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第1次試験を合格した…と思われたのだが、ここまでは前半戦との事だ。
「ここから先はヌメーレ湿原となります。危険なモンスターも生息する場所になりますので、くれぐれも私から逸れないようにして下さい。」
サトツが言った直後に響いた声
「ソイツは偽物だ!!」
声の持ち主はボロボロの男だ。
「俺が本物の試験官だ!!ソイツはこのモンスターなんだよ!!」
男の後ろに倒れている猿型のモンスター。
ソレを覗いた者から困惑の声が上がる。
「コイツ…!サトツとかいう試験官と同じ顔をしてやがる…!!」
その声に釣られて、モンスターを覗いた者もまた同じ反応をした。
それほどまでにサトツとこのモンスターは似てるのだ。
皆が疑心暗鬼になっている中、道化の男がトランプを投げる。
投げられたトランプは、先程、己が試験官だと主張した男の胸に刺さった。
男はそのまま後ろに倒れ、それっきり動かなくなっていた。
道化の男は薄気味の悪い笑みを浮かべ、またトランプ投げる。
今度のトランプはサトツを目掛け飛んで行った。
しかし、それはサトツに刺さることなく、彼の指に止められたのだった。
「ほらね♤本当の試験官はこの程度止められなくちゃ♢」
悪びれた様子もなく、ひらりと手を横に振る道化の男。
サトツは道化の男に、軽く忠告し、ヌメーレ湿原へと突入する。
…やはりあの男は危険だ。
クラピカとクロロは改めてソレを実感したのだった。
ヌメーレ湿原に突入してからと言うもの、辺りからは悲鳴が聞こえていた。
恐らくサトツを見失い、モンスターにでも襲われてしまったのだろう。可哀想だが、どうしようも出来ないのだ。
「なぁ、クラピカ」
物思いに耽っていたクラピカはクロロの言葉で我に返った。クロロは先程の道化の男、彼は危険すぎる為、関わらない事をクラピカに約束をさせるために話しかけてきたのだ。
クラピカだって、あのような男と関わりたいと思った事などない。
「あぁ…。出来るだけ関わりたくないものだ」
しかし、仲間が襲われたら話は別である。それはクロロも重々承知の上である。
「しかし、お前や他の者に危害を加えるようなら、私はその約束を破ることになるだろうな」
その言葉にクロロは笑う。
そこで、ふと辺りを見回した。
「レオリオが見当たらないな」
クロロの言葉にクラピカも当たりを見回す。
先程までは後ろにいたのにも関わらず、数分の内に消えてしまったのだ。
「あのバカ…!!」
クラピカは怒気を含んだ声で消えたレオリオに呪詛を吐く。
「探しに行くんだろ?」
クロロの声に冷静さを取り戻したクラピカは、
「あぁ」と短い返事をすると集団から外れて行った。
レオリオは霧の中を1人で走っていた。辺りに人影は見えない。
クラピカとクロロと走っていたはずなのに、気付いたら1人だったのである。
「おーい、誰かいないのかァ?」
非常に心細い状況にレオリオは柄にもなく泣きそうになった。
そんな中、誰かの声がする。
霧の中に1人、そんな状態など耐えられる訳のないレオリオは、半ばヤケクソ気味に声のした方へと向かっていってしまった。
霧が晴れ、視界が良好になったレオリオの目に飛び込んできたもの。
それは虐殺の現場である。
道化の男が1人。その周りには頭部が切断された死体が多数転がっている。
「ッ…!!」
息を飲んだレオリオを道化の男が見つめていた。
「やぁ♧」
ゆっくりと道化の男がこちらに向かって歩いてくる。
レオリオの脳みそは、すぐにこの場から立ち去れと危険信号を出していた。しかし、その場から動くことが出来ない
動け動け動け動け動け動け動け動け動け…!!
道化の男はすぐそばまで迫ってきている。
俺、ここで死ぬのか…
死を覚悟したその瞬間、体が宙に浮く感覚が生まれた。
「レオリオ!!無事!?」
レオリオはゴンの釣竿のおかげで、道化の男と距離を開ける事が出来たようだった。
「ふふ♡」
道化の男が笑った。それは狂気に染った笑み。
お互いにその場から動かない。
自身の心臓の鼓動が聞こえてしまうのではないかと錯覚するほどの静寂の中。
真っ先に動いたのはゴンだった。
その場に止まったままであれば、いづれ殺されることは明白である。
ならば、当然動かなくてはならないのだ。
素早い動きで道化の男と距離を縮め、拳を叩き込む。
しかし、その拳が当たることはなかった。避けられたのである。この場合はすり抜けたと言った方が正しいのだろう。
ほんの一瞬、その出来事に気を取られてしまった。しかし、その一瞬が戦場では命取りになる。
ゴンが気づいた時には、背後に回られていたのだ。
咄嗟に受け身の体勢を取るも、その強力な蹴りの威力を軽減する事が出来ず、思いっきり地面に倒れ込んでしまった。
「ゴン…!!」
このままではゴンが危険だと判断したレオリオは、道化の男に向き直った。
「お前の相手は俺だ…!!」
レオリオは道化の男に正面から突っ込んでいくのだが、当然適うわけがない。
顔面に拳が放たれ、ゴンと同じように地面に倒れ込んでしまった。しかし、レオリオは立ち上がるとまた、先程と同じように正面に突っ込んで行った。そして、殴られる。
何度も同じ事を繰り返すと、レオリオの顔はもはや原型を留めない程に腫れ上がっていた。
「いいね♡君、合格だ♡」
レオリオの何度も挑み続ける様子を見た道化の男は、その言葉を言うと笑った。
「レオリオから離れろ!!」
復活を果たしたゴンが道化の男を威嚇する。
レオリオはゴンの意識が戻ったことを確認すると意識を飛ばした。