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日本「……」
入学式を終えて、日本は教室でピンと背筋を張って姿勢を正していた。緊張ゆえである。
周りを見渡せば、どの人も個性的な見た目をしていた。
制服がないからこそ、バラバラで個性豊かな私服を皆着てきている。
日本(思いつかなかったのでジャージできましたけど……皆さん服装が目立ちますね……)
この中でジャージは逆に目立ってる、と日本は心の中で冷や汗をかく。
現実から目を逸らすように、日本は横をチラリと見た。
?「……」
日本(ひえっ、怖い……)
視線の先には、全体的に赤い服をまとい、金の星を頭に輝かせた国がいた。
その国は、妖艶な長いまつ毛と、見る者全てを射抜くような鋭い視線を持ち合わせていた。
日本(ど、どんな方なんだろ……仲良くできるでしょうか……)
日本はひたすら不安に思いながら、きょろきょろと周りを見渡す。
すると、偶然にも、他の国と目がしっかり合ってしまった。
ビクッと驚き、思わず固まってしまう。
?「……(にこっ)」
日本「!」
突然目があった日本に、その国は優しく微笑みかけてくれた。
日本の気持ちはパッと明るくなる。
日本(優しそう……! よかったぁ)
その時、ガラッと教室の扉が開いた。
入ってきたのは、青い肌、切れ長の目、そして、周りに星をまとった、
?「どうも。この学年を統括する国際組織、EUです」
EUは教卓の前で、教室全体をぐるりと見渡す。
EU「ヨーロッパは知ってる方が多いでしょうね。まぁ、好きに呼んでください」
パラパラと書類か何かをめくりつつ、EUは喋る。あまりやる気や元気を感じない。
EU「この学校の意味……目的を答えられる国はいますか?」
突然のEUの質問に、日本は驚く。そして、答えにも詰まってしまった。
?「……国と国との結びつきを強めるためアル」
横から声が聞こえて、日本はチラッと横を見た。先ほど怖いと思った、赤い肌と星の国。
EU「正解。さすが中国、お兄さんは元気にしてますか?」
中国「……」
中国は質問に答えず、鋭い視線でEUのことを射抜いた。
EU「……まぁ要するに、君たちにはここで親睦を深めてほしいのです。卒業もなければ、何か特殊な事態にならない限り、学年が変わることもありません」
ざわっと周りが騒がしくなる。日本も同じだった。周りにいるメンバーと、これからずっと過ごしていかなければならないのだ。
EU「今日は、その始まりの日です。好きに話をして、親交を深めてください」
突然の展開に、皆ついていけていないようだ。
そうこうしているうちに、EUは、「私は戻りますので」と、勝手にさっさと行ってしまった。
日本(話せばいいのでしょうか……? でも、まだ自己紹介もしてないのに……)
?「Hey!」
声をかけられ、日本はびくりと飛び跳ねた。
周りを見ると、中国とは逆の日本の隣に、これまた目立つ姿が。
日本「あっ、はい! あの……?」
?「俺はアメリカ! そっちはJapanっていうんだろ?」
アメリカはサングラスの奥でニコニコと笑う。
日本「えっ、と……じゃぱん? 私は日本ですが……」
アメリカ「親父から聞いたんだよ! 日本は、俺たちの言語でJapanってな!」
日本「は、はぁ……?」
よくわからず、日本は首を傾げる。
アメリカ「ともかくよろしくな、Japan!」
日本「あ、はい、アメリカさ」
アメリカは、言いかけた日本の腕をぐいっと掴み、半ば無理やり握手をした。
引っ張られる形になり、日本は驚く。
日本(力、つよ……⁉︎)
ぐらっと日本の体が傾く。
やば、と思った瞬間、がっしりと肩を何かに支えられた。
中国「……大丈夫アルか?」
中国が、日本が倒れるのを防いでくれたらしい。
まつ毛が教室の光を受けてキラリと光る。
日本(わ、綺麗……)
中国「……美国。貴様はもう少し力の加減を覚えろアル。我がいなければ、日本は倒れていたアルよ」
アメリカ「盗み聞きか? 人が悪いなァ、チャイナ」
中国「貴様の声がデカいだけアル」
バチバチと火花を散らす二国に、日本はおろおろしていた。
日本(この2人、知り合いなんですかっ⁉︎ にしても、なんでこんな仲が悪いのでしょう……⁉︎)