あんなに裏切られておいて、それでも俺はあいつらのことを夢に想う。
光の道筋。光の道筋は基本的に直線的であるが例外の場合、人間は錯覚を起こす。俺の気持ちも見ていた世界も、全て水を通していたと気づいたのは全てが終わった日だったことを忘れることはないだろう。
「おーい」
そう呼ばれても返事をしなかった頃。光なんてものを知らずに過ごしてきて、周りが見えなかったから、周りからの声に応えることもできなかった。それでも、あいつらは俺がつけてきたカーテンをこじ開けて光を見せた。見せてきた。初めて太陽の光を見た俺は”幸せ”を知ってしまった。
季節が変わると同時に関係性が変わってきて、俺らはいつの間にか友達になっていた。俺が普通の人間になったと錯覚していた。何度も言う。俺は錯覚していただけだった。真っ暗闇の俺の世界に光が差し込むことによって、四季が生まれた。四季の中でたくさんの思い出のかけらが俺の心に落ちていく。
「じゃあね」
そう告げられた瞬間、俺は裏切られた気分になった。あいつらは裏切ってなんかいないのに。俺が勝手に妄想しただけだった。あいつらが俺を幸せにしてくれる。ってただ、信じていただけだったのだと終わってから気づく。もう、手遅れなのに。終わってからはもう、遅いのに。
過去のことを反芻する。俺の頭の中にあいつらとの思い出が飽和している。巡って巡って、そして1つの結論に至る。そうだ、結局は、
「こんなことになるなら、あいつらに出会わなきゃよかった」
俺の言葉は霞みたいに消えていった。
「凪ちゃん、奏斗、雲雀なんかと、出会わなきゃよかった」
出会わなければ、俺は、幸せだったのに。光も幸せも知らないまま生きることができたのに。それなのに。あぁ、あいつらと出会ったことが、俺の人生での『蛇足』なんだ。
それでも、辛かったと言う事実は消え去ることなく俺は小刻みに呼吸をする。静かに俺の呼吸だけが部屋に響き渡る中、俺の頬に大きく音がした。
パン!
と誰かが俺の頬を叩いた。思いっきり、誰かが叩いた。痛い、と言う感情を抱かないんだな、俺は。と感想を抱きながらも俺は顔を上げた。
「「「それだけは、言うなよっ!」」」
誰が頬を叩いたのかはわからない。だけれど、俺が顔を上げた先には、なぜか泣いている長尾景と小柳ロウと魁星がいた。俺は意味がわからなかった。だけれども、その姿にはなぜかしら、見覚えがあった。影のように俺にはその人たちの前にある人物が映し出されていた。
NEXT 12月11日
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