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斎藤の行きつけのBAR。いつも通り、そこには斎藤の姿があった。結婚式前日だと言うのに。
「大丈夫です?奥さんに迷惑かけてません?」マスターの児島楓(こじまかえで)が言う。
「ええ。平気ですよ。きっと彼女だったら許してくれるでしょう」
そう2人の会話が続く中、斎藤の席の隣に髪が肩ぐらいまである女性が座った。
「隣失礼します」彼女が着ている紺色のシャツの襟元はひどく乱れているようだった。
「どうも」斎藤は軽く挨拶をした。
「カクテルを」女性はマスターに言った。
「私は小野寺夏希(おのでらなつき)といいます。不動産を営んでいます」
「俺は斎藤匡一です。保険会社に勤めています」
それぞれが自己紹介をした後、小野寺が口を開く。
「ご結婚なさったんですか?」
「ええ。そうなんですよ」と斎藤。
と、注文していたカクテルが女性のもとに届く。すると女性はカクテルのグラスを少し揺らし口に運んだ。
「告白の言葉はどのような?」と小野寺がカクテルを口にした後言う。
「え〜えっと…」と斎藤が迷っているとマスターの児島が口を開いた。
「いや〜ねえ〜彼やばいよ?脇役として活躍しますって言ったらしい」
「んなふざけたこと言ってたんだな俺。いや〜イキりすぎたかな〜?漫画の主人公は目標掲げてそれに向かって突っ走るってなあ」
「いいじゃないですか。私、昔ですが漫画家を目指していまして、それはとても惹かれます」
「へ〜そうなんですね。いや、自殺をしようとしていたんです彼女」
「そんなことが…」
「まあ人生どん底にいたんでしょう。そして俺がそう言ったんです」
「まあとてもいい。最近の世の中は厳しいことばかりです。その言葉は胸を打ちます。私達はそれぞれの漫画で主人公をしていてそこでそれぞれのストーリを描いています。たった一つの紙切れからストーリーが生まれていくのです」
「誤魔化すのがお上手ですね」
「誤魔化してませんよ。これが本心です」
「ふうん」
「今の漫画は死が多いですからね。ナイフ、ピストル、マシンガン、ミサイル。物騒なものを幼少期に覚えていしまう。怖い世の中です」
「ほおん」
「命を大事にしなければ死にますし、無駄になってしまう。命をかけて産んだ命を大切に大事にしなければ」
「ですね。当たり前すぎて忘れてました」
そんな会話をした後、マスターが斎藤に向かって言った。
「明日、結婚式でしょ?おまけしてあげるから早く帰りな」
「はは。どうもごちそうさまでした」
そして斎藤はBARを出ていった。暗い夜道を嬉しそうな笑みを浮かべて。
翌日。結婚式場の待機室にて2人の新郎新婦は楽しそうな会話をしていた。
「ふう。やっぱ緊張する〜」といったのは新郎の斎藤匡一。
「だね」そう返事をした。彼女は新婦の斎藤千優。
「は〜早く始まらないかな〜。さっさと終わらせて緊張から解放されたいぜ」
「確かに。そういうことは頭いいよね」
「んでだよw」
「…私のこと一生愛してくれる?」
「…おう。どした?急に」
「ううん」
「そっ。まあ俺は死んでも。いや死んでからも愛すかな。俺は俺のストーリーで主人公で夢がある。それは永遠と続かないと」
「そうだよね。私も頑張らないと」
「いや。お前は頑張らなくてもいい。俺が守ってやる」
「よっ!主人公!」
「ははっ。照れるわ!」
そんな二人の会話が続く中、とある合図がなった。
「そろそろお願いします」
そう言われ、2人は髪型や服装を鏡で見る。そして、待機室を出た。結婚式の始まりだ。それぞれの主人公が夢に向かって、歩き出した。
二人の愛に永遠を。