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意識がぼんやりしていく中、遠くからドアの開く音が聞こえた。誰かの足音が、急いで階段を駆け上がってくる。
「涼ちゃん!大丈夫?!」


元貴の声が聞こえた。すぐそばに若井の、普段は冷静なはずの慌てた声も重なる。


「鍵、開けてくれててよかった……」


元貴が駆け寄ってくる気配。次の瞬間、背中を優しく擦られる。胃の奥に残っていた苦しさが、ほんの少しだけ和らぐ気がした。


「涼ちゃん、深呼吸できる?ゆっくりでいいからな」


耳元で静かに、だけど力強く語りかけてくれる。けれど、うまく息が吸えない―――意識が遠ざかりそうになる。


若井がバタバタとキッチンで水を用意してくれているのも、もう遠くの音のようだった。


「ごめん……遅刻……して……」


苦しい息の合間から、なんとか言葉を絞り出す。元貴が眉をしかめて、なおも背中をさすりながら囁く。


「そんなのいいから、今は何も考えるな。大丈夫、俺たちが絶対にそばにいるから」


その言葉に、ほんの少し心がほぐれる。視界が揺れるなか、元貴と若井の心配そうな顔だけが、ぼんやりと見えた。


「……ありがとう……」


言葉を最後まで言い切る前に、涼ちゃんの意識はふっと暗く沈んでいった。

愛を捨てるの。本気で?

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