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無名の灯 番外編

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無名の灯 番外編

6 - 第6話 放課後、あの教室で

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2025年07月19日

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放課後の教室は、音がやけに響く。椅子を引く音、ドアが閉まる音、誰かの咳払い――全部、遠くのものみたいだった。

いつもより少し遅く帰るふりをして、俺は席を立たない。誰にも気づかれないように、そうしている。


今日もまた、日下部が机の落書きを見て笑っていた。

笑ったふりかもしれない。あいつは、よくそうやって、”笑う”ことでやり過ごす。

俺は、それを見て、また黙った。


窓の外には、夕陽が沈みかけてる。

きれいだった。だから、ふと思った。


この教室の中で、何人が本当に生きてるのかな、って。


死んでるみたいに笑ってるやつ。

黙って従ってるやつ。

何も見なかったふりをするやつ。

そして、命令して、笑って、支配して、踏みつけて、平然としてるやつ。


俺も、そのどれかだろうか。

わかんねえ。

でも、あのとき、蓮司が俺を見た。まっすぐに。

あの目は、知ってるやつの目だった。

全部知ってるくせに、知らないふりをしてる目。


だから、たぶん俺も、どこかで壊れてる。


椅子に座ったまま、俺は机の下で爪を立てる。

自分の太ももに、ゆっくり、傷をつけるみたいに。

誰にも見えない場所で、音もなく、バレないように。


そうすると少しだけ、まっすぐになれる気がするんだ。


明日も、また笑うふりをして、あいつらの中に紛れる。

その方が、楽だから。


でも今日だけは、こうして、俺だけの世界で眠っていたい。

誰にも触れられず、誰にも見つからず、

本当の俺のままで。



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