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僕は母が嫌いだ。
僕には3人の兄がいる。今、兄は有名な高校に通学、長男は医者になったりと大変立派である。だが、僕は何の取り柄もない。特別得意なこともないし、今でこそ成績はいいけど社会に出たらそんなのほとんど必要なくなる。そんな僕を母は期待してない。父はアメリカで科学者をしているからどんな顔をしていたか忘れた。父はきっと僕が嫌いなんだろう。だから、そんな家に帰っても利は生まれない。そうはわかっている。
「ただいま帰りました、お母さん。」
そう言って家に上がると、
母「待ってたよ、神楽。ちょっと話があるの。」
そう言ってリビングに行った。母は笑みを浮かべていた。
何かいいことでもあったのかと思っていたら
「おい、邪魔だ。」
次男の和楽だ。
和楽「誰かと思えば神楽か、背伸びた?」
神楽「はい、以前和楽兄さんが来た三カ月前より2、3センチ伸びました。」
和楽「おう、まあまだまだ越されはしねえな。」
和楽兄さんはここから少し離れた高校に通学していて、普段は賃貸のマンションで生活している。こういう風に三カ月に一回くらいで家に帰ってくる。
和楽「ていうか、今日は珍しいよな、だって家族が揃うんだから。」
神楽「え?」
今まで揃ったことは、僕が中学校に上がったきり揃ったことはない。
僕が小学生の頃、父はまだ日本にいた。その頃父は中学生の教師をしていた。
父が散歩に出かけるというので、僕もついて行ったのを覚えている。すると、道路越しにあるコンビニの入り口の横で飲み食いしている学生らしい集団がいた。父はあれをみて、
父「神楽、ああいう非道な行いをする奴らは、将来も非道に進むんだ。」
非道という言葉がわからなかったが、悪いものを指していることが伺えた。
父「神楽はああならないように今からたくさんのことを学ぶんだ、受験、頑張ろうな。」
僕は当時中学校の受験を強いられていた。受験という言葉の意味をよくわからないまま言われた勉強をし続ける毎日。父と母が話すのは受験関連。
月日は経ち、合格発表の日。結果は不合格だった。
あまりのショックに母と父は僕を責めた。だが、子供相手に何も言えることはなく、母は泣き、父は僕に顔を見せなくなった。数ヶ月後、父はアメリカに転勤、転職することになった。
それから、父は僕のことが嫌いになったから海外に行ったのだと思うようになった。
母「ねえ、聞いてる?」
ぼーとしていたが、現実に戻された。
神楽「すみません、最近考え事が多くて、。」
母「思想があることはいいことだけど、話を聞く姿勢を持たないといけないわね。
そうそう、今日からお父さん、アメリカから帰ってくるから。あと、兄さんがたも帰ってくるよ。」
「ただいまー。」
そう言って帰宅したのは長男の楽(がく)と三男の雄楽(ゆうらく)だ。
母と次男が玄関へ向かう。賑やかな玄関。和楽兄さんおいでという仕草をしている。だが、玄関から聞こえる
「お父さん!」
という言葉に、僕は体が動かなくなっていた。
第八話へ続く、、