テラーノベル
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放課後。旧校舎の用具室横にある小さなエレベーター。
掃除当番を押し付けられた二人は、荷物を運ぶためにそこに乗り込んだ。
――ギィッ…ガコンッ
「……え?」
エレベーターが急に止まった。
「うっそ、マジかよ。これ閉じ込められた系?」
「は? ふざけんなよ……俺、マジでトイレ行きたかったのに……」
「え、今?」
「……ずっと我慢してた。早く終わらせて行くつもりだったのに……っ」
薄暗い密室に、受けの恭也の声がかすかに震えていた。
もじもじと脚を擦り合わせ、額にうっすら汗。
「ちょ、おま……顔、やっべぇくらい赤くなってんじゃん……!」
「見んなっ……!」
遥斗が一歩近づくと、恭也は壁にぴたりと背中をつけた。
だが、もう逃げ場はない。
「……ねえ、そんなに我慢してんの?」
「……っ」
「正直に言えよ。やばいくらい、ムラムラすんだけど」
「ふざけんな……っ」
「ほら……ほら、恭也、ここ……すっごい硬くなってる」
「やっ……だめ、触んな……っ!」
遥斗の指が、制服の上から下腹部をなぞる。
「このまま俺の前で出す? それとも……別の気持ちいいこと、して紛らわす?」
「なに言って……っ、あっ……ばか、だめ……っ♡」
遥斗の指がゆっくりと、股間の布越しに擦り上げる。
「ねえ、我慢してんの……どっち? おしっこ? それとも、こっち?」
「……やっ、やめろ……バカっ……♡ そっちは……っ、あ、あぁっ♡」
「……エレベーター、たぶんすぐには動かないよ」
「うそ……やだ、マジで、こんなとこで……っ♡」
「じゃあ俺が気持ちよくしてやる。漏れそうな顔で見られてたら、我慢なんかできるわけねーだろ」
そう言って、遥斗の手がファスナーにかかる。
「っ、まって、ダメだって……俺、もうほんとに……」
「平気。……出していいよ。俺の手の中で、いっぱい、気持ちよくなれ」
――密室。
誰にも聞かれないと思っていたのに、
思わず漏れる声は、徐々に甘く、震えていって――
「……っ、やだ……っ、マジで……もうムリ、もれ、そうっ……」
「なあ、どっち? このままお漏らしする? それとも……俺に、気持ちよくされて出す?」
「ばっ……言わせんなよ……っ」
恭也の膝が震える。腰が逃げようとしても、壁に押し付けられて行き場がない。
遥斗の手が、制服の下に滑り込む。
「ねえ、こっちは……びくびくしてる。恭也、ほんとにこっちでイきそうなんだろ?」
「ちが……う、っ♡ もう、わかんない……っ、わかんないのに……そんなとこ、さわんないで……♡」
「わかんないままでいいよ。身体に教えてやるから」
遥斗の手が下着の中に滑り込み、ぬるりと硬さを包み込む。
「やっ……あっ、まってっ、だめ、ほんとに、でちゃ……あ、あぁっ♡♡」
途端に、恭也の腰がビクッと跳ねた。
湿った音が、エレベーター内に響く。
「……は、はぁっ……っ、で、た……っ♡ やだ、マジで……」
恭也の頬に涙がつたう。
羞恥と快感がごちゃごちゃになって、息も絶え絶えだった。
「……すっご。恭也、めちゃくちゃエロい」
「……っ、しね……っ」
「ほら、下、びしょびしょ。制服、もう乾かねーな?」
「……バカ……っ、責任取れよ……」
「取るって。お前が望むなら、なんでもしてやるよ?」
遥斗はそう言って、涙ぐむ恭也の頬をそっと指でなぞる。
「……つぎ、俺のも……してくれる?」
「……っ、ばか……っ♡」
ゴウンッ……と鈍い音とともに、エレベーターがふいに動き出した。
「……っ!」
恭也の身体がビクッと震える。
さっきまで喘ぎ声を漏らしていた口元を、慌てて手で覆った。
「動いた……」
「……っ、あ、やっべ、制服……!」
スカートの裾じゃない。男子の学ランとスラックス、
その下はもうぐっしょり。冷たく張りついた布がやたらと意識にのしかかる。
遥斗はそんな恭也の様子を見て、
はじめて真剣な顔になった。
「……恭也」
「……な、んだよ」
「……それ、辛くない?」
えっちな雰囲気も、ふざけた口調も消えた。
遥斗の瞳はまっすぐで、やけに優しい。
「びしょびしょで、こんな恥ずかしいまま……帰んの?」
「……やだに決まってんだろ」
「じゃあさ……今日、このあと、俺んち来いよ」
「……は?」
「ちゃんとシャワー浴びて、着替えて。
……それに、その、さ……もっとちゃんとしたの、してぇし」
「……なにが、“ちゃんとしたの”だよ」
「さっきのは、焦ってたし……恭也も、無理してたろ?」
「……」
「俺……ほんとは、ずっと前からお前のこと……」
言いかけて、遥斗は一瞬言葉を詰まらせた。
だが、意を決したように、ゆっくりと口にする。
「……ちゃんと、好きなんだ。
付き合いたい。……お前と、ちゃんと」
沈黙。
やっと止まったエレベーターの扉が、ゆっくりと開く音が響く。
外は誰もいなかった。
だけど、さっきまでの熱がまだ残っている空間の中で――
恭也は、真っ赤になりながらそっと呟いた。
「……最初から、ちゃんとしろよ、バカ」
遥斗がぱっと笑った。
「じゃあ……行こ。俺んち」
「……だから、焦んなって……っ」
小さく文句を言いながらも、
恭也の足は、遥斗の背中を追って歩き出していた。
遥斗の家。
恭也は借りたジャージのズボンを引っ張りながら、
ソファに座ってなにか考え込んでいた。
遥斗は風呂場から、タオルで髪を拭きながら出てくる。
「風呂、次いいよ」
「……なあ」
「ん?」
恭也は、膝に置いた手をぎゅっと握りしめながら言った。
「……俺のも、見せたし。触らせたんだからさ。
……お前のも、触らせろよ……っ」
遥斗は目を瞬かせたあと、ニヤリと笑った。
「……いま、なんつった?」
「……うるせぇ、もう一回言わせんな……っ」
「……あ〜〜〜もう、可愛すぎて無理。風呂、二人で入ろう?」
「は、あ!? ふ、風呂で一緒って……!」
「いや、今さら何言ってんの? 俺、恭也の全部触っちゃったし、
恭也だって俺の触りたがってるんだろ?」
浴室に並んで座ったふたり。
白い湯気が立ちこめる中、恭也は膝を抱えるように座っていた。
顔が赤いのは、湯のせいだけじゃない。
「背中、流すよ」
「……別に、自分でできる」
「いいから。俺が触りたいだけだし」
そう言って、遥斗はボディソープを手に取ると、
泡立てながら恭也の背中に触れた。
「っ……ぅわ、くすぐった……」
「我慢して。……こうやってさ、背骨のところ、ちょっと力入れると、ビクってすんのな」
「ちょ、おま……っ、やめ、……や、やらしいとこ触んな!」
「やらしくしてんのは恭也のカラダの方じゃん。
さっきから、腰も落ち着かねーし。……ここ、もっかい触ったら?」
「や……っ、あっ、……ん、くっそ……!」
遥斗の指が、腰のくびれからお尻にかけてなぞり、
泡がぬるりと肌を滑るたび、恭也は呼吸を乱す。
「なぁ、前も洗ってやろっか?」
「っ……前は自分でやる!!」
「そう? 俺、さっき散々恭也の触ったけどな〜」
「……っばか……! お前のも……触る、からな……っ」
「はいはい、どうぞ?」
遥斗が立ち上がると、湯気の中に浮かび上がる濡れた裸体。
恭也はごくりと喉を鳴らしながら、その下腹部に手を伸ばした。
「……は、はやくベッド行こう」
「お前が言うとエロすぎるんだよな」
「……もう、ガマンできない……っ」
ふたりで濡れた髪のまま、ベッドに倒れ込む。
遥斗が恭也の顔を見つめながら、やさしくキスを落とす。
「大丈夫? 怖くない?」
「……ちょっとだけ、でも……遥斗が相手なら、平気」
「そっか。……なら、ちゃんとする」
手慣れた指が、ゆっくりと受けの身体をほぐしていく。
「んっ……はっ……っ、へんな感じ……でも、きもち……♡」
「無理すんなよ、もっと感じさせてやるから」
「やっ……ん、んぁ……っ♡」
シーツの上で交わる吐息。
ゆっくりと、ふたりはお互いの身体を、心を、すべて重ねていく――
「……すげぇ……好きだよ、恭也」
「……俺も、お前だけだよ……っ、遥斗……♡」
ベッドの上。
薄暗い部屋の中、ふたりの息遣いだけが響いていた。
恭也はシーツに仰向けになったまま、
目をそらしながらも、遥斗の身体を全身で受け止めていた。
「……ほんとに、入れるよ? 痛かったらすぐ止めるから」
「……うん。……ちょっとだけ怖いけど、……お前がいい」
遥斗はそっとキスを落としながら、
指でじっくりと中を慣らしていた。
「んっ……くぅ……っ、はぁっ……」
恭也は眉をしかめ、背中を強張らせる。
「力抜いて、恭也。深呼吸……して」
「……う、っ……だいじょうぶ……できる、から」
たっぷりとローションを塗った遥斗のモノが、
恭也の入口にぬるりと触れた。
「入れるよ……ゆっくり、な……」
「あ、あっ……くっ……う、ううぅっ……!」
先端が少しだけ入った瞬間、
恭也の身体がビクンと震える。
でも逃げようとはしない。ただ、きつく唇を噛みながら耐えていた。
「……恭也、頑張ってる……すげぇ、キツい……っ」
「……バカ……うるさい……言うな……っ」
「……ごめん。でも、ちゃんと繋がりたい」
遥斗はじり、じり……とゆっくり奥へ進んでいく。
「っ、や……っ、あああっ……無理、ムリっ、でか……っ♡」
「恭也、声……すげぇ、エロい」
「し、しねっ……バカ……!」
全部が収まったとき、恭也の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「……痛い?」
「……すこし。……でも、さっきよりは、平気」
「動くよ。無理だったら言って」
「……うん」
最初はほんの少しずつ、浅く。
そして、恭也の表情が緩み始めた瞬間――
「や、やだ、なんか……くる……っ♡」
「ここ、気持ちいいんだ? もっとしてやる」
「あ、やっ……ああっ、♡ んっ、んぅぅっ……♡♡」
湿った音と、恭也の声が絡み合いながら、
ふたりは何度も何度も、深く繋がっていった。
「好きだよ……恭也……」
「っ……ばか、俺も……お前だけだ……♡」