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お待たせしました!
NAOKO視点です。
昨夜、海沿いの道で仲直りをしたあと。
私たちはとりあえずMOMOKAとJISOOに「仲直りしました! 心配かけてごめん」とだけLINEを入れ、明日も朝早くから仕事なので、その場は解散した。
家に帰ると、張り詰めていたものが一気にほどけたみたいに、全身の力が抜けた。
なんとかお風呂と歯磨きだけ済ませて、ベッドに倒れ込む。
そのまま、意識は深いところに沈んでいった。
枕元でスマホが震える。
(……誰)
画面を見ると、そこには【KOHARU】の文字。
寝ぼけ眼のまま通話ボタンを押すと、耳元に軽やかな声が届いた。
『モーニングコールでーす(笑)。おはよう、ナオコ。……起きてた?』
「おはよ……今、起きた……」
寝起きのせいで、自分でも驚くくらい低い声が出る。
『めっちゃイケボじゃん』
電話の向こうで、KOHARUが「くすっ」と愛おしそうに笑う気配がした。
『……ねぇ、今日さ、一緒に集合場所向かわない?』
少しだけ声が裏返っている。
昨夜のあの「本気で落とすから」という宣言を、彼女なりに実行しようとしているのが伝わってきて、胸の奥がくすぐったくなった。
「んー、いいよぉー」
『やった。じゃあ、準備終わり次第ナオコん家向かいまーす』
電話を切ったあと、私は急いで準備をしてマンションの下へ駆け降りた。
エントランスを出ると、白い息を吐きながら辺りを見ているKOHARUの姿があった。
私と目が合った瞬間、ぱっと表情が明るくなる。
けれどすぐに、少しだけ背筋を伸ばした。
「おはよ。……待たせちゃった?」
「ううん、今来たとこ」
そう言うわりに、鼻先はほんのり赤い。
「それに、昨日言ったでしょ? 本気で落とすって」
少し得意げに胸を張る。
「だから、まずはエスコートから」
「ふふ、かっこいいじゃん」
「でしょー。……じゃ、行こ」
歩き出すと、隣でKOHARUが落ち着かない様子で揺れている。
「……あのさ、ナオコ」
「ん?」
「手、繋いでもいい……?」
遠慮がちに差し出された手。
一生懸命に「攻め」ようとしている彼女が愛おしくて、
私はわざと自分から指を強く絡めた。
「もちろん」
「……っ」
一瞬固まったあと、KOHARUがぎこちなく笑う。
「ナオコ、手冷たすぎ。……ほら」
そのまま引き寄せられて、繋いだ手ごとコートのポケットに入れられる。
狭い布の中で、ぴったりと重なる体温。
ちらっと横を見ると、KOHARUは顔を赤くしながらも、どこか満足そうだった。
(……可愛いな)
そう思った瞬間。
「――ぐうう~~~……」
静かな道に、私のお腹の音が盛大に鳴り響いた。
「……へ?」
そういえば、昨日はKOHARUのことで頭がいっぱいで、ろくにご飯を食べていなかった。
今日の朝も、急いで出てきたから食べ忘れてる。
私は猛烈に恥ずかしくなって、顔を伏せた。
「えー?ナオコ、今の何のおとぉ~?」
⭐︎ひろ⭐︎
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KOHARUはイタズラに笑いながら、わざと顔をぐっと覗き込んでくる。
繋いだ手はそのままなのに、上半身だけひょいっと寄せてきて、からかう気満々だ。
「むぅ……、コハルのおかげで昨日、なんにも喉に通らなかったんだからね」
「ごめんてぇ。まだ集合時間まで余裕あるし、なんか食べよ? もちろん、奢らせていただきます。」
「ほんま? じゃあメニューの端から端まで頼んじゃお」
「それだけは勘弁して」
朝の澄んだ空気の中、二人の笑い声が響く。
結局、駅近くの軽食スタンドに駆け込んで、出来たてのブリトーを買うことにした。
「んむ……おいひい……」
「よかったね。……って、ナオコ」
顔を寄せられたかと思えば、
なんの躊躇いもなく、口元を親指でさっと拭われた。
「チーズついてた」
「……え」
あまりに自然で、それでいてあまりに近すぎる距離感に、心臓が跳ねる。
「あ…時間やばい!いこ」
そう言って急いで腕を引っ張られる。
そのまま少し早足で駅へ向かった。
改札が見えてくるとそこには、
腕を組んで仁王立ちしているMOMOKAと、隣で呆れたようにスマホを眺めるJISOOの姿があった。
「あ、いたいた。おーい、遅いぞー!……って、なんか近くね?」
MOMOKAがニヤニヤしながら、大きく手を振ってくる。
「おはよ、二人とも。……なんか、昨日までのどんよりした空気、跡形もないねぇ?」
そう言いながら、私たちの繋がったままの手をジロリと見て、肘でKOHARUをツンツンと突く。
「いじらないでよっ」
顔を真っ赤にするKOHARU。
すると、いつもなら「それくらいにしなさい」とMOMOKAを止めるはずのJISOOが、珍しく口を開いた。
「そういえば、なんで喧嘩してたの?」
「……えっ」
「うっ……」
私とKOHARUの動きが、同時にピタリと止まる。
JISOOは顎に指を当てて、ほんの少し首を傾げながら、不思議そうにこちらを見つめてくる。
それに耐えきれず、助けを求めてMOMOKAを見ると、彼女は「私もそれ気になってたんだよね〜」と、さらにニヤニヤを深めていた。
「え、あ、いや……それはその……」
KOHARUが泳いだ視線で、必死に「言い訳」を探していた、その時。
『はい、全員揃いましたね! じゃあ新幹線乗りまーす、遅れないでついてきてください!』
背後から、パンパンと手を叩くマネージャーさんの威勢のいい声が響いた。
「あ、はい! 行きます!」
KOHARUがこれ幸いとばかりに、すっと歩き出す。間一髪、セーフ。
「……ふーん。まぁ、いいけど」
オンニはそれ以上追及せず、こちらを一瞬だけ見て、意味ありげにほんの少しだけ口元を緩めた。
「ちょ、コハル! 逃げるなよー!」
MOMOKAの茶化す声を背中で聞きながら、私たちはホームへと急ぐ。
「……死ぬかと思った」
「ナオも。……オンニ、なんか気づいてそうでこわい」
顔を見合わせて、思わず笑ってしまう。
少しして、KOHARUが小さく呟いた。
「さてどう言い訳するものかぁ。完全な黒歴史すぎて、もう頭の中から消し去りたいぃ…」
思い出したのか、顔をしかめて、そのままぐっと俯く。
「まぁ、言いたくないって言えば素直に引き下がってくれると思うよ」
私が笑いながらそう言うと「そうかなぁ」とKOHARUは少しだけ安心したように息を吐いた。
新幹線に乗り込み、ドアが閉まる。
グリーン車の静かな車内、並んで座席に深く腰を下ろした。
「……でもさ」
リクライニングを倒す私の横顔をじっと見つめたまま、KOHARUがポツリと言った。
「ナオコと一緒にいる時が一番幸せ、っていうのはもう隠せそうにないかも」
そう言って、彼女は自分の言葉に今さら照れたのか、少しだけ顔を赤らめて。
決まり悪そうに視線を逸らしながらも、溢れる幸せを抑えきれないように、ふにゃりと笑った。
次はデートでも書こうかな…
コメント
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いつも最高の文章をありがとうございます 楽しみにしてます!!!!!!!