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救おうとした泣かない魔術師

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救おうとした泣かない魔術師

8 - 第8話真咲理沙

2022年10月01日

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の名前は真咲理沙(まきさ)です。

今日から高校2年生になりました。

私には好きな人がいます。

同じクラスの男子生徒で名前は高坂光輝(こうさかみつき)君といいます。

彼との出会いはある日の放課後のことです。

私は図書室で本を読んでいましたが、ふとしたきっかけで隣の席にいた人と本の趣味が合いまして意気投合しました。

それからというもの、彼と仲良くなりたいと思い積極的に話しかけたりしていたのですけど……

ある日を境に急に避けられるようになりました。

どうしてなのか理由を聞いても教えてくれませんでした。

なので仕方なく諦めて別の人を好きになろうとしていたら今度は私が彼に告白されてしまいました。

もちろん私は断る気なんてなくて付き合うことになりました。

こうして私達は恋人同士になったんです! 付き合い始めてからの毎日はとても幸せで楽しいものです。

これからもずっとこの幸せな日々が続くと思っていました―――。


***

朝起きてからいつものように学校へ行き授業を受けていました。

休み時間になると私は光輝君のところへ行こうと思ったのですが何故か女子生徒が私のところにやって来ました。

「ねえ、ちょっといい?」

「はい? 何か用ですか?」

「えっとね、あなたたちが言うところの『魂』ってやつかな?それがね……」

「そうじゃない!私が言いたいのはそういうことじゃなくて!」

「うん?」

「だから!私たちはもう死んでいて幽霊になってて……」

「んー……それについては間違いないよ?だってキミたちの身体は消えちゃったもの」

「…………」

「あれれ~?黙っちゃった?ごめんねぇ。僕もさっきまで気づかなかったんだけどね。ちょっと調べたらわかったから」

「そ、それで!?あなたは何者なの!?なんでこんなところにいるわけ!?」

『……』

少女の言葉に沈黙する謎の少年。

少女はその反応から自分が質問したことを忘れているのではないかと思い始める。

(な、なんてヤツ!こっちがせっかく話しかけてあげてるっていうのに!!)

少女は自分のことを棚上げしてそう思った。

しかし、この沈黙の間に少女はあることに気がつく。

それは目の前の人物が自分の予想以上に若いということだった。

おそらくまだ中学生くらいであろうか? 少なくとも自分の弟と同じくらいに見える。

それなのにどうしてこんなところに一人でいるのだろうか? そして先ほどまで自分たちを攻撃してきた人物とは思えないほどの穏やかさを感じる。

もしかすると悪い人ではないのかもしれない。

それにもし敵だとしてもここまで一緒に来たのだ。

今さら見捨てることはできない。

「ねぇ、あんた名前は?」

『……』

「私は高坂真琴よ。あなたの名は?」

真琴と名乗った少女は再び同じ問いを投げかける。

しかし相手は何も答えない。

「ちょっと聞いてんの!?」

真琴は相手の態度に苛立ちを覚える。

やはりこいつは悪い奴なのだと確信し始めた。

「もう知らないわ!」

相手にするのをやめようとしたその時だった。

「……お前には無理だ。」

そう言った瞬間だった。

まるでこの世の終わりのように顔を青ざめさせたそいつは俺の顔を見るなり目に涙を浮かべて走り去って行ったのだ。

俺は慌てて追いかけたが奴の姿はすでに見えなくなっていた。

それから数日経ったある日のこと。

いつも通り授業を終え家に帰っている途中のことだった。突然目の前に現れた女性に声をかけられた。

彼女は俺のことを知っていたようで、いきなり名前を呼ばれたのだ。

最初は誰なのか全く分からなかったのだが、どこか見覚えのある顔立ちだったので、よく観察してみたらなんとなく思い出してきた。

そうだこの人……

確か一ヶ月くらい前に駅前で声をかけられてナンパされたんだ! 俺はその時は軽くあしらい断ったんだけどしつこく付き纏われて嫌だったんだよなぁ。

しかも結構可愛い人だったから余計断りづらくて困っていたところだ。

だけど今日はその女性が今度は笑顔で話しかけてきた。

「こんにちわ~♪ えっとぉ……久遠寺くんで良かったよね?」

「あぁ……」

俺の名前は久遠寺司(くおんじつかさ)だ。

ちなみに久遠寺というのは名字であって名前ではない。

なぜなら俺は養子だからだ。

別に珍しい話でもないらしい。

親父の浮気が原因で生まれた子供で、母さんには苦労をかけたと思う。

俺を引き取ってくれたのは、母方の祖父母だった。

父方の両親は既に他界していて、父方の実家は京都にある。

母方の祖父母は、とても優しくて、よく一緒に遊んでいた記憶がある。

京都の山奥でひっそりと暮らしていた祖父たちだったが、2年前に祖母が亡くなったことで状況が変わった。

元々体が弱かったらしく、寿命だと祖父は言っていた。

しかし、残された祖父の世話をする人間が必要になり、俺たち家族を呼び戻すことになったのだ。

正直、あまり行きたくはなかったのだが……両親とも仕事の都合で行くしかなかった。

ただ、そのせいで中学卒業まで会えないと言われていたので、高校入学を機に一人暮らしを始めたわけなのだが……

なぜ、こうなった!?

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