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咲乃ルイ
#バトル
「へ、ちっとも怖くないね。奏と俺は、一生一緒にいる運命なんだよ!」「ふーん。でもそう言って人間は何もできないじゃん。どうしても私を憎むなら、魔王城に来てみてね。彼女さんと一緒に葬ってあげる。前と違ってマトモな武器も戦術もないんだから、命を捨てるだけだけどね♪」
暗夢がそう言うと、僕たちは魔王城の方角に飛んで行く。
「じゃあ白夜くん、一旦駅に戻って輝に会いに行ってね。」
そう耳打ちされると、僕は如何にも村の長老のような姿になった。これで輝を躾けるわけか。
駅に戻ると、巨大な魔王のデコピンによって致命傷を負った輝がいた。
「魔王に盛大に喧嘩を売るとは、お主、中々愚かなやのー。」
「…うるせぇよジジイ。」
「盛岡の街はのー、最近魔王軍の活動が活発で、そろそろ掌握されそうなんじゃ。」
我ながら何を言ってるのだろう。そんなニュース一回も聞いたことないが、まあ夢なのでセーフ。
「しかしお主、魔王を倒そうとする強い意志を感じる。」
「そりゃそうだろ。恋人が攫われたんだ。」
「…。ちょっとうちに来ないか。」
暗夢が山奥にいかにもな家…というか小屋を設置してくれていた。
「千年前に儂たちの村の勇者が、魔王を封印したんだ。だが、どうやら封印が解けてしまったようなんじゃ。」
「それで俺にどうしろってんだ。」
「あそこには、うちで代々守っている勇者の剣がある。そして千年前の勇者も恋人が魔王に攫われその怒りを剣にぶつけ、魔王と戦ったそうじゃ。お主の強い怒りと恋心、勇者に通ずるものがあると感じたんじゃよ。」
「じゃ、俺が勇者の生まれ変わりってか。」
「それはお主次第。儂が稽古をつける。そしたら勇者として、剣を正式に授け、魔王と戦うことを許す。」
「やるぞジジイ。」
「ほう、では早速稽古を始める。」
修行開始。輝を熱血指導で懲らしめるつもりだったが、予想以上に上達が早い。やはり暗夢の支配、この二人の『愛情』には効かないのか…?仕方ないので修行は終わらせた。
「え、えと、素晴らしいのー。それではこの剣を授ける。魔王城で派手に暴れてこい。」
すると輝はお礼も言わずそそくさと魔王城に出かけた。僕は先回りして魔王城に到着し魔法使いの姿に戻る。結局輝へのストレスを何も発散しないまま一つ目の役目を終えた。
「魔王様、ここに勇者がやってくるという情報が入りました。」
「ふーん、あの男の子が今度は勇者か。千年ぶりだね。」
「暗夢ちゃ…じゃなくて魔王さん、輝が来てくれるんですか?」
「うん、最後の別れだから、大事にしなよ?」
すると魔王城の扉が開く。
「勇者さん、早いね。いいの?この女の子の寿命も早まるけど。」
「俺にはそんな脅しは通用しないぞー!さっさと奏を帰しやがれー!」
すると、すっかり様になった輝は剣を持ち、魔王に飛びかかる。しかし、クリスマスのメルヘンな夢じゃないので簡単に身体を切れない。むしろ、魔法に輝が致命傷を負ってしまった。
「やっぱり、いい格好したいだけじゃん。」
「クソ…。いたた!」
「ねえ、私人間じゃないから分からないんだけどさ、なんで他人のために自分を犠牲にできるの?そんな姿に人間は惚れるの?そんなチョロいの?この人間界は。」
わあー、コイツ素で言ってるー。まあ僕も共感しかないけどそんな堂々と言うのは過激すぎるよ。
「へ!そんなの分かってほしくないね。でもそうだよ、人間、醜く抗う姿が一番、かっこいいんだよ!」
こうして輝がベタな決め台詞を言うと、勇者の剣が光り輝いた。多分勇者としての力が百二十%出る王道パターンだ。
「奏を、返せー!」
すると一瞬のうちに、暗夢の首が飛んだ。うわぁ凄い良くある展開…。そして僕も死んだふりをしたのち、奏の封印は解け、世界に平和が訪れた。
死んだふりをしていた暗夢は、駅前に着いた二人が気付かないように夢を現実に戻した。
「もう少ししたら魔王が滅んだと騒ぎになるから今のうちに盛岡デート楽しもう。」
良かった。輝が都合良くかっこつけてくれた。
「輝、今のすごいかっこよかったなー。」
「奏を守るためなら古今東西いつでも駆けつけるよー。」
「輝くん…。」
あ、やばい。この流れは…。
「暗夢、早く久慈に帰るよ。」
僕は耳打ちをする。
「なんで?」
「良いから早く…、あ。」
輝と奏、今回は間接じゃない。うわぁ…。
「あーあ、暗夢、いよいよこれ学校でやられたら大変だよー。どうする?あいつらの事後処理。」
「え、っと…。とりあえずは邪魔しないほうが良いんじゃない?」
吐き気がした僕たちは久慈に帰った。まだ二時。暇だ。