後編です。先に前編を読んでからこちらを読んでください。
かなり超特急で完成させたのでいつも以上にキャラ崩壊してたり、展開がめちゃくちゃかもしれません。
目についたところはコメントで書いていただけると直します。
<注意>
この作品は9割が捏造でできています。
ご本人様とは一切の関係がありません
キャラ崩壊あり
では本編へ
『……にしても、お化け屋敷っていうには綺麗すぎるよなー……』
俺はレンガでできたアーチを通り抜けながらそういう。
アーチには左と右で色が分かれたランタンがついていて少し不自然さを感じながらも、それとは裏腹に調和されたような感じもする。
『そうですね。屋敷の前にある庭もよく手入れされていますし、屋敷の外観もちょっと古びてるかなーって感じでお化け屋敷には見えませんね』
『そもそも何でお化け屋敷って呼ばれてるの?』
噴水の横を通り抜け、階段を登り扉の前に立つ。
『なんか噂によれば、近くで人影らしいものを見たかららしいですよ』
『それだけ?』
『いや、その人影は少し目を離した隙に消えたとかなんとか……』
『ふーん』
いかにもって感じの噂だな。
『とりあえず、さっさと中に入りましょうよ』
『……なんか妙に声が楽しそうじゃないか?』
『ソンナコトナイデスヨー』
……まぁいいけどさ。
扉を開けて中に入る。
中には赤色のカーペット……いや絨毯か?まぁどちらにせよそういうものが敷いてあって、正面の階段と左右の扉に繋がっている。
全体的に白と赤を基調とした広間のようになっており、所々には柱が生えている。
上を見ればバカでかいシャンデリアが広間を照らしているのがわかった。
かなり広いなぁーと周りを見渡していると、一つ特徴的なものが目につく。
『……黒電話?』
小さい本棚の上に置かれた一つの黒電話だった。
『……黒電話って今でも使えるの?』
『そんなわけないでしょ。外観の少し古びた感じといい、昔の建物なのかもしれないですね。』
『かもな……とりあえずどこから行く?』
『うーん……ぺいん先輩はどうしたいですか?』
『俺はー……左からかな』
『じゃあ左からで』
そういうわけで左に進路を取る……が扉には鍵がかかっていた。
『……どうしよう、早速詰まったよ?』
『無理やり開けましょう』
『嘘だろぱち?!』
ぱちおがとんでもなく物騒なことを言い出した。ぱちおはそんな奴じゃないはずだ。
『でも、それ以外に手はなくないですか?』
『いや、別の道行くとかさ……』
『でもぺいん先輩は左行きたいんですよね?』
『いや、別に他の道でもいいけど?』
『じゃあ僕が左の道見てみたいです』
じゃあって何だよ。
ぱちおが妙に左を推してくるためしょうがないので強行突破することにする。
……でも扉は鉄でできているし、どうやったら開けられるんだこれ?
『なぁぱち、これどうやったら———』
「そこは俺に任せてもらおうか」
「……うるさいぞ」
「ビビったぁ……何でここにいるんですか市長?」
「どうしても何も、お前の冒険を楽しくするためだ」
「いや、そういうのいらないんで市長一人で———」
「今この屋敷の鍵を全て開けた。じゃああとは頑張れよ」
「いや、ちょっ、 」
急に出てきて急に消えやがったあいつ。
というかやっぱり楽しんでるんじゃねーか……許せねぇ。
この屋敷の鍵を全部開けられるってことは自分は内装を完全に把握してますよーって言ってるも同じだろ……市長も共犯かな。
『とりあえず鍵開いたみたいなんで先に進みましょう』
『…………そうだな』
ものすごく、ものすごーーーく億劫だが、仕方なく進む。
扉を開けると長い廊下があり、壁にはいくつかの扉がついている。
『……もしかしてなんだけどさ、これ全部の部屋調べるの?』
『まぁ、頑張ってください』
『………』
大きい声でちくしょうと叫びたくなったが、今の俺の行動は全部カメラ越しに見られ、聞かれているので下手なことはできないし言えない。
すっごく面倒だがやるしかないか。
そうやって廊下を道なりに進んで、扉があればその都度奥の方を確認していく。
ベッドが三つ置かれている客室と思わしき場所、バーだったと思われる場所、多分食堂……その他様々な場所がある。
ちなみに今は風呂場にいる。
『……マジで広すぎるだろここ。調べるのに何時間かかるんだ……』
『ちなみに今もう五十分経過してます』
……帰りたい。
『……そういえば、ナビゲーターは一時間ごとに交代なのでそろそろぺいん先輩ともお別れですね』
『そうなの?』
『はい』
『そっか、わかった。お疲れ様な』
『いえ、ぺいん先輩に比べればこのぐらい大丈夫です』
そりゃそうだろうな、と思ったが流石に口に出すのはやめておいた。
『ちなみに次のナビゲーターって誰?』
『えーっと、次は……』
『オルカだぞ!』
『お、オルカか。よろしくな』
『よろしく頼む! 』
『じゃ、オルカ先輩も来たことなんで僕は黙りますねー』
『はーい、ありがとなー』
『いえいえ。ではー』
その言葉と同時にぱちおが無線から抜ける。今までご苦労様だったな。
……というか何で無線に一人ずつしか入んないんだ?
『んじゃ、さっさと進むぞーぺいん』
『はーい』
急かされたのでさっさと進むとするか。
その後も進み続け、最初の右側の扉から出てきた。どうやら一周したらしい。
『……ようやく一階が終わったよ……』
『お疲れー。でもここまでなーんにも起きてないな』
『そうだね……まぁ多分俺の迫力にビビってるんだろ』
『さっき市長にめっちゃビビってた奴がよく言うよな』
『なんか言葉のナイフ鋭くない?』
『冗談だ』
冗談でよかった。もし本気で言われてたら割とマジで心折れてたかもしれない。
『そもそも結構明るいおかげかあんま怖いって思わないんだよな』
『それはいいことじゃないか?』
『それはー……そうなんだけど、なんか物足りないっていうか……なんというか……』
『………』
『……ごめんやっぱ何でもない。何もないならそれが一番だよな』
『そうだな』
なんか思考がお笑い芸人のそれになってきている気がする……一体誰のせいなんだろう……俺自身のせいか?
いやこの街のせいだな。絶対に許さんぞ山下市長。
まぁそれは一旦置いときまして。
『後は二階か……』
『頑張れぺいん。あとちょっとだ!……多分』
『外の大きさからして二階までってことはないと思うけどなぁ……三階までは少なくともあると思う』
『……そ、そうか……まぁオルカは頑張れしか言えないから頑張ってくれ』
『言われずとも頑張るよ』
さて、階段を登りますか。
カメラを正面の壁に向けながら登っていると一階からではよく見えなかった二階正面の壁が見えてくる。
『……これまたでかい絵だな』
『だな』
しかしこれまた妙な絵だ。ドレスを着た豚とか誰得だよ。
まぁそんなことよりも二階探索だな。
右か左か、どっちに進もうかな?
「ぺいん」
「ん?どうした?」
「後ろ」
「後ろ?何急に———」
言いながら、後ろを振り向く。そこには和服を着た、白い鬼の仮面をした……何かがいた。
「……!」
思わず声を出しそうになるが、もしこれが件のお化けだとしたらここで声を上げるのは絶対にヤバい。なんとか気合いで声を抑え込み、音を立てぬように後ずさる。
しかし、そこにいたそれは気がつくとまるで最初からいなかったかのように消えていた。
今のが……例のお化けなのか?お化けっていうには迫力ありすぎだけどな。
『……ぺいん?大丈夫か?』
『うん、大丈夫だよ』
『そうか、ならよかったけど……あまり無理するなよ?何なら一回帰ってきてもいいぞ?』
『帰るわ』
『判断が早い』
当たり前だろ。正直怖すぎて今すぐにでも走り出したい気分なんだ。何で俺一人で来させたんだよ頭おかしいんじゃないの?
兎にも角にも帰宅の許可はもらったのでさっさと帰ることにする。
玄関の扉のドアノブに手をかけ———
……動かない
あれ?やばくね?閉じ込められた?まずいまずいまずいこんな所に閉じ込められてたら何が起こるかわからないというかなんで閉じられてるんだよ意味わからんどうしようどうしよう……
『……ぺいん?ドア開けないのか?』
『助けてドアノブが動かない』
『え?』
『閉じ込められた』
『……めっちゃやばいじゃん?!ちょっ、待っててくれすぐにみんなと向かう!』
『なる早でお願いします』
『声めっちゃ震えてるぞ?!大丈夫か?!』
『大丈夫じゃないですめっちゃ怖いです』
『ぺいんのSAN値が?!みんな無線に入ってぺいんに話しかけてやってくれ!』
その言葉と同時にたくさんの人が無線に入ってきて喋り始める。めっちゃうるさい。
……でもそのおかげで一旦落ち着くことはできた。
冷静に考えてみれば無線自体は繋がっているからまだ大丈夫だ。完全に隔離されたわけじゃない。
そのままみんなの励ましの言葉を受けながら、みんなが迎えにきてくれるのを待った。
俺はいつアイツが来てもいいように周りを警戒していたが、アイツは結局みんなが迎えに来ても出てくることはなかった。
「ぺいーん!」「ぺいん生きてるかぁー!」「ぺいん先輩大丈夫ですかー?!」「ぺいんいるかー?!」「ぺいんくん大丈夫?!」
たくさんの俺を呼ぶ声が聞こえる。
ドアで塞がれていて見えないが多分向こう側にはみんながいるんだろう……お化けが擬態とかしてなかったら。
「俺は大丈夫だぞー!どうにか開けてくれー!」
「おっけ!……でもこれどうやって———」
ガチャ、とドアが開いた。
そして目の前のらだおと目があう。
「……え?」
「……普通にドア開きましたけど?」
「え?いや……はい?」
マジで意味がわからない….さっきまではちゃんと閉じていたはずだ。
「ぺいんくんが嘘ついてたってこと?」
「え、違う違う!さっきまでマジで閉じてたんだよ!」
「ぺいん……構ってほしいならそう言えばいいのに」
「オルカも変な勘違いしないで?!」
「まぁぺいんは昔から嘘つきだからなぁ……」
「らだおまで?!」
本当に閉じてたのに……さっきまで開けられなかったのに……
ちょっと悲しくなっていると目の前にまた市長が出現した。
「まぁぺいんを責めるのはそこまでにしてやれ」
「市長!市長はわかりますよね?!」
「ああ、わかる。だって鍵かけたの俺だし」
「お前のせいかよ?!」
助かったと思ったら助けてくれた奴が諸悪の根源だった件について。
やっぱり市長は悪いやつだよ。
「いやー中々面白かったぞ。流石だなぺいん」
「全然嬉しくねー……そういえば、あの白い鬼みたいな奴ってあれも市長の差し金だったんですか?」
ふと、一番気になってたことを聞いてみた。
そして、それに対しての市長の回答は、
「なんだそれは?そんな奴一度も見ていないぞ?」
だった。
「……えっ?」
どういうことだ?さっきの口ぶりからして市長は俺のことを見ていたはずだ。
それなのに、あれを見ていない?
「……オルカ、っていうか警察のみんなは見てたよな?」
「えっ?いや……何のことだ?」
「は?冗談はやめてよ……二階に上がった時、オルカが何かいるって言ったんじゃん」
「いや……そんなこと言ってないぞ?」
そんなはずはない、オルカが後ろにいるアレの存在に気づいたんだ———と、そこまで考えて違和感に気づく。
俺はあの時カメラを正面に構えていたはずだ。そして警察のみんなはカメラからこっちの状況を把握している。
俺の後ろにいたあいつの存在に気づけるはずがないのだ。
そもそもあの時、声は無線越しじゃなくて直接聞こえてきた。
……じゃああの時の、オルカの声はなんなんだ?
いや、思い返してみればあれは本当にオルカの声だったか?
「……オルカ、俺二階に上がった後何してたっけ?」
「……あの時、お前は二階の絵画の話をしてそれからずーっと絵画の前で突っ立ってたんだ。それで心配になって声をかけたらようやく動き出したんだ」
多分、その突っ立ってた時間に、俺はアイツを見ていたのだろう。
……俺は何を見て、聞いたのだろうか?怖さのあまりに作り出した幻覚の類か……それとも夢でも見ていたのか?
「……ぺいんくん、さっきから大丈夫?なんか変だよ」
「そう、だね。怖いところにいたからちょっと気が触れてるのかもしれない」
「……とりあえずさ、みんなで帰ろうぜ。ぺいんのそばには俺がつくよ」
「ありがとう、らだお」
その後はほとんど覚えていない。唯一覚えているのは本署に帰ったらすぐに眠ったことだけだ。
その次の日、俺はあの屋敷が市長の権限で取り壊されたことを知った。その判断はきっと正解だったと思う。
あれから一月がたった今でも時折アイツを思い出す。
アイツは結局何だったのだろうか?
その問いに対する明確な答えはなく、今もあの時の恐怖は俺を蝕み続けているのだった。
まさかの五千字越え……前後編合わせると約八千字……どちらも読んでくださった方々ありがとうございます。
続きはありません。
ちなみに今回の屋敷には元ネタがあります。日常組を見ている方ならわかるでしょう。
ではまた次作で
コメント
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もう何かさ?赤いカーペット?階段?そしたらもうそれしかないじゃん???からの黒電話とか確定演出にもほどかあるぜおいおい