――。

その五分後

「いやぁぁぁぁぁぁ!!」

「あはははははっ!!」

私たちは正反対の絶叫を迎えることになる。


「次はあれよ!」

休むヒマなく誘われたのは、先程よりは傾斜角度がないジェットコースター。

あれなら私も大丈夫だと思って乗ったら

「いやぁぁぁぁぁ!!速いぃいぃー」

急降下はないが、とにかくスピードが速い。

隣にいる遥さんは

「すごーい!」

余裕そうに笑っている。


「桜、次はあれ乗りたい!」

遥さんの希望は、大きな船が空中で左右に揺れるアトラクション。

「はいっ!」

返事をしたものの

「ぎゃぁぁぁ!!」

左右に揺れる遠心力がすごい。左から右、右から左へ動くたびに悲鳴を上げてしまう。


一方、遥さんは

「わぁぁぁ!気持ち良いー!」

これも余裕そうだった。


久しぶりに連続で絶叫系に乗った私は、フラフラになってしまった。

「ちょっと!桜、大丈夫?」

「はいーーー」

アトラクション出口から出てすぐの近くにあったベンチへ座らせてもらった。


「あんなに怖いとは思ってはいませんでした」

放心状態の私に

「桜、めっちゃ、声出てたよ。面白かった。ちょっと待ってて。飲み物買って来るから?」

「あっ、私が行きますっ!」

「いいよ、フラフラじゃん。そこに座ってて?」

「すみません」

先輩なのに、本当に申し訳ない。


しばらくベンチに座っていると身体も楽になってきた。

遥さん、遅いな。どうしたんだろう。

もう動けるし、探しに行った方が良いかな。


そんなことを考えていたら

「ねぇ、お姉さん一人?一緒に遊ばない?」

二人組の男性に話しかけられた。


えええええっ、私に声かけてくる人なんかいる!?

声をかけられたことなんて、何かの勧誘以外、ほとんどない。


「すみません。一緒に来ている方もいるので。お断りします」

そう答えた。

「えー。良いじゃん。じゃあさ、その子と一緒でも良いよ?俺たちも男だけでつまらないし……。ちょっとだけでも……」

強引に私の腕を引っ張った。

こんなこと、私でも体験するんだ。


「すみません。ご遠慮します」

何度言っても、わかってくれない。

もう一人の男の人にも引っ張られ、どこかに連れて行かれそうになった時だった。


「やめろよ。嫌がってるだろ」


えっ。その声――。


「蒼さん!?」

どうしてここに!?

綺麗なオネエ?さんは好きですか?

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

31

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚