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スタスタと俺の方に大股で歩いてきて仁王立ちで聞いてくる。そんな恋人の姿はいつもの優しい恋人では無く、怖くなった俺は舘様の後ろに隠れた。




目黒side


涼「…目黒、亮平困ってるから。」


舘さんの後ろに隠れる阿部ちゃんは、必死に舘さんの服を掴んで離れようとせず、俺と目を合わせようとさえしない。

『俺の恋人なのに。』

そう頭に浮かんだ瞬間、恋人である自分では無く舘さんにくっ付いていることが許せなくなった。


蓮「だから話を……!!!」

亮「…っ!めめが言ったんじゃん……!!」

蓮「…は……?何を…?」


強く出ると、自分の恋人が涙目になっているのが見えた。恋人に突然拒絶され、その上自分以外の男にくっつかれて、泣きたいのはこっちだ。


涼「翔太〜」

翔「んー?」


舘さんが突然翔太くんを呼んだ。


涼「もう撮影終わったし、帰るよ」

翔「んー。」


ようやく阿部ちゃんと2人で話ができる。そう思い舘さんの後ろに手を伸ばした。


翔「はい、ストップ〜」

蓮「え?」


思わぬところから止めに入られフリーズする。阿部ちゃんは舘さんと翔太くんに挟まれて手を握られている。


翔「ほら、帰ろ阿部ちゃん」

亮「………(コクン)」

涼「ふふ、わからず屋さんは置いて行こっか」

蓮「……えっ、俺…何かしました…?」

翔「ちゃーんと自分で考えろよ〜、おつかれ〜」

涼「おつかれさま〜」

蓮「はっ、ちょっ、待っ!!」


無情にもドアは勢い良くバタンと音を立てて閉まってしまった。その場に残されたのは恋人をメンバーに攫われた俺と、その一部始終を静観していた5人。

俺は虫の居所が悪くなり家へ帰った。




家に帰ると日はすっかり落ちて時計の針は8時を指している。崩れるようにソファに横になった俺は今日のことをずっと考えていた。


蓮「俺っ…、何したんだ………?」


確かに最近は個人の仕事が多くて一緒に居た時間は少なかったかもしれない。それでも会えるときは時間を作って会っていたし、それを阿部ちゃんも理解してくれていた。阿部ちゃんの前では元気な顔を見せたくて、しんどい日は会えなかったけど、それでも、阿部ちゃんに会いたくて会いたくて仕方なかった。


蓮「…亮平、大好きだよ……?」


愛を伝えても伝えたい本人はここには居ない。

頭に浮かんでくるのは無情にも恋人との楽しかった出来事。2人でいる時間全部が宝物で毎日が思い出だった。思い返せば、思い返されたその数だけ心が苦しくなる。

気づけば時間は深夜2時。

明日は一日中バラエティ番組の収録、明後日は午前にYouTubeの撮影、午後に雑誌の撮影が控えている。

今日は色々あって疲れたしちゃんと休まないとな。と思いながらも、恋人と離れ離れだという事実に全身をソファに拘束され、ベッドまで動く気力が湧かなくてその日は雑に寝転んだままそっと目を閉じた。


俺は君に、会いたかった。




to be continued…

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