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目を覚ますと、そこは真っ白な世界だった。
(・・・僕、死んだのかな?)
何故か、体が動かなかった。だが、それを怖いとも辛いとも思わなかった。
何故か声も体も動かせないのに、視界だけがグルグル変わる。
まるでテレビを見ているような感覚だった。
その視界に映るのは、平和となった世界と、笑い合う村人の姿が映る。
(・・・よかった、世界は平和になったんだ・・・じゃあ、もう“英雄”は、要らないかな)
と、すまない先生はそう思った。
ふと、生徒やライト、更にはXも映る。
(あ、みんなだ)
すまない先生はそれを眺めていた。それに映るみんなは顔が暗かった。
世界が平和になって、笑顔になっていると思っていたが、表情がくらい。
(なんで、あんなに暗い顔してるんだろう)
動く事が出来ないすまない先生は、それを見ているだけだった。ふと、声が聞こえた。
“彼女”の声だ。
『・・・ッ・・・すまない、さん、はやく・・・目を覚ましてください・・・』
その声を聞いた途端、先程ぼんやりとしていた頭が思考をし始めた。
「・・・ェ・・・ウリ・・・?」
すると、他の生徒の声も、ライトの声も、Xの声も聞こえた。みんな、すまない先生が目を覚ますのを待っている声だった。
(・・・まだ、僕はいるんだな・・・)
すまない先生はゆっくり立ち上がる。先程動けなかった体が“利き腕”以外が動く。
動かなかったからか、足がまだ上手く動かせなかった。それでも、前に進もうと足を進めた。すると、
とんっ
ふと、誰かに背中を押された。すまない先生は後ろを向いた。
そこには、記憶の中の“両親”が立っていた。
『『行ってらっしゃい』』
そう、両親は優しく微笑む。それに、すまない先生は笑顔で答えた。
「行ってきます、父さん、母さん」