山奥の小さな村、黒葉集落。そこは携帯の電波も届かず、現代から取り残されたような場所だった。夏休みを利用して、都会育ちの大学生・美咲(みさき)は、祖母の故郷であるこの村を訪れた。彼女は民俗学のレポートを書くために、村に伝わる古い伝説や風習を調べに来たのだ。
村は静かで、住民は皆、どこかよそよそしい。美咲が村の歴史や伝説について尋ねても、老人たちは口を閉ざし、ただ「余計なことは知らない方がいい」と繰り返すばかりだった。唯一の手がかりは、村はずれの森にある古い石の祠。村人たちはその祠を「オオヒメ様の社」と呼び、決して近づかないよう警告していた。
好奇心旺盛な美咲は、そんな警告を笑いものだと感じた。「ただの迷信でしょ」と軽い気持ちで、祠を見に行くことにした。カメラとノートを手に、彼女は森の奥へと足を踏み入れた。
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