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ふわねこカラメル
第30話:旅人の歩み
都市と鏡の世界が重なり、裂け目からあふれ出した光は、あらゆる人々の瞳を揺らした。
国家の管理職たちは秩序の崩壊を恐れ、民間フォージャーたちは新たな未来を奪い合おうとした。
守られなかった命たちはただ静かに、クオンを見つめ続けていた。
灰色の外套を纏ったクオンは、その中心に立っていた。
額の第三の眼が脈打つように輝き、灰色の瞳は冷静に、しかし深い決意を宿していた。
ラディウスは濃墨のマントを翻し、緑の瞳を冷たく光らせる。
「秩序を壊す者は、破壊者でしかない!」
ユリクは赤茶の髪を乱し、紫の瞳でクオンを見た。
「……あんたの選択に従う。俺も、造られた命に意味を与えたい。」
リサは黒髪を束ね、琥珀色の瞳を燃やす。
「誰に何を言われても、私はクオンの正義を信じる!」
トーマは緑の作業服の拳を握りしめ、険しい表情で歯を食いしばる。
「都市が崩れても……あんたが選んだ道なら、俺も見届ける!」
ミナは三つ編みを揺らし、水色の瞳を潤ませながら叫んだ。
「生きたいって声を、絶対に無視しないで!」
守られなかった命たちの影が、クオンの背後で淡く光った。
その声なき声を受け止め、彼は静かに口を開いた。
「俺は秩序に従わない。
命を守る正義を貫く。
たとえこの身が孤独でも──旅を続ける。」
第三の眼が大きく輝き、裂け目がゆっくりと閉じていく。
鏡の世界の残像は消え、都市には再び日常のざわめきが戻った。
だが、人々の心には消えない影が刻まれていた。
ラディウスは遠くからその姿を睨み、緑の瞳を細めて吐き捨てた。
「……旅人に過ぎん。だが、その孤独が世界を揺るがす。」
クオンは誰にも振り返らず、灰色の外套を揺らして歩き出した。
荒野へ、都市の外へ、そして未来へ。
彼の背中は孤独だった。
しかし、確かに「命を愛する旅人」の姿がそこにあった。
やがて影は遠ざかり、残された世界は静かに揺らいでいた。
秩序か、命か──その答えはまだ誰も知らない。
物語は幕を閉じた。
だがクオンの旅は、終わらない。