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その夜、カリムは溺れる夢を見た。
がばりと起き上がる。嫌な汗が背中を伝った。
時計を確認すると、まだ朝の4時。なぜこんな時間に起きたのか、理由は明白だ。
奇妙な夢を見たものだ。降りしきる大雨の中、カリムは何かに溺れていたのだ。水よりどろどろとした、おぞましい何か。それが何かは分からないが、決して良いものではない。
もう一度寝ようにも寝付けず、本を読もうと明かりをつけ、机に手を伸ばす。本を読み始めたは良いものの、先程の夢が気になり集中できない。あれは一体なんなのだろう。とても苦しく、悲しかった。側に誰かがいた気がする。そして、見覚えのある場所だった。だがやはり夢の話なので、はっきりとは思い出せない。そのうち少しずつ夢の記憶が無くなってきて、読書に集中できるようになっていた。
部屋の扉がノックされる。ジャミルだ。
「カリム、起きろ。朝だ。」
そう声をかけたジャミルはわずかばかり目を見開いた。
「おはよう。ジャミル!」
「もう起きてるのか?どうしたんだ、いつもは声をかけても起きないのに…」
「ちょっと怖い夢見ちまってさ!でももう大丈夫だ!本読んでたら落ち着いた!」
やや困惑しているジャミルをよそに、カリムは身支度を始めようとする。
「何時に起きたんだ?」
「ん〜、4時ぐらいだな!」
4時に起きたことにびっくりするジャミルを尻目に、制服に手をかける。授業中寝るなよ、というジャミルに返事をしつつ、寝間着の留具を外していく。
「じゃあ俺は朝食を用意してくる。着替えておけ。」
「分かった!」
制服に着替え終えた頃には、夢のことなどとうに忘れていた。
すみませんが第一話はここまでとなります。ネタが思いつき次第続きを書きますので、少々お待ちください。