テラーノベル
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お茶の湯気がゆっくりと立ち上るなか、黒尾は洗面所で顔を洗って戻ってきた。
さっきまでの寝ぼけ眼はどこへやら、少しさっぱりした顔で食卓の椅子に腰を下ろす。
「はい、どうぞ」
月島が差し出したマグカップを受け取り、黒尾は一口飲んで「あー……染みる」と小さく息を吐いた。
「月島が淹れたお茶、なんか美味いな」
「普通のお茶パックですよ。大げさです」
月島は自分の分のカップを手に取りながら、向かい側の席に座った。まだ少し寝癖のついた黒尾の髪を見つめていると、昨夜のあの強引な自分や、その後に感じた温かい体温の記憶が蘇ってきて、急に胸の奥がくすぐったくなる。
「……何見てんだよ」
「別に。黒尾さんの寝癖、相変わらず凄いなと思って」
「こればっかりは体質だからな。お前だって、朝はいつもよりちょっと髪跳ねてんぞ」
そう言って黒尾が手を伸ばし、月島の前髪をぽんぽんと優しく撫でた。不意打ちの触れ合いに月島は肩を跳ねさせ、ふいっと顔を背ける。
「触らないでください。……早く着替えて部活行きますよ」
「へいへい。じゃ、さっさと準備して美味い朝飯でも食いに行くか」
黒尾はマグカップを置くと、いつものニヤリとした笑みを浮かべて立ち上がった。少し不機嫌そうなフリをしながらも、月島は素直にそのあとに続いた。
コメント
1件
第6話、読み終えました。 朝の何気ないやりとりなのに、黒尾さんが月島くんの淹れたお茶を「なんか美味い」って言うところがすごく良かったです。月島くんは素っ気なく返してるけど、ちゃんと黒尾さんの寝癖を見てたり、触れられたときに肩を跳ねさせたり。その距離感が絶妙で、胸がきゅっとなりました。 続きが気になります。素敵な時間をありがとうございました。