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16 - 未来を話す夜

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2025年05月14日

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第十六話:未来を話す夜





バレたあの日から数日。

ざわついてた空気は、驚くほどすぐに落ち着いた。


真白のあの「宣言」のおかげかもしれない。

噂していた生徒たちも、今は特に何も言ってこない。


むしろ、ちらほら「本気っぽいよな」「ガチ尊くね?」なんて、思わぬ方向で支持を受け始めていた。



──夜、アパートのリビング


晩ごはんを食べ終えて、ふたりでソファに並んでいた。


陽翔は真白の肩に頭を預けたまま、ぽつりと口を開いた。


「…先輩、来年卒業でしょ」


「ん」


「卒業したら、どうするの?就職?進学?」


「進学だな。県外の大学、受けるつもりだったけど──

お前のこと考えると、ちょっと悩んでる」


「……え」


陽翔は顔を上げて真白を見る。


「俺のせいで、進路変えるの?」


「“せい”じゃねぇ。“おかげ”だ」


真白はそう言って、優しく笑う。


「俺が本気で好きになったやつが、お前だった。それだけで選びたい未来が変わるって、悪いことじゃない」


陽翔は俯いて、少しだけ唇を噛んだ。


「……じゃあ、俺も頑張る。先輩と同じくらい、自信持てるように。

卒業したあとも、隣にいられるように」


真白の指が、そっと陽翔の指を絡め取った。


「じゃあ、目標な。

来年の春も、その隣にいること。

そしてその次の春も、ずっと──」


「“ずっと”って、ずるいくらい重い言葉だね」


「じゃあ、軽く言ってみろよ。“永遠に一緒”」


「……うわ、先輩のくせに甘すぎてニヤける」


「お前がそうさせてんだよ、陽翔」


陽翔は照れたようにうつむきながら、真白の手に自分の手を重ねた。


その夜、ふたりは未来を見つめながら、何も特別じゃない静かな時間をずっと共有していた。

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