私が車で撥ねそうになった彼が、とびきり素敵だということはもうハッキリ自覚しないといけないだろう
本当に撥ねなくてよかった
目の前にいる彼は、漆黒のセンター分けの髪と、透き通るような瞳はキラキラしているし、今は初めて会った時より健康そうだ
顔はまばゆいばかりに輝いている、きっとご飯をちゃんと食べているに違いない
「クレープ屋さんなんですね?」
彼は私を見つけて嬉しそうに言った
「ええ クレープ屋さんよ」
思わず私も笑った
そしてよく見ると彼は「藤美生花店」とオレンジの刺繍の入ったデニムのエプロンをしていた
「あれ?もしかしてあなた、このモールの入り口のお花屋さん?」
彼はとても熱心に私を見つめて、そして恥ずかしそうに言った
「ハイ!そうです・・・その・・・先日はありがとうございました、びっくりしましたよ・・・なんか似てる人がいるな・・・って思ってしばらく遠くから眺めていたんです」