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包帯を巻き終えた律が手を離すと、華はそっと膝に触れた。
まだ少し痛むけれど、心は不思議と軽い。
「……ありがとうございます、律さん」
素直な声がこぼれた瞬間、律の動きがぴたりと止まった。
目を逸らすように片手で救急箱を閉め、わずかに咳払いをする。
「仕事の一環です。気にしなくていい」
淡々とした口調のはずなのに、その耳の先が赤く染まっていた。
華はその小さな変化を見逃さなかった。
(……照れてる?)
胸の奥がふわりと温かくなり、痛みなんてすっかり忘れてしまっていた。