「複雑で口に出せない恋心」
電話の向こうから聞こえる声は震えていた。
千尋(ちひろ)が話したのは、さっきフジタから聞いた報告とほぼ同じだったが、口を挟まず話を聞いていた。
とりあえず気持ちを吐き出させて落ち着かせることに努めながら、このまま帰すのは不安になる。
「千尋、今どこ?」
彼女が話し終えたところで尋ねると、千尋は小さな声で答えた。
「今タクシーの中で、もうすぐうちに着きます」
それならこちらに来て、と言おうとした時、ほんの少しの差で、先に千尋が口を開いた
「……あの、紀坂(きさか)さんは今どこですか?」
「俺は家にいるよ」
「もしご迷惑でなければ、今から伺ってもいいですか?」
それを望んでいたから、彼女が言ってくれて心から安堵する。
俺の都合も気になるようだが、一人になるのは心細いだろうし、頼ってくれていることが嬉しかった。
「もちろん」
答えると、千尋**************************
***********
****************
**************************
**********************
********************
***********************
***********
コメント
1件