テラーノベル
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退屈だった。
学校というのにも、特に期待などはしていなかった。
ここに来る前に入れさせられていた場所でも、我を恐れて、近寄ろうとする者は誰もいなかった。
我は嘘を見抜く。どんなものでも、嘘をつけば手に取るようにわかる。
その力は忌み嫌われて、我の周りから誰もが離れるようになった。
けど。
教室に入ってきた国。何かが変わる予感と、妙な懐かしさ。
全てがぴたりとはまり、心を奪われた。
この現象を、「恋」ということを、我はまだ知らなかった。いや、知りたくなかった。
そして、隣の席に着いた愛らしい者に真っ先に話しかけた美国……アメリカに、いつも以上の嫌悪を覚えたのも、また事実だった。
アメリカ(ふーん、あのチャイナがねぇ)
アメリカは椅子の背にどっかりと腰掛けて、あくまで普通にしようとしている中国をにやにやと見ていた。
中国とアメリカは、小さい時から面識がある。そう、相手の異常くらい一目でわかるほどに幼い時から。
アメリカは、中国の様子がおかしいのを悟ったのだ。
アメリカ(……おもしれーw)
中国が、日本の一挙一動にぴくりと身を震わせるのを、アメリカは心の中でけらけらと笑う。
アメリカ(暇だし……何かしてみるかw あいつがどんな反応するか楽しみだし)
大層意地の悪い理由で、アメリカは日本に声をかけた。
幸い、学年が2つ上の彼の父から、すでに日本のことを聞いていたため、日本の名前は知っていた。
日本「あっ、はい! あの……?」
突然声をかけられて戸惑ったらしい日本が、ちょっと気まずそうに首を傾げる。
サングラスの裏、アメリカは中国の反応を確かめていた。
アメリカ「ともかくよろしくな、Japan!」
自己紹介を終えて、半ば強引に、アメリカは日本に微笑みかけた。
中国が表情を険しくしたことに、心の中でにやにやとしながら。
アメリカ(あー、おもしろ。でも、これだけだと物足りねーなぁ)
いたずら心で、アメリカは日本の手を掴み、無理やり握手させようと体を軽く引っ張った。
アメリカ(は、?)
いとも簡単に、日本はバランスを崩した。そしてようやく、アメリカは日本の腕の細さと、手の冷たさ、目の下の濃いクマに気づく。
アメリカ(やっば、力加減ミスっ––––)
ピタ、と、日本の体が止まった。
日本の肩にのっているのは、しなやかで艶のある赤い手。
中国「……大丈夫アルか?」
いつの間にか、中国が席から立って、日本のことを支え、さらには、アメリカのことを鋭い眼光で見下ろしていた。
アメリカ(……haha,)
嫉妬? 嫌悪? 軽蔑?
いや、全部。
中国は、ありったけの感情を込めて、アメリカのことを牽制していた。
アメリカは楽しくて仕方がなかった。
同時に、普段冷静沈着で、厄介なことには首を突っ込まない中国をここまでかき乱す存在に、興味が湧いた。
アメリカ(こいつは、うまく利用できそうだ)
自分が今掴んでいる、白く華奢な指に目を落としながら、アメリカはほくそ笑んだ。
主「タグ見ていただけるとわかりますが、こんな状態から、徐々にみんなヤンデレ化していきます」
主「時間はかかると思いますが(笑)」
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