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律は膝を覆うように丁寧に包帯を巻いていく。
その指先は思いのほか優しく、華は息をするのも忘れて見つめてしまった。
「これで大丈夫です」
最後に包帯を留め、律は顔を上げる。
至近距離で交わる視線に、華の胸が大きく揺れた。
「桜坂さん。……もっと自分の足元に気をつけてください」
声はいつも通り低く落ち着いていたが、そこににじむ気遣いを華は感じ取った。
――この人に、守られたい。
――もっと近くにいたい。
痛みよりも強く湧き上がるその想いに、華ははっきりと気づいた。
(私、もう完全に……律さんのこと、好きなんだ)