この物語は、この岸辺露伴が実際に体験した物語。
僕は逃げ出さない。どんな運命が待っていようとも。
僕が実際に体験し、漫画にした話。
…僕は何故、異世界に来てしまったのだろう。
僕は何をしていたのだろうか。おかしいじゃあないか。
ただ買い物に来ていたはずなのに、異世界に送り込まれてしまう等と、あってはならないことじゃあないか。
僕は目が覚めると、見知らぬ世界へ居た。
目の前には、とてつもなく大きい学校。
そして、ストリートビューだ。
「…ここは何処だ。」
たった一言、どこか分からない場所で、
僕は呟いた。
「…学校か。見たことのない学校だな。
誰かいるのか?」
とりあえず僕は起き上がって、学校へ向かった。
そして、中へ向かった。
「…廃校か?廃校にしてはやけに綺麗だな。」
僕は学校の中を歩き回った。
そして図書室に辿り着いた、ここには小説、漫画、そして伝記までもが置いてある。
手当り次第、本を手に取り、読み漁った。
「…まるでゲームだな。リアリティも何も無い。」
1000年に1度蘇る存在だとか、古龍がなんだとか。
まるでファンタジーだった。
僕が最も不思議に思ったのが、そもそもここは何なのか。
なんの為に設立した学校なのか。
色々な本に目を通す。漫画も見てみる。
「…才能がないな、この本。」
漫画にしてはリアリティが無さすぎる。
そう感じてしまった。まぁ当たり前だろう。
僕はジャーナリストでもない、研究家でもない。
漫画家だ。
「…本を読むのはここまで…ん?」
足元にボトッと落ちてきた。
読んでいた本を本棚に戻し、落ちてきた本を手にする。
読み漁る、素晴らしいほど内容が面白かった。
「これは。いいネタになるぞ…」
僕はその本を、そこら辺にある椅子に座り読んだ。
するとそこには途切れたページがあった、正確には切り取られた、だろうか。
そのページには不自然な繋がりがあった。
「…何故ページが途切れている。誰かが悪戯でもしたのか?」
と、疑問に思った。悪戯にしては趣味が悪すぎる。
ましてや落書きもしている。酷いやつだ。
「本は大切に扱え…それにしても、この本…不思議だ。読めない字で書いてあるかと思えば、普通に読める。どうなっているんだ…?」
僕は、その本を手に持ったまま、図書室から出た。
本当に誰も居ない、そんな学校はもう廃校でいいだろうと少し思ってしまう。
[newpage]
歩き続けて、もう何時間か経っただろう。
僕は一旦足を休める為、学食らしき所に向かった。
そこには、先程作られたのか、とてもいい匂いがする、とてつもなく美味しそうなご飯が並んでいた。
「…誰か居るのだろうか。」
辺りを見回す、でも人がいる気配も無い。
じゃあ何がいるんだ、妖怪か?それとも、幽霊か?
「誰か居ないのか?」
と、少し大きな声で言ってみる。
返事は返ってこない。何故だろう、誰かに見られている気がしてならない。
「…誰か居るなら返事ぐらいしたらどうだ!」
先程より大きな声で言ってみる。ガタッと音がした。
誰か居るのだろうか。ただ、声も聞こえない。物音だけだった。
「趣味が悪い、何故誰も出てこない。
居るなら出てくるがいい!それともなんだ、小心者なのか?困ったものだな。ただの人間に怯えているのか?」
煽ってみた、まぁ僕の普段の言い方だが…そして、返事が聞こえた。
「…貴方は誰ですか。」
「…!」
そこに見えたのは、不思議な少女だった。
とても綺麗な髪に白い肌、そして綺麗な青い瞳。
「…お前は誰だ。何故さっきから僕を見ていた。」
「…私は、ゼルダです。」
ゼルダと名乗るその少女は、僕に助けを求めるかの様な目で、僕を見ていた。
「何故そんな悲しそうな目をするんだ。僕に何をして欲しいんだ。」
「…助けて欲しいんです。」
「何故だい、何故僕が助けなければいけないんだ。」
「…この世界の、破滅を、防いで欲しいんです。」
その言葉、少し聞き覚え、いや、見覚えのある言葉だ。僕が図書室に居た時に、拾った本に出ていた。
1000年に1度蘇る存在の事。
「…何故僕に頼む。仲間は居ないのか。」
「…居ます、ですが、、、」
言葉に詰まるゼルダは、僕の手を掴んで言った。
「お願いいたします…このままでは…」
と、言ったところで、僕は遮った。
「…何か来る。静かにするんだ。」
「…?」
人差し指で、静かにと合図をする。
そして、少し癪だが、学食の台所に隠れた。
僕が目にしたのは、不思議な生き物だった。
「な…なんだあれは…化け物だ…」
とはいえ、見てしまっては漫画のネタにしておきたい。ただ、ゼルダは怯えていた。
「…逃げてください。」
「何故だ…」
「いいから…!」
と、僕の腕を引っ張って、逃げ出そうとする。
物音に化け物は気づいた。
「しまった、気づかれた!」
「走ってください!」
「…君のその格好では走れないだろう、特別だ、運んでやる。」
と、ゼルダを抱き上げ、僕は駆け足で体育館らしき場所に向かった。
化け物はそれでも追ってくる。逃げ切るにはどうしたらいいのだろうか。
僕の『ヘブンズ・ドア』を使ってもいいのだが、ここじゃあ分が悪い。
何があるか、体育館を見回した。あるじゃあないか、バスケットボールだ。
僕はバスケットボールを拾い上げ、投げる体制をとった。
「…これでも…喰らえ!」
思いっきり投げた、命中するものの、そこまで効いていない様子だった。
「ダメか…」
「…逃げてください、貴方では無理です…!」
「…いつ、誰が無理だと言った。僕をなめるなよ。」
僕は、いつの間にか鞄の中に入っていた万年筆を手に取り…『ヘブンズ・ドア』を使った。
…なるほど、この化け物にはこんな記憶があるのか。
と、少し興味本位で読んでしまった。
「…此奴は、なんなんだ。この化け物、あのお方とは誰だ。」
「…大丈夫ですか?」
「嗚呼、心配することは無い。大丈夫だ。」
心配してくれているのか、まぁ感謝しといてやるか。
「…また、化け物。」
「…”また”?またってどういう事だ。」
「貴方がこの学校に入るところから、私は物陰で見ていました。図書室に居たことも知っています。
あの本、黒い表紙の本、中を見てましたよね…?
あの中に、書いてあった化け物は、これのことです。」
彼女はそう言う。僕はハッとした、あの本の中身、読んでしまった。そして僕は、彼女に聞いた。
「この化け物は、その1000年に1度蘇る存在の手下なのか?」
「…その通りです。」
「…わかった、それ以上はいうんじゃあないぞ。」
そうか、この化け物は…僕にとって、この世界から出る為の、1つの手がかりだったのだ。
それに気づくのは、もう少し後になる。
この時の僕は、何も気づいちゃあなかった。