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「委員会に所属している生徒は、それぞれの教室へ移動してください。」
センセイは大切なことを言わなかった。
私が面倒くさがることを知っているくせに。
頭がぼんやりする。よく寝れてなかったかもしれない、帰ったら寝よう。
しかし委員会からは逃げられない。そういう、気がした。
「また委員会で…!」
この言葉が、妙に引っかかったからだ。
三階に上がる。すると聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「ーーーでね!笑」
「うんーー」
神村さんとーー……1人の男子。教室前で喋っているみたいだ。
「ーー…あ!風林さん…!こんにちは!また会いましたね…!」
ヤバい。気づかれた。
「……こんにちは。委員会なので、会うのはまあ必然的ですが。」
「確かに。笑」
ふと横を見ると横の男子が硬直している。
「ちょっと…零君…!どうしたの?」
はっと我に返ったような顔で神村さんを見た。
「…ごめんごめん笑ついビックリしちゃって」
「すみません。邪魔でしたか?委員会なので仕方なく…」
とりあえず謝っておくのが吉。なんとなく雰囲気は分かっていたけれど。
「いや、俺も悪かったです、次は場所を変えましょう」
会話が得意そうだと思った。相手の気持ちを読んで、いい返事を探すことが上手いんだろう。
「…風林さん!良ければですが、名前で呼んでもいいですか?」
「え、あ、……はい、どうぞ。」
「ありがとうございます!え〜と……小羽ちゃん…今日からよろしく!」
「……こちらこそ。よろしく…寧々…さん」
ぎこちなくても何故か気にならない。これは神村さんの繋ぎ方が上手いのか、それとも…
「あ、じゃあ俺もう行きますね。寧々ちゃんまた色々教えて貰っていい?」
すると神村さんの顔がぱあぁっと明るくなった
「…っもちろん!いつでも来てね!」
そして。私にも
「……また会う時があれば、お話しましょう。」
と優しい笑顔を浮かべて言った。
「……うん、またね、零くん…」
委員会活動がやたら多いのはイベント事が近いかららしい。学校へたまにしか行ってない私は全く知らなかった。
「最近は、どこに所属してもそんな感じ。忙しくて頭が働かないや笑」
寧々さんがへへっと鈴を転がすように笑う。
「そうなんですね…私にはちょっぴり、わかんないです。」
「なんで?イベント事に興味が無いから?」
「いいえ、そうですね…
“何してもつまんないから”でしょうか。」
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