テラーノベル
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気が付くと2時間経っていた。晶子とカンナは山本夫妻と子どもに見送られてアパートのドアを出て、そのまま駅に向かった。
並んで歩きながら、ふと思い出したという感じでカンナが尋ねた。
「ところで、晶子、なんであそこにいたんだ?」
晶子はドキッとして、声が上ずるのを必死で抑えた。
「え、あの、ああ、そうだ。この辺りの街並みの歴史を調べてたの。部活のレポートにしようかなって」
「ああ、日本史研究会とかいうやつな。大変だな、休みの日なのに」
「ま、まあ、散歩も兼ねてね。ここのところ運動不足だったし」
「あれ、晶子、なんか顔が赤いぞ。大丈夫か?」
親友にとんでもない想像で疑いをかけていた恥ずかしさで、晶子の顔はすっかり赤くなっていた。
カンナが自分の手を晶子の額に当てる。
「ううん、別に熱はないようだけど」
「あ、出かける時寒かったんで、着こみ過ぎたせいでしょ。ちょっと火照っちゃったかな」
「そうか? 今も結構肌寒いと思うけど」
晶子はカンナのミニスカートを指差しながら言った。
「そんな短いスカート履いてるからだよ。駅の階段とか気をつけなよ」
「パンツぐらい別にいいじゃねえか。見られて減るもんじゃなし」
「だから、そういう問題じゃないってば」
角を曲がるとき、カンナが晶子の前に出た。その背中に向かって、晶子はこっそり両手を合わせて心の中で言った。
「カンナ、本当にごめん!」
アパートが見えなくなる直前、晶子は振り返って考えた。
晶子にとっての学校という物は、常にテストでどれだけ高い点数を取れるかを競い合う場所でしかなかった。
自分の意志とは関係なく、嫌々通う場所でしかなかった。だが、世の中には、いい年の大人になった後も、生活のために自ら通う人もいる。
それは晶子にとって、初めて知る事であり、新鮮な驚きでもあった。そんな環境の高校に通っているカンナの事を、晶子は初めてうらやましい、と思った。
コメント
1件
え、晶子の心の中の謝罪が切なすぎるわ……! 親友を疑ってた罪悪感で顔真っ赤にしてごまかす姿、リアルで可愛いんだけど、ちょっと切ない。カンナの「パンツぐらい別にいいじゃねえか」って台詞もキャラ出てて好き。最後の“学校の意味”に気づく場面、晶子の価値観がちょっと変わった瞬間がすごく印象的だった。このエピ、めっちゃ良かったです🔥
もな
291
115
宇津Q
2,059