テラーノベル
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俺はいつから味がしなくなっていたんだろう
食べ物に無頓着で味気ないものばかり食べていた弊害が‥‥
これからどうしよう
ロウ君には伝えてあげないときっと気付いてないだろうし
早く伝えてあげないとと思えば思うほど電話がかけられない
会って直接‥‥
それも考えたけど
俺の自制心が利くのかどうかもわからない
だって考えれば考えるほど食べたくなる
今までどうでも良かった食事が、味が失われたとわかった瞬間から何度もロウ君の味を思い出してしまう
その時スマホにメッセージが届いた
“今日仕事?”
“違うよ”
ロウ君から届いたメッセージ
一言だけ違うよと打つまでも時間がかかった
しかも味気ない一言‥‥
何も文章まで味がなくならなくても良いのに
でもあのまま帰っちゃったし、気まずさも残っている
俺がメッセージ送ってから返答はない
やっぱり少し冷たく感じちゃったのかも
間が開けば開くほどメッセージを付け足そうにも送りづらくなる
どうしよう‥‥
そう思った時部屋のチャイムが鳴った
「‥‥はーい」
配達員かと思い扉を開けると、そこにはロウ君が立っていた
「あ‥‥ロウ君?」
「用事あって出たついでに‥‥少しだけ良いか?」
「‥‥勿論だよ」
絶対勿論ではない
ロウ君を見るだけでゾクゾクしてくる
このまま部屋に招いても大丈夫なものなのかわからない
それなのに部屋にあげてしまった
それなら早く話してしまおう
「‥‥ロウ君、あのさ」
「気にしてねぇから」
「えっ⁈」
リビングに入って行ったロウ君が振り向いて俺に近づく
そして腕を掴むと俺にキスをした
触れたそこから甘さが伝わると、途端に今までの思考が弾け飛んだ
ロウ君の体に腕を回して抱きしめると、その唇に齧り付く
これじゃこの前と同じ事を繰り返してしまう
それなのにこの味が俺を狂わせる‥‥
「んっ、ぁ‥‥う‥‥はっ‥‥」
「ロウ君っ‥‥」
美味しい
甘い‥‥
甘いってこんな味だったな
こんなに美味しいものは他にはない
崩れ落ちるロウ君を追いかけて床に倒れ込む
それでも抵抗しないロウ君に気付き、やっと俺は唇を離した
「ロウ君‥‥俺‥‥」
「お前こんなに溜め込む前に最初から‥‥」
「いや、あの‥‥違くて‥‥」
「違う?なにが」
「俺‥‥フォークになったみたい」
「‥‥え?」
そう言った俺の目はきっと捕食者そのものに違いない
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コメント
6件

やっぱり蒼月さんの書くノベルは本当に面白いです!テツくんのわかってても止められない心情がリアルに描かれていて本当に面白かったです!相変わらずロウくん受けは尊いです♥
第5話、一気に引き込まれました!味覚を失った主人公がロウ君のキスだけで「甘さ」を感じる描写、すごく官能的でドキドキした…。しかも最後の「フォークになったみたい」って比喩、狂気すら感じさせるのに可愛くもある。ロウ君が先に「気にしてねぇから」って言ってくれる優しさも良かった。続きが気になりすぎる!
#佐伯イッテツ
かさ
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