「みんな!今日もライブを見に来てくれてありがとう!」
テレビの中で手を振るアイドルを見て僕は目を輝かせる。学校から登校する前、ニュースを見ていたら偶然好きなアイドル、司くんが出てきたので、朝からテンションMAXだ。流石国民的アイドルと言ったところか、数日前に行われたライブは何十万人もの人が押し寄せ、チケットは即日完売となった。僕もチケットを買おうとしたのだが、抽選で落ちてしまい酷く落ち込んだものだ。ライブ会場には行けなかったとはいえ自分の好きなアイドルが人気になっていくのはとても嬉しいし、LIVE配信があったのが唯一の救いだった。
教室に着くとそそくさと自分の席に座る。僕は人付き合いが苦手で友達もほぼ0に等しい。だから早く教室についてもやる事はほとんどないので、いつもはスマホで司くんについての記事を眺めている。
「おーい早く席に着けよー」
先生の声にぞろぞろとみんな席に座る。朝のHRの時間だ。とはいえ話すことはどうせつまらない内容だろうと思っていた。
「では転校生を紹介するぞー」
ん?
「今日転校してきた」
まって
「天馬司くんだ」
一瞬脳内が真っ白になる。ん?……ん、んん????まさかこんな漫画みたいな事ある訳ない…と頬をつねる。
………いたい
夢じゃない、のか。こんな展開二次創作とかでしか見た事ない…。
…しかも席隣じゃん…これから先大丈夫かな僕…
「ん…かみ、だ…かみ、し、ろ?…………!、……神代くんか!よろしく!」
いきなり声をかけられ一瞬固まる。人見知りなりに必死に笑顔を作ってなんとか返事をする
「…っ、よろ、しく…っ」
司くんは少しだけ僕に笑顔を向けて席に着く。僕、変じゃなかったかな……?心の中でさっき言ったセリフを復唱する。
(…『よろ、しく』…………はぁ、絶対変な奴って思われたろうな…)
少し気分が下がったまま一限目を迎えた
一限目は英語だ。今日は隣の席の人と英語で話すらしい。いつも人見知りだから苦戦していたが、今回はさらに酷くなるだろう…なんせ隣の席が推しだから!
「神代くん!頑張ろうな!」
「っうん、…」
まずは自己紹介。これは比較的難易度は低い…が、大丈夫なのかな…
「Hello! How are you?」
「…は、Helloっ、I am nervous…」
「My name is Tenma Tsukasa!What’s your name?」
「…ぅ、My name、 is Kamishiro… Rui…」
どうしよう、推しが…生きてる…………喋ってる…………カタコトの英語で…………
♪ ♪ ♪
あ…やっとチャイム鳴ったぁ………授業中ずっと司くんがこっちみてきて上手く喋れなかったなぁ…
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