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おはようございます☁️ 一気に読みました。 自分の気持ちに気づいた お酒のせいと逃げたい気持ちも 素直に答え合わせ でも まだモヤモヤは消えていない。 絡まった線がとけるのかな 続き待ってます♪
みら様の💚性癖に刺さります…好きꧦ𛰙᭜𖫴𖫰𖫱𖫳𖫲𖫲𖫳𖫴𖫰𖫱꛰ ᭜𖫴𖫰𖫱𖫳𖫲𖫲𖫳𖫴𖫰𖫱꛰ީᩝ𛰚ഒ·⸌̟͂̋⸍̑⸜̑⸝͂
#❤️💙
みら

19,807
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12
目黒の部屋に入ると、阿部はそのままソファに座った。
さっきまで外を歩いていたせいか、部屋の中に入った途端、また少し酔いが回った気がする。
「水飲んで」
目黒がキッチンからグラスを持ってきて、阿部の前に置く。
「ありがとう」
阿部は素直に受け取って、一口飲んだ。
冷たい水が喉を通る。
少しだけ、頭がすっきりした。
「気持ち悪くない?」
「それは大丈夫」
「頭痛い?」
「ちょっとふわふわするくらい」
「もう強いお酒飲んじゃダメだからね」
「うん」
阿部はグラスを持ったまま笑った。
「次から気をつける」
「ふっかさんが作ったやつは特にね」
「それはそう」
二人で少し笑う。
目黒は阿部の向かいではなく、少し離れた隣に座った。
何かあったらすぐ支えられるくらいの距離。
それにも気づいてしまって。
阿部はまた目黒を見る。
「……めめってさ」
「ん?」
「ほんと優しいよね」
目黒が笑う。
「今日それ何回目?」
「そんな言った?」
「帰り道でも言ってた」
「そうだっけ」
「言ってたよ」
阿部は少し考える。
確かに聞いた気がする。
どうしてそんなに優しいの、と。
「だって気になるんだもん」
口にしてから、阿部自身が少し止まる。
酔っているせいか、いつもより言葉がそのまま出る。
目黒も少しだけ表情を変えた。
「何が?」
「めめが優しいの」
「だから、あべちゃんも同じでしょ」
「それはさっき聞いた」
「じゃあもういいじゃん」
「よくない」
阿部は水をもう一口飲む。
グラスをテーブルに置いて、膝を抱えるように少し丸くなった。
「今日ね」
「うん」
「カフェで女の人の荷物拾ってたでしょ」
「……ああ」
「そのあとも、おじいちゃんの荷物持ったり。子ども連れの人にドア開けたり」
「見てたの?」
「見てた」
「仕事しながら?」
「見えるもん」
目黒が少し笑う。
阿部は、その笑い方を見てまた胸の奥がざわついた。
「誰にでも優しいんだなって思った」
「まあ、困ってたら手伝うでしょ」
「そうなんだけど」
阿部は目黒を見る。
「俺にも優しいじゃん」
「うん」
「ご飯作ってくれるし、一緒に食べてくれるし。帰る時も送ってくれるし、今日みたいに家にも入れてくれるし」
「それは心配だったから」
「それ」
阿部が少し身を乗り出す。
「そういうの」
「何?」
「俺だから?」
目黒の表情が止まった。
阿部も、言ってから少しだけ我に返る。
でも、もう聞いてしまった。
「俺に優しいのも」
少しだけ声が小さくなる。
「みんなに優しいのと同じ?」
目黒は、すぐには答えなかった。
その沈黙が長く感じる。
阿部はだんだん恥ずかしくなってきて、視線を逸らした。
「……やっぱいい」
「よくない」
今度は目黒が言った。
阿部が顔を上げる。
目黒はまっすぐ阿部を見ていた。
「全部同じじゃないよ」
「……え」
「誰かが困ってたら助けるし、できることならする。でも」
目黒は少しだけ言葉を選ぶ。
「あべちゃんにしてること全部、それと同じってわけじゃない」
阿部は何も言えなくなった。
心臓が。
さっきまでとは違う意味で速くなる。
「……どう違うの」
聞いてしまう。
目黒は少し困ったように笑った。
「それ、今聞く?」
「だめ?」
「だめじゃないけど」
目黒は阿部の赤い頬を見る。
「今かなり酔ってるでしょ」
「酔ってるけど分かるよ」
「明日忘れてたら嫌じゃん」
「忘れない」
「ほんとに?」
「たぶん」
「多分じゃん」
目黒が笑う。
阿部は少しむっとした。
「じゃあ、忘れないことだけ言って」
「何それ」
「俺に優しいのは、みんなと同じじゃないってこと」
「それは言ったよ」
「もう一回」
目黒が少し黙る。
それから、阿部の目を見て言った。
「同じじゃないよ」
今度は。
さっきより、はっきり。
阿部の胸の奥に残る。
「……そっか」
それしか言えなかった。
嬉しい。
でも。
何がどう嬉しいのかまで考えると、また恥ずかしくなりそうだった。
阿部はグラスを持つ。
もうほとんど水は残っていない。
「もう一杯いる?」
「ううん」
「じゃあ少し休んだら?」
「うん」
阿部はソファの背もたれに身体を預ける。
隣に目黒がいる。
さっきまでは、誰にでも優しい人なんだと思って少し寂しくなった。
でも今は。
全部同じじゃない。
その言葉が、何度も頭の中に残っている。
「めめ」
「ん?」
「今の忘れないから」
「何を?」
「同じじゃないって言ったの」
目黒は少しだけ目を細めて笑った。
「うん」
阿部も。
安心したように笑った。
しばらく話しているうちに、阿部はだんだん眠くなってきた。
ソファの背もたれに身体を預けたまま、何度もゆっくり瞬きをする。
「眠い?」
目黒が聞く。
「……ちょっと」
「ベッド使っていいよ」
「ここでいい」
「でも寝づらいでしょ」
「もう動くのめんどくさい」
阿部はそう言って、ソファに横になる。
目黒が困ったように笑った。
「そのまま寝るの?」
「うん」
「絶対明日身体痛くなるよ」
「大丈夫……」
返事も少しずつ遅くなっている。
目黒はしばらくそんな阿部を見ていたけれど、諦めたように息を吐いた。
「分かった」
そう言った次の瞬間。
身体がふわっと浮いた。
「……え」
阿部が薄く目を開ける。
目黒に横抱きにされていた。
「めめ」
「ベッドまで運ぶだけ」
「自分で歩ける」
「さっき歩きたくないって言ったじゃん」
「言ったけど……」
酔っているせいなのか。
眠いせいなのか。
抱き上げられていることへの恥ずかしさより、目黒の身体が近いことの方が心地よかった。
阿部はしばらく目黒の顔を見ていた。
それから。
考えるより先に。
目黒の首へ腕を回した。
ぎゅっと。
抱きつく。
目黒の足が止まった。
「あべちゃん?」
「……何」
「これ、誰にでもするの?」
阿部は目を閉じたまま、少しだけ考える。
誰にでも。
さっきまで自分が、目黒に聞いていた言葉。
阿部は目黒の首に腕を回したまま、小さく首を振った。
「しない」
「ほんと?」
「うん」
「じゃあ俺だけ?」
阿部は、眠そうに目を開ける。
「今日しかしない」
目黒が一瞬黙った。
「……今日だけ?」
「うん」
「明日は?」
「しない」
「そっか」
目黒は少し笑った。
でも、その声はどこか寂しそうだった。
ベッドまで運ばれ、阿部はゆっくり下ろされる。
それでも。
首に回した腕を離さなかった。
「めめ」
「ん?」
「同じじゃないんでしょ」
さっき聞いた言葉を思い出す。
俺に優しいのは、みんなと同じじゃない。
「うん」
「じゃあ」
阿部は眠そうな顔のまま、目黒を見る。
「どう違うの?」
目黒はしばらく何も言わなかった。
それから、阿部の頬にかかった髪をそっと避ける。
「それは」
少しだけ顔を近づけて。
「明日、答え合わせしよ」
「明日?」
「うん」
「今じゃないの?」
「今言っても、あべちゃん酔ってるから」
「覚えてるよ」
「どうだろ」
目黒が笑う。
そのまま。
阿部の唇に触れる。
一度。
確かめるような、短い口づけ。
阿部が目を開ける。
目黒と目が合う。
何も言えないまま見つめていると。
今度は。
さっきより深く。
唇が重なった。
阿部は目を閉じる。
呼吸の仕方が分からなくなるような感覚。
胸の奥が熱くなって。
苦しいのに。
嫌ではなかった。
むしろ。
どこか心地いい。
そして。
その感覚を。
なぜか知っているような気がした。
誰かと。
こうして口づけをしたことがある。
そんな気がする。
でも。
誰と。
いつ。
どこで。
思い出そうとする前に。
眠気の方が勝った。
目黒の服を掴んでいた指から力が抜ける。
「あべちゃん?」
返事はない。
目黒が顔を見ると。
阿部はもう目を閉じていた。
「……寝た?」
小さく呼んでも。
起きない。
目黒は少し呆れたように笑った。
「このタイミングで寝る?」
阿部の身体を布団の中へ入れる。
でも。
少し離れようとすると。
眠っている阿部の手が、無意識に目黒の服を掴んだ。
目黒はその手を見る。
しばらく迷って。
結局、そのままベッドの端に腰を下ろした。
そして。
阿部をそっと抱き寄せる。
「……どうせまた忘れちゃうんでしょ」
小さく呟く。
返事はない。
目黒は眠っている阿部の髪を撫でる。
「明日になったら」
もう一度。
静かに抱きしめる。
「ちゃんと覚えててよ」
阿部は何も知らずに。
目黒の胸元へ少しだけ顔を寄せた。
そのまま。
穏やかな寝息を立て続けていた。
次の日。
阿部はゆっくり目を開けた。
見慣れない天井。
一瞬、ここがどこなのか分からなくなる。
けれど、すぐに思い出した。
「……めめの部屋」
身体を起こそうとして、少し顔をしかめる。
怠い。
頭も重い。
気持ち悪いほどではないけれど、身体全体に薄く疲れが残っている。
「……二日酔いかな」
昨日。
ふっかが作った酒。
帰り道。
めめに支えてもらったこと。
鍵が見つからなくて、ここに泊まることになったこと。
そこまで思い出して。
阿部の動きが止まった。
「……」
全部。
覚えている。
ソファで話したことも。
めめに、
『俺に優しいのも、みんなに優しいのと同じ?』
と聞いたことも。
『全部同じじゃないよ』
そう言われたことも。
横抱きにされて。
自分から目黒の首へ腕を回したことも。
そして。
キスされたことも。
全部。
綺麗に覚えていた。
「……うわ」
阿部は両手で顔を覆った。
今さらになって、ものすごく恥ずかしい。
酔っていた。
それは間違いない。
でも。
酔っていたからといって。
自分から抱きついて。
意味ありげなことを言って。
目黒をあんなふうに誘うような真似をして。
その結果。
キスまでさせてしまった。
「俺、何してんの……」
布団の中へ潜り込みたくなる。
好きだと気づいたばかりだった。
だから余計に罪悪感が湧いてきた。
もし目黒が。
酔った自分に流されただけだったら。
自分があんなふうに抱きつかなければ。
あのキスだって。
なかったのかもしれない。
そう思ったら。
急に怖くなった。
その時。
部屋のドアが開いた。
阿部は慌てて顔を上げる。
入ってきたのは目黒だった。
風呂上がりらしく、髪がまだ少し濡れている。
部屋着姿で、タオルを首にかけていた。
「あ、起きた?」
「……うん」
目黒がベッドの近くまで来る。
「気分悪くない?」
「大丈夫。ちょっと怠いくらい」
「水いる?」
「あとで飲む」
「そっか」
目黒はそう言ってから、少しだけ阿部を見る。
何かを確認するような視線。
阿部には。
何を聞かれるのか分かっていた。
「……あべちゃん」
「何?」
目黒が少し迷ってから聞く。
「昨日のこと、覚えてる?」
胸が跳ねる。
覚えている。
全部。
でも。
その瞬間。
怖くなった。
もし覚えていると言ったら。
昨日のキスについて話さなければいけない。
自分の気持ちも。
目黒の気持ちも。
曖昧なままではいられなくなる。
阿部は少しだけ目を逸らした。
「……覚えてない」
言ってしまった。
ほんの一瞬。
目黒の表情が止まる。
「……そっか」
笑おうとしたように見えた。
でも。
うまく笑えていなかった。
明らかに。
悲しそうだった。
その顔を見た瞬間。
阿部の胸が強く痛んだ。
「……」
何だろう。
この感じ。
初めてじゃない。
そんな気がした。
誰かに同じような顔をさせたことがある。
大切な人が。
自分の言葉を聞いて。
傷ついたように目を伏せる。
その表情を見て。
胸が苦しくなったことがある。
そんな感覚だけが、突然胸の奥から浮かんできた。
「……っ」
阿部は眉を寄せる。
思い出したい。
誰だった?
いつ?
何を言った?
必死に手繰り寄せようとする。
でも。
何も出てこない。
ただ。
悲しい。
苦しい。
知っている。
その感覚だけ。
「そっか」
目黒はもう一度言った。
「じゃあ、いいよ」
そう言って。
ベッドから離れようとする。
その背中を見た瞬間。
阿部は考えるより先に手を伸ばした。
「待って」
目黒が止まる。
阿部は目黒の服の裾を掴んでいた。
「……あべちゃん?」
「ごめん、嘘ついた」
目黒が振り返る。
阿部は服を掴んだまま、顔を上げた。
「覚えてる」
「……え?」
「昨日のこと、全部覚えてる」
目黒が何も言わない。
「ふっかと話したことも。めめと帰ったことも。ここで話したことも」
少しだけ息を吸う。
「抱きついたことも」
そこまで言うと、さすがに恥ずかしくなって目を逸らす。
「……キスしたことも」
静かになる。
阿部は目黒の服から手を離した。
「ごめん」
「なんで謝るの?」
「だって俺、酔ってたし」
「うん」
「めめに変なこといっぱい聞いて、抱きついて」
言葉が少し詰まる。
「俺があんなことしたから、めめも……」
「待って」
目黒が遮る。
阿部が顔を上げる。
「あべちゃんが酔ってたからキスしたって思ってる?」
「……違うの?」
「違う」
迷いのない答えだった。
阿部は目を瞬く。
「でも」
「確かに酔ってるあべちゃんにキスしたのはよくなかったと思ってる」
目黒は阿部の前にしゃがむ。
目線が同じ高さになる。
「だから昨日、明日答え合わせしようって言った」
「……うん」
その言葉も。
覚えている。
阿部はしばらく目黒を見る。
逃げたくなるくらい恥ずかしい。
でも。
もう嘘はつきたくなかった。
さっき。
覚えていないと言った時の目黒の顔。
あれを。
もう一度見たくない。
それに。
知りたい。
昨日。
聞けなかったこと。
目黒の優しさが。
自分だけ少し違うという意味。
キスをした理由。
全部。
阿部はゆっくり息を吐いた。
「めめ」
「ん?」
「答え合わせしよう」
目黒の目が少し大きくなる。
阿部は、今度は逸らさずに目黒を見る。
「昨日の続き」
「……覚えてるんだよね?」
「だから覚えてるって」
「本当に全部?」
「全部」
阿部は少しだけ頬を赤くする。
「忘れたかったくらい恥ずかしいけど」
目黒が小さく笑った。
その顔を見て。
阿部も少しだけ安心する。
「俺も聞きたい」
「何を?」
「めめが言ったこと」
一度言葉を切る。
「俺に優しいのは、みんなと同じじゃないって」
目黒の表情が変わる。
阿部は胸の鼓動が速くなるのを感じながら、それでも続けた。
「どう違うのか」
もう。
酔っていない。
今度は。
自分の意思で聞いている。
「ちゃんと教えて」
目黒はしばらく阿部を見つめていた。
それから。
ゆっくり笑った。
「うん」
短く答える。
「じゃあ、ちゃんと答え合わせしよ」
昨日とは違う。
二人とも。
起きている。
酔っていない。
忘れることもない。
阿部は少し緊張しながら。
目黒の答えを待った。