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渋川
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第十五章 四天王覚醒 ~砂の嵐と、和解の四将~
一、合流 四天王、現る
「――ちょっと待て、そこの不良ども!!」
模本真似が猫世話部の部室に近づこうとしたその瞬間、校庭の方から轟音と共に太い声が響き渡った。
ゴゴゴゴ――!!
地面を蹴りながら、黒鉄剛がまるで弾丸のように飛んでくる! 彼の背後には氷室雪菜、御手洗叡智、天宮詩織、そして生徒会長の神無月凛が、それぞれの精霊を従えて颯爽と現れた。
「ようやく来たか、四天王様! この学園の頂点が、ただの不良相手に戦力全員で現れるとはな。」水無月流があくびをしながら、にっこりと笑う。「まあ、所詮はこの程度の学園のトップだろ? 俺たちからすれば、赤子同然だな。」
「ふざけるな!! お前たち、この学園をめちゃくちゃにした罪、この黒鉄剛が必ず償わせてやる!!」黒鉄が雄叫びを上げ、拳をガシガシと鳴らす。
御手洗がタブレットを叩きながら、冷静に不良たちの能力を分析する。「三人の能力は、液体化、気体化、模倣。ほぼどれもが物理攻撃が通用しにくいタイプ。連携を密にして、それぞれの能力の相性を活かして戦う必要があります。皆、準備はいいですか?」
「もちろんよ。」雪菜が銀髪をなびかせ、指先から氷の結晶を舞わせる。
「うんうん! 私たち、絶対に勝つんだからね!」詩織が妖精姫の精霊・リリアと手をつなぎ、きらきらした瞳で敵を見つめる。
凛が静かに前に出て、因果の糸が見えるような淡い光を体に纏いながら、低い声で宣言する。
「――これより、天叢雲学園四天王、および生徒会長による、侵入者制裁作戦を開始します。――覚悟しなさい。」
二、苦戦 圧倒的な戦闘センスの前に
「へん、かっこついてるじゃん。――じゃあ、始めるぜ!」
水無月流が叫ぶと同時に、彼の体がみるみるうちに巨大な水の塊に変化し、黒鉄剛に襲いかかる! 黒鉄が全力のパンチを叩き込むが、水の塊はただはねるだけで、何のダメージも受けない。
「ふぅんっ、水ね。 なら氷で凍らせてあげるわ!」
雪菜が援護で指を鳴らし、水無月の周りの温度を一気に絶対零度まで下げる! 水の塊がみるみるうちに凍りつき、巨大な氷像になった――と思った瞬間、氷の中から水無月の声が笑いながら響いた。
「へへっ、冷凍か。だがな、俺の液体化は、どんな液体にだってなれるんだ。――不凍液だってな!」
パチン!高圧水エネルギーによって氷がひび割れ、中から水無月が、今度はベタベタで高温の油の液体になって飛び出してきた! 雪菜の氷が油には全く効かず、逆に油が飛び散って雪菜の制服を汚してしまう!
「…ベトベトして熱い」雪菜が唇を歪める。
一方、風間疾が気体化して詩織の背後に回り込み、強烈な蹴りを叩き込もうとする! 詩織が慌てて幻覚を展開するが、風間は気体化している間は五感が通常とは異なるため、幻覚の影響を殆ど受けない! 蹴りが詩織の肩にかすめ、彼女はよろけてしまう。
「うっ…! この人、幻覚が効かない…!」詩織が青ざめる。
模本真似は、にっこりと笑みを浮かべながら、四天王たちの能力を次々とコピーし始める! 黒鉄の筋力、雪菜の氷、詩織の幻覚、そして凛の因果干渉まで、彼は見ただけで瞬時に模倣し、しかもそれぞれを組み合わせてより強力な攻撃に変えて四天王に返してくる!
「ちぇっ! この模倣野郎、俺たちの能力を使いやがって!」黒鉄が怒鳴る。
御手洗がタブレットを叩きながら、汗を拭く。「…彼らの戦闘センスが、我々の想像以上に高い。能力の応用範囲が広く、どんな攻撃にも瞬時に対応してくる。このままでは、我々が持つだけの力では勝てません!」
戦いは開始早々、四天王側の圧倒的な苦戦が続いていた。不良トリオの長年の戦いで鍛え上げられた戦闘センスと能力制御は、四天王のそれをはるかに凌駕していたのだ。
そして、更なる悪夢が訪れた。
「――おう、遅れたぜ。」
どこからともなく、砂嵐が巻き起こる! 砂の塊が校庭に降り注ぎ、その中から一人の男が現れた。砂まみれの髪に、サングラス。全身が常に砂のようにキラキラと輝いている。
「砂原砂男。能力は『砂化』だ。よろしくな、学園の頂点様たち。」
男が手を挙げると、周りの砂が一斉に舞い上がり、巨大な砂の竜巻となって四天王たちに襲いかかる! 物理攻撃はもちろん、氷も雷も、砂の前では全く効果がない。しかも、砂が目や口に入ると、呼吸もままならなくなる!
「きゃああ!! 目に砂が入るー!!」詩織が悲鳴を上げる。
「ちぇっ、四人目か! こんなの、反則だろ!!」黒鉄が怒鳴る。
数が増え四対四。しかも、不良側はほぼ全員が物理攻撃を無効化するタイプの能力者で、四天王側は完全に手が出せない状況に陥っていた。
「…これは、まずいわ。」凛が眉をひそめ、因果の糸を操って砂嵐をかき分けようとするが、砂は因果の概念をほぼ持たないため、因果干渉すら効果が薄い。
こうして、四天王たちは、史上最大のピンチに直面したのだった。
三、覚醒 四天王の能力、別次元へ
「…くそっ…。このままじゃ、俺たちはただのモブになって終わるだけだ…。」
黒鉄剛が、砂嵐の中でよろめきながら、自分の拳を見つめる。今までの自分の力は、こんなものだったのか。本当の最強の前では、自分の力がいかにちっぽけだったか、思い知らされた瞬間だった。
だが、その時。
黒鉄の体の奥底から、今まで感じたことのないような熱いエネルギーが湧き上がってくるのを感じた。
「――そうだ。俺の能力は『身体強化・無限』だ。筋肉を強くするだけが、俺の能力の全てじゃないんだ…!」
黒鉄が雄叫びを上げると、彼の体がみるみるうちに変化し始めた! 筋肉だけでなく、骨、皮膚、内臓、血管――体の全てが、限界を超えて強化される! 更に、彼の体の一部が自在に変形し始め、腕が巨大なハンマーになったり、肩が鋭い棘になったり、はたまた全身が分厚い鎧のようになったりする!
「これが…俺の能力の、本当の姿だ!! 身体変容・無限解放!!」
黒鉄が叫ぶと、変形した巨大なハンマーの腕が、砂原砂男に向かって全力で振り下ろされた! 砂の体が、その衝撃で一瞬だけ形を崩し、砂原が思わずよろける!
「なっ…!? お前、能力が変わった…!?」砂原が驚きの声を上げる。
続いて、氷室雪菜も。
彼女は、絶対零度の能力を、更に深いレベルで使うことを思いついた。単に氷を作るだけではない。相手の体の中にある水分までを、凍らせることができれば――。
「――分子凍結・絶対領域。」
雪菜が静かに呟くと、水無月流の液体の体の中に含まれる水分子が、みるみるうちに凍り始めた! 液体化している間でも、体の成分に水が含まれている限り、この攻撃は避けられない! 水無月は思わず液体化を解き、人間の姿に戻って凍りを防ごうとするが、その隙を雪菜の氷の槍が捉える!
「くっ…! この女、やるじゃないか!」水無月が苦しそうに叫ぶ。
御手洗叡智も、戦いの中で自分の能力の新たな可能性に気づき始めた。単に知識を引き出すだけではない。戦闘中にリアルタイムで相手の動きを予測し、0.01秒先の未来を完全に読み切ることができれば――。
「――全知予測・未来視。」
御手洗が眼鏡を押し上げると、彼の瞳が銀色に輝き始めた。次の瞬間、彼は不良たちの全ての攻撃を、一瞬早く回避し、最適なタイミングで仲間に指示を出し始める! 「黒鉄、3秒後に左から砂の槍が来る! 雪菜、水無月が次に油に変化するから、その瞬間に温度を一気に上げろ! 詩織、風間が背後に回るから、幻覚を背後に展開しろ!」
彼の指示は全て的確で、四天王たちの連携が劇的に向上し始めた!
そして最後に、天宮詩織。
彼女は、自分の幻覚能力の本当の力に気づいた。この幻覚の力は、ただ相手に見せるだけのものではなかった。より能力制御に集中し幻覚を現実に干渉させることができれば、それはもう幻覚ではなく、現実そのものになる――。
「――幻夢現実化・夢の具現。」
詩織が両手を広げると、彼女の幻覚がみるみるうちに現実のものとなって現れ始めた! 幻の炎が本当に燃え、幻の壁が本当に相手の攻撃を防ぎ、幻の巨人が本当に不良たちを殴りつける! 風間疾が気体化して背後に回ろうとすると、詩織が作り出した幻の真空壁が彼を捉え、気体化した体を閉じ込めてしまった!
「なっ…!? 幻覚が、現実で本物に…!?」風間が驚愕の声を上げる。
こうして、四天王全員の能力が、戦いの中で別次元に覚醒・進化したのだ!
形勢は、みるみるうちに逆転し始めた。
四、終盤 互いの実力を認め合う時
覚醒した四天王の力は、次第に不良四人組を圧倒し始めた。
黒鉄の変幻自在な体が砂原の砂を次々と打ち砕き、雪菜の分子凍結が水無月の液体化を封じ込め、御手洗の未来視が不良たちのあらゆる戦術を読み切り、詩織の幻夢現実化が風間の気体化を閉じ込める。生徒会長の凛も因果干渉を更に進化させ、不良たちの攻撃の因果を次々と打ち消していく。
だが、不良四人組も、ただの弱者ではない。長年の戦いで鍛え上げられた彼らは、四天王の覚醒にも驚きつつ、必死に抵抗し続けた。水無月は液体の種類を次々と変えて雪菜の凍結をかいくぐり、風間は気体の種類を変えて詩織の真空壁を突破し、模本は四天王の進化した能力までもコピーして反撃し、砂原は砂嵐を巨大化させて黒鉄の攻撃をかき消そうとする。
壮絶な戦いは、数時間にもわたって続いた。
やがて、夕暮れが近づいた頃。
校庭はめちゃくちゃに破壊され、あちこちに穴が開き、氷と砂と炎の跡が残っていた。その中心で、四天王と生徒会長、そして不良四人組の全員が、ぼろぼろになりながら、フラフラと立っていた。
誰もが、もう一歩も動けないほどに力を尽くしていた。
水無月流が、肩で息をしながら、にっこりと笑みを浮かべた。
「…ふふっ。ははははは!! やれやれ、久しぶりにこんなに楽しい戦いをしたぜ! お前たち、最初は赤子同然だと思ってたのに、いつの間にかこんなに強くなるとはな。――認めよう。お前たちは、本物だ。」
風間疾も、気体化を解いて人間の姿に戻り、肩を落としながら笑う。「まいったぜ。ここまでやられたのは、生まれて初めてだよ。」
模本真似は、にっこりといつもの笑みを浮かべながら、タブレットのようなものを取り出して四天王のデータを記録し始める。「うーん、四天王の皆さんの能力の進化パターン、非常に参考になります。今度は、これを模倣して更に強くなってみせますよ。」
砂原砂男は、サングラスを外して目をこすりながら、ぼそりと言う。「…俺たち、ずっと世界中を放浪して、本気で戦える相手を探してたんだ。ここに、その相手がいたとはな。」
水無月が、ゆっくりと前に出て、黒鉄剛の目をまっすぐに見つめる。
「おい、学園の頂点様。俺たち、これからどうする? このまま帰るのも、なんだか寂しいぜ――そうだ、俺たちもこの学園に転入しようじゃないか。お前たちと、毎日戦って、もっともっと強くなりたいんだ。」
「え? 転入?」黒鉄がきょとんとする。
「そうだ。俺たち四人を、『四将』として、お前たち四天王と同じような立場で置いてくれないか? 普段は生徒として過ごして、時々お前たちと戦って腕を磨く。――それくらいなら、校長も許してくれるだろう?」
四天王たちは、互いに顔を見合わせる。そして、凛が静かに頷いた。
「…構いません。あなたたちがしっかり更生して本気でこの学園で学び、戦いを望むのなら、我々も歓迎します。――ただし、校内を荒らすことは、もう二度と許しませんよ。」
「もちろんだ。今後は、ルールを守ってやるさ。」水無月がにっこりと笑う。
こうして、不良四人組は、ついに四天王たちを認め、和解を果たしたのだった。
五、校長の快諾 やっぱりぶっ飛んでいた
戦いが終わり、不良四人組と四天王たちが和解した後、皆は一斉に校長室の方を向いた。
「そういえば、この校庭の破壊、どうするんだ? さすがに、このまま放置するわけにはいかないだろ…。」黒鉄が、めちゃくちゃになった校庭を見回して、ため息をつく。
すると、御手洗がタブレットを叩きながら、ある方向を指さす。
「…あれを見てください。校長室の方から、すごい気配がします。」
皆がその方向を見ると、校長室のある建物の屋上で、天城蒼校長が一人、杖を片手に、何やらにっこりと笑みを浮かべながら、めちゃくちゃになった校庭を眺めていた。
そして、校長がゆっくりと杖を空に突き上げると、彼の能力『還元』が最大限に発動された!
キラキラキラ――!
めちゃくちゃになった校庭が、みるみるうちに元通りに戻り始める! 壊れた建物が復元し、穴が塞がり、氷も砂も炎の跡も、全てが元の何もなかった状態に戻っていく! たった一人の校長の力で、学園全体の破壊が、あっという間に修復されていくのだ!
四天王たちは、その光景を呆然と見つめていた。そして、全ての修復が終わった後、凛が代表して校長の元に歩み寄り、静かに問いかけた。
「校長先生。先ほどの不良四人組が、『四将』としてこの学園に転入したいと言っています。――よろしいでしょうか?」
校長は、にっこりと、満面の笑みを浮かべて答えた。
「もちろんですとも!! 大歓迎ですよ!! あんなに強い四人が、この学園に来てくれるなんて、こんなに嬉しいことはありません!! 四天王と四将、合わせて八人の最強が学園にいるなんて、実に素晴らしい!! しかも、彼らが毎日四天王と戦って見せてくれれば、生徒たちの見本にもなり実力もどんどん上がるに決まっている!! 大賛成です!! 大歓迎です!!」
あまりにもノリの良い返事に、四天王たちは呆気にとられた。
「…校長、あの四人は、さっきまで学園をめちゃくちゃに荒らして、生徒たちを大勢倒した不良なんですよ?」御手洗が、困惑した面持ちで確認する。
「ふふっ。それが何でしょう? 過ぎたことは過ぎたことです。これから彼らがこの学園のために力を尽くしてくれるのなら、それで十分ではありませんか! それに、彼らの実力は本物です。あの戦いを見れば、誰だって認めるでしょう。――私は、大歓迎ですよ!」
校長は、にっこりと笑みを浮かべたまま、更に続ける。
「そうだ! これを機に、学園の制度を少し変えましょう! 四天王に加えて四将を新設し、計八人を学園の最上位として特別扱いしましょう! そして、来月には四天王対四将の対抗戦を開催しましょう! 優勝者には、賞金一億円を贈呈します!!」
「え? 一億円!?」四天王たちが一斉に驚く。
「そうです! そして、その対抗戦の模様は、全世界に生中継しましょう!! 天叢雲学園の名を、世界中に轟かせるのです!!」
校長は、目をキラキラと輝かせて、次々とぶっ飛んだアイデアを口にし始める。四天王たちは、呆れ果てながらも、どこか嬉しそうに校長の話を聞いていた。
「…やっぱり、この校長は、どこかぶっ飛んでいるわね。」雪菜が、呆れたようにつぶやきながらも、唇の端を少しだけ上げていた。
「まあ、これで学園も更に面白くなるってことだから、いいんじゃないですか?」詩織が、にっこりと笑う。だが、校長がこういう思いつきを言うのは珍しくない為、実現しない事も何度もあった。
こうして、不良四人組は「四将」として天叢雲学園に転入し、四天王と共に学園の頂点に立つことになった。
そして、猫世話部の部室では、高木暸がシロを抱きながら、外の戦いの騒ぎが終わったことを確認して、大きなため息をついていた。
「…はーあ。やっと終わったわ。俺、一度も外に出ないで済んだし、誰にも正体バレなかったし、これでまた平穏が戻るぜ。――シロ、今回も俺の勝ちだな。」
シロは「にゃー」と甘えるように鳴き、暸の胸元に顔を擦り寄せる。
だが、暸はまだ知らなかった。四将として転入してきた不良四人組の中の一人、模本真似が、さっきの戦いの最中に、猫世話部の部室の方から漂ってくる、とんでもない力の気配を、うっすらと感じ取っていたことを。
「…ふふっ。この学園には、まだまだ面白いものが隠れているな。――いつか、あの猫部屋の秘密も探ってみるとしよう。」
模本は、にっこりと悪戯っぽい笑みを浮かべながら、猫世話部の方を見つめていた。
最強の落ちこぼれの平穏は、またもや新たな危機に直面しそうになっていた――。
(次回に続く)
コメント
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いやもう第15話、激アツすぎた!!!🔥🔥 四天王vs不良四人組のバトル、それぞれの能力が戦いの中で覚醒・進化していくシーンがマジでカッコよかった…!!特に黒鉄の「身体変容・無限解放」と詩織の「幻夢現実化」がエモすぎて震えた😭💕 そして最後の校長のノリノリすぎる「四将制度&賞金一億円対抗戦」発言には笑ったw でも暸くんの平穏にまた影が…!次回も楽しみすぎる!! グリルタさん、毎回テンション爆上げになる展開ありがとうございます!!✨