◇◇◇◇◇
リオ:「みんな、ちょっと気になることがあるんで、今から大聖堂に行きたいんだけど大丈夫?」
リンドウ:「もちろん、いいわよ。」
カゲロウ:「ええでぇ。」
リオ:「それじゃ。」
リオは、ララに大聖堂に行くと告げて、みんなで王城を出て行った。
王城から大聖堂まではすぐである。
◇◇◇◇◇
リオたちは、大聖堂の祭壇前で跪いてお祈りをしている。
リンドウとカゲロウはもちろん、ゼータとサランも静かにお祈り中。
というか、ナスヴィー様と会話中である。
女神:『リオ!成長したねえ。』
リオ:「はい、日々頑張ってます。」
女神:『うんうん。よしよし。』
◇◇◇◇◇
シルヴィアが突然驚いた表情を浮かべる。
あ!ナスヴィー様の声が聞こえる。
また、リオ様が来てるんだ!
シルヴィアは急いで、祭壇前まで駆け足で向かった。慌てすぎて、途中転びそうになった。
◇◇◇◇◇
リオ:「ナスヴィー様!ちょっと聞きたいことがあって来ました。」
女神:『うんうん。知ってるよ。加護のことでしょ?』
リオ:「え!?はい。」
リンドウ:「リオ。なんかあったの?」
心配そうにリンドウが聞いてきた。
リオ:「うん。この前、ヘルサイズに襲われたときなんだけど、僕が黒兵を倒したでしょ。
その時に何かが弾けた感覚があったんだ。
ステータスを見たら、加護に〈真〉っていうのが付いてて関係があるのかなって。
だから、ナスヴィー様に聞いてみたかったんだ。」
リンドウ:「そうなの。なら良かったわ。」
女神:『うんうん。リオはすごいね。
もう少し先のことだと思ってたからね。
シルヴィア。隠れてないでこっちに来たら。』
シルヴィア:「あ!?はい。
リオ様。お久しぶりです。」
リオ:「シルヴィア?
そっか。聞こえるんだね。」
シルヴィア:「はい。横にいていいですか?」
リオ:「うん。いいよ。それと様は要らないから。」
シルヴィア:「いえ。それは無理です。」
女神:『リオ。それは仕方のないことなのよ。
聖ナスヴィー教に仕えるものは、今後リオのことをそう呼ぶことになるわね。
今から言うことに関係するから聞いてね。
まず、リオの右手の甲を見てみて!』
リオ:「はい。右手の甲ですね。」
リオは右手の甲を見てビックリした。
何かの模様がうっすらと出ている。
女神:『わかる?
それって聖ナスヴィー教の紋章なのよね。』
リオ:「紋章!?ってなんですか!」
女神:『うんうん。紋章。
加護が変わったでしょ?
それってリオが覚醒したからなんだよ。』
リオ:「覚醒ですか。
それって何が変わったんでしょう?」
女神:『まあ、簡単に言うとその紋章を持つものは、聖ナスヴィー教の教皇の証ってこと。
まだ、正式にはなってないんだけどね。
だから、リオは教皇候補ってことかな。』
シルヴィア:「え!?リオ様が教皇様!?」
シルヴィアは思わず叫んでしまってから、しまった!と言う顔で手で口を押さえた。
リオ:「シルヴィア。何か知ってるの?」
シルヴィア:「あ!はい。
聖ナスヴィー協会の最上位は、大司教のガウチョ様ですが、それは現在教皇様が不在だからと聞いています。
教皇様は特別で、直接女神様から授かる位なので、約300年ほど不在となっているようですが、詳しいことは聞かされていないのでわかりません。」
女神:『そうそう。300年くらい前だね。
実は加護を与えたものでも、覚醒するものは珍しいのよ。そして、後で説明するけど、覚醒してからも試練を超えたものだけが教皇になれるのよね。だから、それくらいの間隔が空いちゃうのよ。
シルヴィア!
ちょっとガウチョを呼んできなさい。』
シルヴィア:「はい!ただいま!」
シルヴィアは急いでガウチョを呼びに行った。慌てすぎて、途中転びそうになった。
女神:『リオ。話の続きはガウチョが来てからするとして、悪いニュースがあるのよ。』
リオ:「はい。悪いニュースですか……。」
女神:『この大陸に魔人が降り立ったみたいなのよ。
ちょうど、リオが覚醒した頃によ。
これも300年くらいは無かったことなんだけどね。経緯は私にもわからないのよ。』
リオ:「ナスヴィー様でもわからないことがあるんですか?」
女神:『普通はないわ。
でも、魔界が絡んだ場合はそうでもないのよね。ここ神界で私は創造神だから、天界を統べる地位にあるんだけど、この対極に魔界を統べる破壊神がいるのよ。
たぶん、その破壊神である魔神ディスハーが関係しているわね。』
リオ:「わかりました。
で、どうすればいいですか?」
女神:『特に何もしなくてもいいわ。
注意しなさいってことくらいね。
わかってるのは、例の謎の少年と魔人が行動を共にしているってこと。』
リオ:「あのカランマって言う荷物持ちの少年ですか?」
女神:『そう。ただ、カランマっていうのは偽名だね。本名はレキ・グランベルだよ。』
リオが話してるとそこにガウチョを連れたシルヴィアが戻ってきた。
ガウチョ:「なんじゃ!服を引っ張るな!シルヴィア!
ん?以前の少年か?リオと言ったか。
で、シルヴィアよ。なぜ、ここに呼んだんじゃ?」
シルヴィア:「あのー。」
女神:『シルヴィア。私が呼んだとそのまま伝えていいよ。』
シルヴィア:「はい。ガウチョ様。ナスヴィー様がガウチョ様を呼んでくるようにと。」
ガウチョ:「はい?女神様がそう仰ったのか?」
シルヴィア:「はい。」
ガウチョ:「そうか。それはありがたいことじゃ。」
ガウチョも祭壇に跪いてお祈りを捧げる姿勢をとった。
ガウチョ:「女神様。お呼びいただきありがとうございます。なんなりとお申し付けください。」
女神:『じゃあ、話を再開しようね。
シルヴィアはガウチョに私が言ったことを伝えるようにね。』
シルヴィア:「はい。ナスヴィー様の言葉をガウチョ様にお伝えいたします。」
女神:『うんうん。じゃあ、ガウチョにリオの右手の甲を見るように伝えて!』
シルヴィア:「ガウチョ様。リオ様の右手の甲を見るようにと。」
ガウチョ:「ふむ。リオ。よろしいかな?」
リオ:「はい、どーぞ。」
リオは右手の甲を差し出してガウチョに見せた。
ガウチョ:「は!う!あ!これは!?まさか!」
聖ナスヴィー教の大司教であるガウチョにはこの紋章が何を表すかはわかっていた。
ガウチョ:「シルヴィア。皆さま。
少々お待ちくだされ。急ぎ戻ります故。」
ガウチョは慌てすぎて転けた。そしてすぐさま起き上がり奥の方に走っていった。
どうしたんだろう?
ナスヴィー様だけがその行動の意味をわかっていたが、みんなにガウチョの戻りを待つようにと言うだけだった。
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