「俺が今の千尋を」
昨日 千尋(ちひろ)のうちに行けず、仕方なく家に帰ったことが頭に浮かぶ中、駅からオフィスまでの道を速足で歩いていた。
男に羽交い絞めにされた時に背中や肩を痛めたのもあり、なかなか寝付けなかったせいで、朝起きるのもだるかった。
始業時間ギリギリに会社に行くなんて久々で、オフィスのあるフロアに入ると、廊下の先に千尋の背中が見える。
あっ、と考えるより先に足が動き、「 日高(ひだか)さん」と声をかけていた。
駆け寄ると、千尋は目に見えるほど体を強張らせる。
それを見て、話したいことはたくさんあったが、そのどれもが喉で詰まった。
やっぱり、昨日のことが怖かったんだろう。
本当は非常階段にでも連れて行って、話をして千尋を安心させたいけれど、もう仕事も始まる。
「おはよう。昨日のことだけど……怖かったよね。ごめん」
簡潔に言えば、千尋は予想外のことを言わ************************
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