、、、記憶?
「俺の記憶なんてとっても楽しくないし、美味しくもないで?」
「ちーがーう!俺は悠佑の存在が欲しいんやって!」
そんな言葉を聞いて俺はますます首を傾げた。あっても仕方の無い人間の存在なんかが代償になるのだろうか?そんな俺の心象を読み取ったのかいふはより一層笑顔を深めて言った。
「どんなに本人がいらない存在でも悠佑という名の人間の存在は大きいんよ。両親がいて、友達もたくさんいて、先生とも仲がいい。悠佑は人脈の幅がすごいからなー」
確かに、【悠佑】は絵に描いたような優良人物だ。
「本人がどう思おうと、お前は周りから見て幸せそうやからな。そんな人間の記憶は色んな奴らが欲しがるんよ。まぁ、言ってしまえば俺の金がせぎに悠佑を利用してるってだけやけど。」
「、、、別にええけど?俺は誰かの迷惑になってるから消えたいんや。何もかも忘れて、本物の優良物件になれるってことやろ?みんなが望んでるような悠佑に、、」
俺の要らない部分はこんな消えたいとか思ってる自分だ。みんなの役に立てることを心から嬉しいと思える人間になれたらきっと、、迷惑になんてならない。素敵な事じゃないか。
俺は首のチョーカーを撫でながら言った。
「どうぞ、俺のいらないものを全部取ってってくれ。それが無くなれば俺はきっと―」
いふはパッとベットから飛び降りるとiPadを取り出してきた。iPadの画面には俺の、、いや、違う。悠佑の友達である初兎やないこ、りうらにほとけまでもが映っていた。
「なんでアイツらが?」
いふはにぃっと可笑しそうに笑った。
「人間っておもろいよなぁ。悠佑はこんなに消えたがってるのに、こいつらはそんなことも知らず探し回ってる。」
「、、、、こいつらが探してるのは俺じゃなくて悠佑や。俺が今まで必死こいて創ってきた空っぽの人形。」
そう、空っぽだったのだ。ずっと。何をしても満たされなくて、何かしたらこれまでのものが全て崩れそうで壊れそうで。誰かを傷つけそうで、、、
「っ空っぽの人間は必要ないんや!」
いふは少し驚いた顔をするとそっと俺の頬を撫でた。いふの綺麗な指に雫がついてるのを見て、やっと自分が泣いているのだとわかった。
「、、、なぁ、悠佑。そのiPadは色んな人の今の人生を見ることができる。誰が何をしているかすぐ分かるってことな。三日後、また悠佑に戻るか、それとも俺と死ぬまで一緒にいるか決めて欲しいんや。」
いふとずっと一緒にいるということは、、、ずっと存在を消したままにできるってこと?
「俺!ずっといふと一緒がいい!」
いふは今までで1番優しい笑みを浮かべた。
「三日後、、な」
(次から他メンバー視点になります)
コメント
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こういう病み?系大好きです!もっともっと書いてください!