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コメント
17件
深い話だね… 幼馴染で、💙の気持ちも分かるだけに❤️は、色々悩んでますなぁ…🤔
宮と渡は阿のこと好きだけど、阿は宮の事が好きで、渡さん降られて…宮は混乱中 ということでしょうか!?最高すぎませんか!お話の内容が天才すぎて、、
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「阿部」
「んー?」
さっきまで男らしく俺を好きにしてたクセに、阿部はわざと可愛こぶりっ子のようなあざとい顔を見せた。唇をキュッと引き絞って、俺を愛おしそうに見つめる。
「なんで、俺なの」
「なんでって?」
鼻にかかるような甘い声。
くすくすと楽しむような声音に、昔から知る大事な幼馴染を想って胸が痛んだ。
「しょ」
ちゅっ。
口付けられる。それ以上は言うな、とでも言うように。
「俺が抱きたいのは、舘さんなの」
「…………あいつの気持ち、知ってて喜べないよ」
阿部は何も言わずに俺を見つめている。
その表情からは何も読み取れなかった。悲しそうでも嬉しそうでもなくて。そういう無表情は、俺の得意分野なはずなのに。
小さく、可愛らしい口だけが機械的に動く。
「イヤなの?」
「嫌ではない………けど」
「けど?」
「ずっと、あいつには勝てないって思ってたから」
「……………」
最低だ。
最低だ、俺。
最低なことを言ってる。
物心つく前から翔太といて。
憧れの人も被って。
好きな人も被って。
今度こそ被らないだろ、と恋に落ちた相手はまさかのメンバーで。それも優しくて頭が良くて、最高に良いやつだった。
阿部が翔太を構うたびに、翔太の顔がわずかに赤らむ。
熱っぽい視線が、いつも阿部を追っている。
気づいていた。
だって俺もそうだったから。
しかし阿部は俺たちのことなんかお構いなしに、好きに、あくまでも自由に振る舞っているように見えた。
幼馴染という俺らの呪縛を弄ぶみたいだと恨んだこともある。
阿部は何かと俺たちをくっつけようとしてきたから。
いつも阿部は、俺たちを交互に見比べて楽しんでいるように見えた。
◆
練習終わり。
人気のない階段で、翔太が阿部に想いを伝えているのを聞いてしまった。
周りには誰もいない。
阿部は、少し微笑んで、翔太に言った。
「ありがとう。でも、ごめんね」
その時同時に 俺も失恋した気がした。
胸が痛くって、翔太をひとりにして放って置けないと思った。
それなのに。
俺ばかりが。
「涼太。俺は、涼太の隣りにいたいよ。これからも一緒にいてくれるでしょ?」
物思いに耽っていた俺に、あんなに待ち侘びてきた言葉が優しく降ってきた。頭が混乱して受け止められない。
「………阿部」
「なんで俺なの」
「涼太が好きだよ」
「だからなんで」
「わからない?」
そう言うと、阿部は、頷く俺を見てふっと優しく笑うと、まだぼんやりとした気分でいる俺に覆い被さりそのまま口付けをした。
「好きだよ」
甘い言葉に溶かされていく気がした。ずっと欲しかったものを俺はこのまま手に入れていいんだろうか。
翔太の笑顔が浮かぶ。
俺は、一体誰のことが好きなんだろう。