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【irxs】医者パロ

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【irxs】医者パロ

25 - 第24話 「守る 何でも 小さな」③

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2025年03月16日

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こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります

この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します

ご本人様方とは一切関係ありません


小児科医青×天才外科医桃

のお話です


ワードパレットでリクエストいただいた3つの言葉(タイトルになってます)を本文中に使用してのお話になります


今回は完全にモブ女子視点になります

青桃さんが働く病院で事務をしている女の子の話です



「守る 何でも 小さな」



推し変したでしょ、としつこく聞いてくる同僚に「推しが2人になっただけ」と返して、その日の業務を終えた。


あの整形外科長のところに行ったときは最悪の気分だったけれど、ないこ先生の言葉ですっかり気持ちが浮上した。

ご機嫌に仕事を終え、こんな日はお酒でも買って帰って堪能しよう、なんて思ってコンビニに寄る。



時計は20時を回った頃で、外はもうすっかり真っ暗だった。

店内はそれに反比例するかのように明るく、その照明に負けないくらいの浮かれた気分でお酒のコーナーに寄る。


いつもお気に入りで飲んでいた梅酒の缶を手に取ろうとして、不意に止めた。

隣のカクテルが鮮やかなピンク色の缶で、何となく気持ちがそちらに傾きかけた。



「…あ」



それでもその更に隣に、青とピンクの缶のビールを見つける。

上3分の2ほどが深い青色で、その下が落ち着いた色味のピンク。



「かわいー」



今日見たないこ先生の瞳の色を思い出して、こっちの缶の方が好みかも、なんて思ってそれを買い物カゴに入れた。




その時だった。

軽快な店内音楽と共に、入口ドアが開く音がする。

普段なら気にも留めないそれだったけれど、同時に聞こえてきた声に思わず目を瞠った。



「…だからさ、りうらが今度猫カフェ行こうって言っててさ」



聞き覚えのあるハスキーな声だ。

そう思い店内入口を振り返ると、予想通りピンク色が視界に映った。

…ないこ先生だ。

その瞬間、何故か思わず身を隠すように縮こまってしまう自分がいる。


楽しそうに話しているその相手方にも目線をやって、私は思わず息を飲んだ。

その隣にいたのは青い髪を揺らした長身の影。

…いふ先生だ。

え、この2人仲良いの?



「行ったらえぇやん」

「まろ行かないの?」

「俺猫アレルギーあるもん」



そんな会話を交わしながら、2人はこちらに向かってくる気配がする。

慌てて隣の通路の方へ移動すると、さっきまで私がいた辺りでないこ先生は勝手知ったる我が家のようにカゴにぽいぽいとお酒やらおつまみを入れていった。


こんな時でも動きに無駄がない彼は、やはり効率厨なんだろう。



その後も取るに足らないような会話を交わしながら、2人は流れるようにレジへ向かっていく。

あっという間の出来事で、3分も店内に留まらなかったんじゃないだろうか。

店員から渡されたビニール袋を持ったいふ先生と連れ立つように、ないこ先生も店内から出て行った。



それを確認して、慌てて私も会計を終わらせる。

外に飛び出したときには数十メートル先を2人の影が並んで歩いていた。



……この辺に住んでるのかな。

いやいや、別に推しの自宅を突き止めようとか思ってないですけどね!?

だけど、まぁ、うん。

私もちょうど買い物終えて帰ろうとしてるだけだし! たまたま方向が同じなだけだし!?



胸の中でそんな言い訳じみた言葉を並べながら、足音すら立てないようにそろりとついていく。

周囲には他に誰もいなくてとても静かだけれど、少し距離があるせいで2人が何の話をしているのかまでは聞こえてこなかった。



だけど…気のせいかな。

暗い外に出た途端、2人の距離が少し近づいたように見えるのは。


月明かりに照らされて現れた地面の2つの影が、重なり合ってしまいそうなほどに。



そう思った瞬間、だった。

ないこ先生の耳元で何かを囁いたらしいいふ先生が、そのまま少しだけ体を猫背に丸めた。

かと思うと、ないこ先生の顔に覆い被さるような角度でその顔を覗き込んだ…ように、見えた。



「…!」



違う、あの角度…あの距離は……キス…!?



そう思って悲鳴に似た声が出そうになったのを、何とか必死でこらえる。

私が息と共に言葉を飲み込んだ頃、ないこ先生が何か大きな声を上げて抗議してから、どすどすと先を歩き出してしまうのが見えた。



怒っているのかと思った。

けれどそれを斜め後ろから見やったいふ先生が楽しそうに笑っているから、きっとないこ先生は照れただけなんだろう。

当たり前のようにそう理解できてしまった時、ふとこちらの視線に気づいたのか、いふ先生の青い瞳が私を振り返った。



「…っ」


気まずさを覚えて目を逸らしかけたけれど、いふ先生も私に気づいて眼鏡の奥の目を少しだけ丸くしたようだった。


きっと誰かが見てるなんて思ってもいなかったんだろうな。

だけど彼は、慌てる様子もなく私に向けて微かに微笑んで見せた。


そして、長い人差し指を唇に当てた。「しー」っとでも言うように。




その仕草の意図を理解して、慌てて首を縦に振って返す。

こくこくと頷いた私の前で、彼はそのまま踵を返してないこ先生の後を追い始めた。




……なに、2人はつまり……そういう…こと?




大丈夫。

偏見なんて持たないし、私は推しの秘密は何としてでも守るよ。





胸にそう誓ったとき、前方でいふ先生の大きな手がないこ先生のピンク色の頭に乗せられる。

愛しさを込めたように、その手が髪をわしゃわしゃと撫でるのを見た。




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